両親の死に直面して抱いた恐怖――ひきこもり歴30年を経て得た気づき #老いる社会
社会問題の当事者であり続けた
第二次ベビーブーム(1971〜1974年)に生まれた「団塊ジュニア」である勝山さんの人生は、日本のひきこもり問題と伴走してきたと言えるかもしれない。管理教育と過酷な受験戦争を経験した後、バブル崩壊後の就職氷河期にもかかったこの世代は「不運の世代」とも言われている。 「1990年代、一般的な感覚だと25歳というのがボーダーラインでした。その年齢までに正社員にならないと、真っ当な人生から脱落してしまう。しかし、2000年ごろから精神科医の斎藤環氏の著書などで『社会的ひきこもり』という言葉が世に出てきた。さらに30歳を過ぎたあたりで突如『ニート』という言葉が出てきて、若者の定義が34歳になり、それに合わせるかのように、ひきこもり地域支援センターなどの対象年齢も39歳まで引き上げられた。『もうおしまいだ』と何度思っても、自分がラインを越えるたびに延長されるわけです」 そして40歳になった頃、今度こそ社会問題の当事者ではなくなったと思っていたところに現れたのがひきこもりの高齢化問題、通称「8050問題」だった。ただ、「親が死んだらどうする?」というのは、それ以前からずっと言われていたことだという。 しかし、生活保護や障害者年金など社会保障についての知識を得ていくとともに、その恐怖感は薄れていった。 「60歳の親が平均寿命まで生きたとしても80歳で、あと20年あるわけです。だから、それは20年後の悩みであって、今考えることではない。今悩んで解決方法を見つけたとしても、20年後に通用する保証はない。つまり、今、あれこれ考えることは無駄で、親が死んだらどうするかってことは考えるべきじゃない、腰を据えて安心してひきこもることが大事だということをあっちこっちで言っていた」 ただ、さらに歳を重ねた時、これまでのように8050問題がスライドして9060問題になることはなかった。2020年代に入り両親が相次いで亡くなったからだ。