「撮影NG」だった万博・太陽の塔で結婚写真OK…重文指定で緩和を求める声が上がり、条件付きでルール見直し
1970年大阪万博のシンボル「太陽の塔」(大阪府吹田市)で、ウェディングフォトなど一部の商業撮影が解禁される。著作権上の判断から「撮影NG」とされてきたが、重要文化財(建造物)の指定が決まったことで緩和を求める声が上がり、太陽の塔が立つ万博記念公園が条件付きで運用ルールを見直すことになった。 【写真】闇夜に浮かぶ太陽の塔…万博記念公園で「イルミナイト」
芸術家・岡本太郎が手がけた太陽の塔は、現在は府が所有。著作権は岡本太郎記念現代芸術振興財団(東京)が保有し、商業利用の許諾を行っている。
同公園では、料金3万3000円を支払えば、プロのカメラマンを伴い、ドレスや和装で記念写真を撮ることができる。しかし、塔を写すことはNGだった。公園内にある結婚式場・迎賓館の利用者にだけ認めていた。
吹田市で写真館を営む男性(40)は、カップルらに事情を説明して断ってきたといい、「市民は愛着を持っている。残念そうにされる方が多く、心苦しかった」と話した。
財団によると、写真が作者の意に反するような改変をされたり、イメージに沿わない形で商業利用されたりするリスクを避ける必要があったためとしている。
見直しのきっかけは、今年5月、国の文化審議会が重文指定を文部科学相に答申したことだ。吹田市の後藤圭二市長は5月の記者会見で「太陽の塔は国民の共有財産。地元の誇りとするための使い方は制限しないでほしい」と問題提起した。
こうした声も踏まえて公園事務所は財団側と協議。「個人利用の範囲に限る」との確約がとれれば、ウェディングフォトや七五三で、プロのカメラマンによる撮影を認めると運用を改めることにした。公園事務所の担当者は「高度経済成長期を象徴するレガシー(遺産)として、許可の範囲内で活用してほしい」としている。
撮った写真を商品パッケージや宣伝広告、カレンダー、写真集などに勝手に使うのは引き続きNGだ。
著作権に詳しい島並良・神戸大教授(知的財産法)の話
「著作権法では、屋外に恒常的に設置された美術の著作物は、同じ作品をもう一つ製作する場合などを除き、広く自由に利用できると定めている。商業撮影を一切認めないという従来の対応は極めて厳しかった。重文指定で公共性が増すこともあり、人々がより親しめるようにしていくべきだ」