両親の死に直面して抱いた恐怖――ひきこもり歴30年を経て得た気づき #老いる社会
15〜64歳の50人に1人、推計146万人が「ひきこもり」。そんなショッキングな数字が内閣府の調査で明らかになったのは2023年のことだった。いずれ高齢化した親が中高年の子どもを支えきれなくなる「8050問題」に直面すると言われ続けてきたが、いまやそれは現実のものとなり、「9060問題」となって、親が亡くなる段階に移行しつつある。高校中退後、30年以上にわたってひきこもり生活を続けてきた勝山実さん(53)も相次いで両親を亡くした一人だ。勝山さんは両親亡き後、どのように過ごしているのだろうか。(取材・文・撮影:ジャーナリスト・飯田和樹/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
やればできる子という呪縛
勝山さんのひきこもり歴は長く、その始まりは高校生時代にさかのぼる。どうしてもやる気が起きず、「なんのために勉強をするのか」という違和感を覚えるようになる。 その違和感は次第に膨らみ、不登校につながる。そして、高3の2月、勝山さんは中退を決意する。「留年」と「中退」を天秤にかけ、「留年は格好悪い」と考えたためだった。そして「大検(現在の高卒認定試験)」というバイパスを選択し、浪人して大学に入ることを目指す。 「今は落ちこぼれているけど、本気を出せば、大学に行ける。当時は浪人生は珍しくなかったから、まだ挽回できる、一浪でいい大学に行けば全てチャラになる、と空想していた。だから、志望校のランクを落とすこともしなかった。結果、3浪です」 そんな当時を「やればできる子という呪縛に囚われていた」と振り返る。 「常に不正解を選び続けた」(勝山さん)結果、勝山さんは社会に出る機会を失う。ただ、3浪してブラブラしていても、周囲に同じような知り合いがいる間はよかった。しかし、25歳を超える頃から、自分と同じだと思っていた彼らは、次第に社会に適応していった。そこで、メンタルがおかしくなってくる。 「もう自分でもどうしたらいいかわからない。家の周りを泣きながらマラソンしていました」 26歳の時、精神科を訪ねると、すぐにうつ病だと診断された。