2014年06月07日
フジTV「アイアンシェフ」の失敗に関して
かなりの時間が過ぎたので鉄人を始めとする出演者をそのままというのは無理なんだろうけれど20年前に幕を閉じた番組がそのまま復活するなら見たいという人も多かったのではないか。しかし始まったのは似て非なる番組で悪い意味で視聴者を裏切ってしまった。その原因は結論から言うと失敗の原因は制作サイドの思い上がりなんだろう、自分ならもっと面白くできるというように新しい制作者達が勘違いをしてしまったと思われる。その思い上がりや勘違いを書いていこうと思う。
「料理の鉄人」は料理人同士の真剣勝負がメインでそれが受けた。しかしその中にたまたまキャラの立つ料理人がいて対決の結果ドラマ的な展開になり名勝負になることもあった。しかしそれはたまたまであって、あくまで料理対決がメインである。しかし「アイアンシェフ」は出演者のキャラを端から演出し、ドラマを作ることを主眼においてしまった。対決の目的を4人目の鉄人を決める戦いと最初からストーリーを決めてかかっていたことからも分かる。
それが収斂されたのが最終回間際に放送された山田宏己の回だと思う。料理勝負そっちのけで山田シェフのこれまでを延々と放送し、肝心の調理に関しては大した解説もなくいつの間にか終わっているという始末だった。対決の結果ドラマが生まれるのではなく挑戦者のドラマを演出した上で対決させるという手法は「料理の鉄人」と真っ向から対立する手法だ。震災の被災地の挑戦者や人気の「俺のフレンチ」からの挑戦者を連れてくるなんかもそうだろう。
演出に夢中になるあまり肝心の料理対決が霞んでしまうのは100歩譲って許せたとしても、フロアのリポーターにしゃべりに定評があるわけでもない芸人を使ったり、対決開始後にゲスト審査員の番宣で実況を削るなどは制作が調理シーンをどう位置付けていたのか分かるというものだ。肝心の対決よりタレントの人気で視聴率を取ろうとしているわけだ。タレント見たいならわざわざアイアンシェフを見るだろうか。
勘違いはまだまだ続く。初回の脇屋シェフの紹介の時に、脇屋が過去に新鉄人として登場が予定されていたのに番組が終了したことを指して「鉄人の地位が指から滑り落ちた」と称していた。私はそれを見たときにそこに違和感をかなり感じた。功成り名遂げた脇屋はアイアンシェフの地位をよく受けたという感じだが、自らが放送するテレビの企画の地位を名誉のように喧伝するのは思い上がりとしか言い様がない。
若い黒木を成長する料理人と決めてかかって演出しようとしたのも疑問だった。以前の陳建一のように父親は有名だけれど本人は未知数という料理人であればこれもありだと思う。例えば息子の陳建太郎であればこういう演出もありだろう。しかしミシュランで星をもらい予約が取れない店として有名な料理人をこのように扱うのは検討違いも甚だしい。そもそも鉄人を名誉として演出したいのか成長するものとしたいのか。後者ならば高いレベルだがオーソドックスにまとめてくる脇屋は相応しくない。
またそれを審査する結城女子などは鉄人時代にフードコーディネーターで完全な裏方だったのだが、鉄人時代の審査員に不満だったらしくわざと意地悪なコメントをしたりして不快だった。素直に美味いか不味いかで判断するなら分かるのだが、始まったばかりの番組でアイアンシェフのあるべき論を語ることは、番組のコンセプトの押し売りでしかない。平野雅章にしろ岸朝子にしろ番組のコンセプトを優先するようなコメントをしただろうか。
番組としていいスタートを切りたいなら、是が非でも道場六三郎を一時的でいいから和の鉄人として引っ張ってくるべきだった。それなら今まで書いてきたような思い上がりや勘違いがあったとしてもしばらくの間は我慢して見てくれた人もいるだろう。それがどうしてもできなかったのなら自分達が面白いと思うものを出して冒険するのではなく実績があるものを提示するべきだ。リバイバルとはいかなることなのか理解しているとは思いがたい。
結局のところ、かつては優良であった企画を思い込みと勘違いで料理した結果、世間にダメな企画として認知させた今回の政策サイドの罪は重い。番組制作の鉄人という番組があったら最低評価をつけられてしまうだろう。そんな彼らが料理人たちをジャッジしようなどとはおこがましいと思いながらも、最近のフジが低迷しているの原因が分かる気がする。ドラマの続編をかなりやっているみたいだが成功しているものはどれぐらいあるのだろうか。
この記事へのコメント
1. Posted by ロイス 2017年05月18日 12:49
アイアンシェフを失敗に導いた制作サイドの
連中は、きちんと禊ぎを受けたのでしょうか?
違う部署に飛ばされる、降格、給料下がる当等の。
連中は、きちんと禊ぎを受けたのでしょうか?
違う部署に飛ばされる、降格、給料下がる当等の。
2. Posted by 、 2022年12月12日 20:40
どうせ前作を越えることは不可能極まりない