2026年度一般会計予算の要求総額は122・4兆円と、3年連続で過去最大となった。25年度予算に比べて7・2兆円の増額となる。来年度の要求総額のうち、一般歳出は71兆円と、25年度より3・3兆円増えた。
これに対し、借金返済や利払いに充てる国債費は32・3兆円と、25年度に比べて4兆円余りの増加となっている。
今回の概算要求にあたっては、賃金や調達価格の上昇を踏まえた要求が広く認められた。物価上昇に伴い税収も増加するので、自然増の要求を認めても問題ないからだ。
さらに、政策判断に基づく「裁量的経費」もこれまで条件としてきた一定の削減、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー原則がなく、増額が可能となっている。これも背後には物価上昇に伴う税収増があるためで、新規要求に財源を持ってこいとなったのだろう。
こうして考えると、ガソリン減税で与党が財源が必要と言っていることと整合性がとれていないのが分かる。ガソリン減税も財源は不要が正しい政策だ。もちろん、その背景として財務省は口が裂けても言わないが、減税乗数と税収弾性値をそれぞれ3程度に設定して経済成長の果実を財源とするという考えがある。
こうなってくると、財務省は一般歳出ではない、国債費の増加にマスコミ議論を持っていこうとする。そこで国債費が4兆円増という点を強調しているのだ。
筆者は大蔵官僚時代に理財局国債課課長補佐をしており、国債費の要求側だった。同じ大蔵省でも、筆者のいた理財局は要求側で、主計局が査定側だった。お互い知り合いなので奇妙なものだが、仕事なので割り切って行った。
国債費は、償還費と利払い費に分かれており、償還費は国債残高の1・6%で機械的に算出され、利払い費は「積算金利」から算出される。
積算金利は、24年度1・9%、25年度2・0%、今回の26年度2・6%とされている。すぐ分かると思うが、金利はこんなに高くない。要するに過剰要求だ。しかし、主計局の査定で減額されない。26年度は不要になると思うが、補正予算の財源とするのだ。これは筆者の現役時代と同じだ。また、償還費を予算で計上しているのは、ある意味で過剰要求といえる。
122・4兆円という要求は過去最大とマスコミは強調するが、これは財務省の言いなりの報道で、中身をみると意外と水膨れなのだ。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)