かつての定番「そろばん」が6位に 小学生の習い事ランキングに変化、中学受験も影響か
そろばんを習う小学生が増えている。学研教育総合研究所の「小学生白書」によると、令和6年の習い事ランキングでそろばんは6位。近年はトップ10に入ることが多く、昨年から生徒が倍増したという教室もある。令和のそろばんブームの背景には中学受験の激化があるとされる。指や頭を使うアナログのそろばんがもたらす学習効果に改めて注目が集まっている。 【ひと目でわかる】小学生の習い事ランキング かつて習い事の定番だったそろばんは、電卓の登場や習い事の多様化で生徒数が減少したが、全国のそろばん指導者らでつくる全国珠算教育連盟(京都市南区)によると、近年全国的に入塾者が増えている。 「小学生白書」の習い事ランキングではトップが水泳、2位が学習塾、3位が英会話教室で、6位のそろばんはサッカー(8位)や野球(13位)よりも上だった。 大阪市旭区のそろばん教室「菊水はしでら珠算教場」は今年、7月までに15人が入塾し、昨年同期と比べて倍増しているという。 小学4年の鬼頭実子(みこ)さん(9)は「計算が苦手だったが、そろばんを習ってから得意になった」と効果を実感。小学6年の田中杏梨さん(11)も「計算が早くなって、学校の授業に役立った」と話す。小学4年の息子が教室に通う青木真弓さん(50)は「数字に苦手意識を持ってほしくなくて、通わせるようになった。以前よりも集中力が身につきました」と喜ぶ。 人気の要因として指摘されるのが中学受験の対策だ。入試科目の中でも算数は点数配分が高い学校が多く、最近は問題自体の難易度も上昇しているという。同連盟の6年のアンケートでは、子供にそろばんを習わせている親の半数以上が「中学受験の意向がある」と回答した。 調査では、そろばんを習い始める時期が低年齢化していることも判明。昭和30年半ば~40年半ばは、九九を覚える小学3年生ごろから始める児童が多かったが、現在は小学1年生から習う子供が約40%を占め、就学前から始める子も約30%に上る。3歳未満で始める子供もいるという。 全国珠算教育連盟の沢田悦子理事は「計算の過程が見えるのがそろばんのよさで、電卓が普及しても消えることはない。集中力も上がったり、教室に通うことで礼儀作法が身についたりといったメリットもある」と話す。