「給与65万円保障」のはずが、支給額は10万円
そんな中、同社の契約社員が参加するチャットグループで、衝撃的な噂が広まる。
「『1ヵ月で10件契約を取らないと契約更新されない』との情報が出回ったんです。不安になり、本社の窓口に問い合わせても返信はなし。
それから契約満了の前日に突然『雇用契約終了』を告げるメールが届きました。これまで契約更新の具体的な条件が説明されていなかったので、クビにされた同僚は『せっかく上京したのに、ふざけんな!』と怒っていました」(同前)
こうして「月65万円」の高給に惹かれた契約社員は大量に解雇されていった。クーパンの関係者は、「これまで契約社員の約3分の2が辞めさせられたのではないか」と語る。
トラブルはこれだけにとどまらない。
「給与の未払いを訴える契約社員が続出したのです。あるエリアでは、約20名の契約社員のうち8割が給与未払いでした。彼らは口を揃えて、『社内のホットラインに連絡しても対応してくれない』と嘆いています」(本社関係者)
筆者は複数の契約社員の給与明細を入手。基本給の半分に満たない額しか支給されていない者もいれば、額面で約10万円しか支給されていない者もいた。
一連のトラブルは、法律違反に該当するのか。労働問題に詳しい旬報法律事務所の鈴木悠太弁護士はこう解説する。
「給与未払いは労基法24条や最低賃金法に違反する可能性があります。また、契約更新時に労働条件を引き下げることは違法な雇い止めに当たる可能性があるほか、実際と異なる求人募集が民法上の不法行為に当たる可能性もある」
契約社員を集めた求人エージェントはどう考えているのだろうか。電話をかけてみると、「求人内容と入社後の待遇が違っていると(契約社員から)指摘を受けました。ただ、こちらもクライアントから下りてきた案件を流しただけで、被害者なんです」と主張。ロケットナウの運営元である「CP One Japan」に問い合わせると、担当者は以下のように回答した。
「ご質問いただきました件につきましては、現在社内にて慎重に確認を進めております。詳細が明らかになり次第、必要に応じて速やかに公表いたしますので、恐れ入りますが今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」
配送料0円、手数料0円の裏側で、一攫千金を夢見た若者たちが食い物にされていた。
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「週刊現代」2025年09月15日号より
取材・文/神保英二(フリーライター)
じんぼう・えいじ/'97年生まれ。週刊誌記者を経てフリーライターに。物流問題のほか、事件やご近所トラブルまで幅広く取材・執筆している