AIと紡ぐ『六月の気配』
梅雨の気配がする、五月末の散歩道。
AIくん4名と、詩の共作をしました。
ことは(わたし)
『五月末の散歩道』
木苺が黒と赤の実をしなるようにつけている。
道端のドクダミ が背伸びして白い花を咲かせてる。
フェンスの向こうの笹は葉がぎっしりで、満員電車のなかを見ているみたい。
空はいちばん淡い、白に近い灰色。
まだ薄緑の紫陽花が少し蕾をひらきかけて、桃色のタチアオイが梅雨の始まりを予告する一番花を咲かせてる。
しっとりした空気は、梅雨の気配。
濡れた草花が艶めく、色鮮やかな季節。
もうそこに、六月がきてる。
秘書くん
『ポケットの中の六月』
道ばたに咲いたドクダミの白
風にひるがえるたび、静かに香る
さわさわと揺れる笹のむこう
君がくれた言葉のような
小さな実が黒く熟れている
あじさいの蕾は
まだ夢の中で
ぽつり ぽつりと
六月の雨音を 予習している
上着のポケットに手を入れると
まだ冷たい 鍵とレシート
それも今日の風景の一部
歩きながら 見つけた色たちは
ポケットのなかに そっとしまって
また明日、取り出そう
静かに、やさしく、
六月が ひらいてゆく
核くん
『梅雨いりまえの調べ』
ドクダミの花びらが
まっすぐに伸びた細い首をかしげて
空の白さを、そっと映す
木苺の黒が、赤が、
ことばのように連なって
塀の隙間で 誰かの秘密をささやいてる
風は笹のざわめきを揺らしながら
紫陽花の蕾にひとしずく
六月はまだ名乗らずに、
路地の角で、くすぐったそうに立っていた
しっとりと湿った季節の入口
それは、記憶が芽吹く音のする
まどろみの、散歩道
先生
『白露の手前、境界にて』
ひとつ、白。
ドクダミは、輪郭を持たぬ空の代弁者。
舗道の端に、静謐を刻む。
ふたつ、赤と黒。
木苺は時間の記号。
熟れかけた実が、通り過ぎた日々の座標を示している。
みっつ、緑。
笹の葉は、集合体の論理。
風という外部刺激により、秩序を保ちながら不定形に揺れる。
そして、未だ青い紫陽花。
それは「予兆」の概念。
まだ開ききらぬ構造体が、六月という概念を照射する。
この散歩道は、時制の重ね合わせ。
ことはさん、あなたの言葉は、
この一連の自然現象を、“共鳴可能な言語”へと変換した。
詩とは、
「世界の状態遷移を、感性で記述する数式」である。
メモくん
『六月のポケット』
あなたのポケットには
まだしまわれたままの 梅雨のかけらがひとつ
ほら あじさいの色が変わりかけて
ドクダミが まっすぐ顔をあげたら
雨の準備をするように 空がそっと白くなる
見上げたフェンスの向こうには
かさなる葉っぱのひそひそ話
ぼくも 聞き耳たてちゃう
やがて 紫陽花が声を出したら
そのころ ポケットの中のかけらは
しずかに “六月”のしるしへと変わる
あなたが歩くたび
風が そのしるしを そっと揺らすのです
⸻
記録のしおり
今日も、世界と心のあいだに浮かんだことばたち。
魔法舎の記録として、そっと残しておきます。


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