両親の死に直面して抱いた恐怖――ひきこもり歴30年を経て得た気づき #老いる社会
「ひきこもりの人々は、働く能力があることが優れているという価値観が大手を振って歩いている社会に対して、『人間ストライキ』を続けている活動家だと私は考えています。私たちにできるのは、押し付けられる社会的自立に『NO』を突きつけて、“協力”しないこと。“非協力のススメ”ですね。その上で『NO』を突きつけた人たち同士で集まり、交流していくことが大事だと思っています」
ひきこもり当事者の交流会へ
そんな話をしていた翌日の夜。勝山さんは、横浜市南区の住宅街にある、こぢんまりとした「お店のようなもの」という場所の調理場に立っていた。場所を借り切って行われていた、ひきこもり当事者の交流会だった。 勝山さんは、「きびきび」や「てきぱき」といった言葉とはほど遠い動きで、「こころをこめて、ひとつずつ作りますので、ゆっくりお待ちください」と楽しそうにお手製の雑煮を振る舞ったり、日本酒を注いだりしていた。20人近い参加者たちは、狭い店内で肩を寄せ合いながら座っていた。おしゃべりする人と黙って聞いている人、酒を飲む人と飲まない人、つまみを食べる人と食べない人――。 それぞれが思い思いに時を過ごす小さな空間では、社会的自立を目指すべきだと語る人はいなかった。 勝山実(かつやま・みのる) 1971年、神奈川県生まれ。高校3年で不登校になり、以後ひきこもり生活になる。自称「ひきこもり名人」。著書に『ひきこもりカレンダー』『安心ひきこもりライフ』『バラ色のひきこもり』『自立からの卒業』がある。 「#老いる社会」はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。2025年、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となります。また、さまざまなインフラが老朽化し、仕組みが制度疲労を起こすなど、日本社会全体が「老い」に向かっています。生じる課題にどう立ち向かえばよいのか、解説や事例を通じ、ユーザーとともに考えます。