ニンテンドー3DSが残した遺産と教訓 スイッチやスイッチ2成功の土台を築いた携帯ゲーム機 #エキスパートトピ
任天堂は今月4日、「Newニンテンドー2DS LL」の修理サービスを終了しました。これにより3DSの系譜に連なる製品は全て修理対応が終了し、任天堂の携帯専用ゲーム機の歴史は一区切りを迎えたことになります。
1989年に初代ゲームボーイが登場して以来、実に36年間ものあいだ、1つのメーカーが公式に携帯ゲーム機に関わり続けてきたのは前例のないことです。
前世代のDSがあまりにも大きな成功を収めたため、3DSの存在は影が薄く感じられがちです。その真の存在意義はどれほどだったのか、数々の記事を通じて振り返ってみます。
ココがポイント
任天堂、すべての3DS/2DS系ハードの修理対応を終了 最後のモデルの部品在庫がなくなったため
出典:オタク総研 2025/9/5(金)
3DSが思わぬ苦戦、任天堂復活への遠い道のり
出典:東洋経済オンライン 2016/3/6(日)
3DSに関しては、国内では一時期確かに失速しましたが(中略)なんとか立て直すことができました。
出典:任天堂 2015年6月26日(金)第75期 定時株主総会 質疑応答 2015/6/26(金)
携帯やスマホにもゲームがあふれる時代に、任天堂が「ニンテンドー3DS」を発売する意味を考える
出典:ダイヤモンド・オンライン 2011/3/2(水)
エキスパートの補足・見解
3DSは「立ち上げに躓きながら、立て直しに成功した」希有なゲーム機です。発売当初は価格が高すぎると不評、3D機能も「目が疲れる」と賛否両論、ローンチタイトルも少ない状況でした。さらに、ちょうどスマートフォン向けゲームアプリが急速に成長した時期と重なり、携帯ゲーム機市場全体が縮小傾向にありました。
それでも2011年末に大幅な値下げを実施し(値下げ前に購入したユーザーには20本の無料ダウンロードソフトを提供)、その後は『モンスターハンター』や『ポケットモンスター』シリーズといったヒット作が続きました。
これらは、スマホのタッチ操作や単一画面では再現できない複雑な操作や2画面を活かした内容であり、「ゲーム専用機ならではの体験」を提供しました。結果として、スマホに押されつつあった家庭用ゲーム機の存続に大きく貢献したと言えます。
さらに、3DSで培われた多くのゲームIPやノウハウはSwitchのソフトラインナップ拡充に繋がり、Switchの成功を支える重要な基盤の1つとなりました。また、「本体価格が高すぎる」や「ローンチタイトルが貧弱」といった初期のつまずきの教訓は、Switch 2にしっかりと活かされているようです。