業務上横領の罪に問われた公立玉名中央病院元理事長に無罪判決

玉名市にあった公立玉名中央病院で口座からおよそ700万円を着服して自分名義の車の購入にあてたとして業務上横領の罪に問われた元理事長の裁判で、熊本地方裁判所は「横領行為にあたると認めるには合理的な疑いが残る」などとして、無罪を言い渡しました。

玉名市にあった公立玉名中央病院の中野哲雄元理事長(73)は、2016年3月、口座からおよそ700万円を着服して自分名義の車の購入にあてたとして業務上横領の罪に問われました。

これまでの裁判で検察側は懲役3年を求刑したのに対し、元理事長側は無罪を主張していました。

裁判は、口座の預金の使途について病院の医師らの研究や業務の経費の支出に限定すると病院から元理事長に委託されていたかどうかなどが争点となりました。

3日の判決で熊本地方裁判所の中田幹人裁判長は、「口座預金は病院が被告に管理を委託したと認められる」と指摘しました。

その上で、「病院から医師らの研究や業務などのための経費の支出に限定して用いるとの委託があったとは認められず、自動車購入の支払いにあてたことが委託に背く横領行為にあたると認めるには合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡しました。

【元理事長コメント「ほっとしています」】
無罪判決を受けて元理事長の弁護団で主任を務めた原啓章弁護士は記者会見を開いて元理事長のコメントを代読し、「裁判所には正しい判断をしていただき、いまはほっとしています」と述べました。

また、原弁護士は「一貫して無罪を主張してきた。だいぶ時間はかかったが、こちらの主張に関して裁判所に理解していただき無罪判決になったことにほっとしている」と話していました。

【熊本地検「判決内容を確認し、適切に対応したい」】
無罪判決について、熊本地方検察庁は「判決内容を確認し、適切に対応したい」とコメントしています。

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