上越線のSLが群馬県内で脱線 蒸気機関車「D51」 けが人はなし
JR東日本高崎支社によると、4日午前11時47分ごろ、上越線の後閑(ごかん)駅~上牧(かみもく)駅間(いずれも群馬県)で、試運転中の蒸気機関車(SL)が脱線した。乗客はおらず、乗務員9人にけがはないという。事故の影響で、沼田駅~水上駅間の上下線で一時運転を見合わせた。 脱線した車両をとらえた写真(読者提供) 高崎支社によると、このSLは「SLぐんま」として使われている「D51 498」。7月に車輪の一部にブレーキがかかった状態になる不具合を起こしていた。今回は修理後の試運転として、高崎駅から水上駅に向かっていたという。 運輸安全委員会などによると、客車5両を連結して走行中、運転士が異音を聞いた。停車させて確認したところ、水や石炭を積む「炭水車」の1軸(先頭車軸から7軸目)が進行方向左側に脱線していた。 脱線現場近くに住む会社員男性(24)によると、4日正午前に上越線の線路の方から「ガシャガシャ」という音がした。見にいくと、SLの車輪が線路から外れ、JR東日本の関係者らしき何人かが線路のまわりに集まり、様子を見ていたという。 男性は「今日、SLの洗車をしているのを見ていた。まさか脱線するとは」と驚いていた。 JR東日本のウェブサイトによると、D51は「デゴイチ」の愛称で呼ばれ、貨物用の機関車として、1936~50年に1115両が製造された。「D51 498」は、40年に製造され、岡山・大阪・福島・新潟などで、72年まで使われた。 引退後は、上越線の後閑駅前で「静態保存」され、88年に「動態保存」のSLとして復活していた。(小寺陽一郎、染田屋竜太)
朝日新聞社