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日経ビジネス2008年4月7日号 特集「地力を信じろ」

2008-04-10 22:43:51 | 読書
 日経ビジネス2008年4月7日号 特集「地力を信じろ」を読みました。

(以下引用)
自信を喪失した日本企業を世界的な不景気が襲う。
M&A(合併・買収)の嵐も吹き荒れている。
だが、浮き足だってはいけない。
視線を社内に向けよ。
「ヒトが財産」の言葉に象徴される人材、長年蓄積してきた知の結晶である技術。
これらの宝を生かす努力を怠っていないか。
ヒトや技術に内在する「地力」をもっと引き出そう。
困難に打ち勝つ活路が拓けるはずだ。
「強い日本企業」は郷愁の中だけにあるのではない。
自信を取り戻せ。
(引用終わり) 

 というメッセージの後、企業が持つ潜在的な力(地力)を引き出し成功したモデルとして紹介されているのが、島津製作所、松下電器の白物家電部門、ホンダの家庭用コージェネ装置開発チーム、重電の神鋼電機、PHSのウィルコム、料亭のなだ万、そして金型の不二精機、の7社ですが、中でも私が興味を抱いたのはPHSのウィルコムです。

 データ通信機能に優れている点と通話料金が安い点が気に入ったことがきっかけで、私はDDIポケット時代からウィルコムのPHSを使い続けています。音声定額サービスやスマートフォンをドコモほか携帯電話キャリアに先駆けていち早く市場に投入するなど、意欲的な取り組みを続けているウィルコムを1ユーザーとして応援していました。こうした同社の先進性も、米系投資ファンドのカーライルに買収され、KDDIの傘下から離れたことで経営の自由度が増し、企業の「地力」が引き出されたことが大きい、ということがリポートされています。
 KDDIの傘下にあったDDIポケット時代、同社の位置づけはまるで継子扱いです。記事によると、親会社のKDDIとバッティングする音声サービスに力を入れることは遠慮せざるをえず、満を持して開発した音声端末も「これはデータ端末です」とKDDIの幹部に説明するという、屈辱的な儀式を経なければ販売許可が出なかったといいます。しかしKDDIから離れた後は前に述べたような先進的なサービスを矢継ぎ早に打ち出しますが、ウィルコムの喜久川社長曰く「資本関係が変わってから突如、攻めに転じたのではない。攻めたいという思いも、そのための技術の仕込みもあった。社内に眠っていた。抑えつけられていた力が一気に爆発した。」のだそうです。
 もちろん、大株主は投資ファンドですから結果がシビアに求められる、というリスクが伴います。しかしそれでもウィルコムは自由を得たということで社員の「地力」が引き出され、収益向上も実現できたということですから、ウィルコムの経営の活性化に対してカーライルが果たした役割は高く評価されてよいでしょう。

 ウィルコムの前身であるDDIポケットのように、親に支配されていることでリスクはなくとも経営の自由度が制限されてしまい、本来発揮できるはずの「地力」が発揮できないでいる企業や大企業の事業部、工場は日本には数多くあるものと思います。株価が低迷している中、こうした「地力」が秘められた日本企業は、投資ファンドにとって実にお買い得な投資先でしょうし、実際に多くのファンドが虎視眈々と狙っていると聞いています。
 投資ファンドの中にはいわゆる「ハゲタカファンド」もあるでしょうし、彼らによる買収、MBOのすべてが好ましいものではないかもしれません。しかしながら、企業が本来有する「地力」を引き出し、停滞感が漂う我が国経済に活力をもたらすには、投資ファンドの役割を無視するわけにはいかないような気がします。

 それはそうと、ウィルコムの喜久川社長はやっぱりマツケンにそっくりですね(笑)

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