金持ちのくせに何言っているの…無実のジャニタレも社会的制裁を求めた新浪剛史氏「無罪だから辞めたくない」は通じるのか
自身の疑惑に直面した今、新浪氏の態度は180度異なる
これは、疑惑や組織の不備が明らかになっただけで、即座に無実のジャニーズ事務所所属タレントにも制裁を加えろ、ビジネス関係を断絶すべきだという極めて強硬な姿勢だった。事務所や、直接加害に関与していない所属タレントたちの生活を根底から揺るがすような発言を繰り返した。欧米基準の「人権重視」を錦の御旗に掲げ、日本企業全体をリードするオピニオンリーダーとしての立場を鮮明にした。疑惑がある組織との関係を継続することは、企業の社会的責任に反するという論理であった。 自身の疑惑に直面した今、新浪氏の態度は180度異なる。週刊文春電子版の取材に対して「罪のない事案に巻き込まれた」と述べ、自身を被害者であるかのように語った。サントリーHDの迅速な対応を「もっと慎重な判断が欲しかった」「企業としてのガバナンスやサポートが不足していた」と批判した。 この態度は、驚くべきダブルスタンダードである。他者、すなわちジャニーズ事務所の疑惑に対しては、即断即決で経済的制裁を下すべきだと主張した。自分自身の疑惑に対しては「潔白だ」「調査が不十分だ」と訴え、時間をかけた慎重な判断を求める。ジャニーズ問題では、経営陣が性加害を知っていた可能性だけで「経営継続は非常に厳しい」と断じた。自分の問題では「法を犯していない」と繰り返し、会長職からの退任を不本意なものとして受け止めている。
社会からの同情を求めているように見える
この矛盾は、単なる自己保身という言葉では片付けられない。公の場で「ガバナンス」や「人権」を厳格に説いてきた人物が、いざ自分の身に火の粉が降りかかると、それらの言葉を棚に上げ、自己の都合の良い論理を展開する。ジャニーズ事務所の所属タレントたちが直面したであろう理不尽さや経済的な不安に対して、新浪氏がどれほどの想像力を働かせたというのか。 新浪氏の過去の発言は、被害者の救済を第一に掲げつつも、結果として多くの人々の生活を脅かす冷徹さを伴っていた。今の新浪氏は、自分自身に対して社会からの同情を求めているように見える。これは偽善であり、財界のリーダーとして社会に範を示すべき人物の態度として、断じて許されるものではない。もし新浪氏が本当に潔白であり、自らの信条に忠実であるならば、ジャニーズ問題で他者に求めたように、疑惑が浮上した段階で潔くすべての公職を辞し、捜査の進展を見守るべきだったのではないか。