赤字9億2600万円計上…民事再生を申請した乳幼児用知育玩具サブスク、抱えていた構造的課題
乳幼児用知育玩具のサブスクリプションサービス「トイサブ!」を運営していたトラーナは、7月1日に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。 同社は2015年3月に設立された。展開するサービスである「トイサブ!」は、世界中の知育玩具の中から、「おもちゃプランナー」が顧客それぞれの発達や興味関心に合わせて個別に選定することが強みで、同業他社が少なかったこともあり利用が拡大。20年9月末に6017人だった会員は、23年9月末時点で2万人超まで増加していた。会員の増加とともに売り上げも増加し、23年9月期には6億7200万円まで拡大していた。 計画通りに顧客数と売り上げを伸ばした同社だが、課題も抱えていた。乳幼児向けという限定した顧客層向けのサービスを展開する同社は、既存顧客が何十年も契約し続けることはなく、常に新規会員を開拓し続けなければならなかった。そのため、多額の広告宣伝費が常に必要だったほか、増加する会員に対応するため投資を継続した結果、23年同期は年商を大幅に超える9億2600万円の赤字を計上していた。 また、23年ごろより同業他社との競合から顧客の獲得が難しくなり、資金繰りが悪化。リストラに着手したものの、徹底したリストラには至らなかった。結果、広告宣伝費を確保することができず、さらに新規顧客が減少。サービス提供に一定の年齢制限があることから、新規顧客が減少すれば全体の契約数も減少するため、事業環境はさらに悪化していた。 悪夢は続く。近年、赤字を計上し続けていた同社は、黒字化を目指し広告宣伝費を大幅に削減していた。結果、従前受けていた消費税の還付がなくなり、多額の納税義務が発生し、滞納することとなった。その後も状況は改善せず、分割が認められていた公租公課の支払いも不能となったことで、スポンサーの下での再建を目指すこととなった。(帝国データバンク情報統括部)