起源は江戸末期「キッコーセイ」(青森県藤崎町)のしょうゆ絶やさぬ 大雪で蔵倒壊、修繕目指しCF
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青森県藤崎町で100年にわたり愛されてきた甘口しょうゆ「キッコーセイ」が存続の危機に瀕(ひん)している。今冬の大雪で、300坪(990平方メートル)ほどある醸造蔵の3分の1程度が倒壊し製造が困難になったため。事業を行う「ひろさき夢興社」の齋藤ひとみ社長(50)は蔵を修繕する資金を集めるためクラウドファンディング(CF)を行っており、東奥日報の取材に「お客さまのため一刻も早く再建したい」と話した。 キッコーセイは江戸時代末期の1864(元治元)年に黒石市で創業したしょうゆ醸造店がルーツ。1924(大正13)年に中清食品工業(創業当時は中村商店)が藤崎町で製造を始めた。 同社は、2019年に破産。同町で生まれ育ちキッコーセイの味に慣れ親しんできた齋藤社長は「この味をなくしてはいけない」と事業を引き継いだ。原価率の高さから売れば売るほど赤字だったという経営体制を見直し、直売のみに切り替えたり、販売容量と価格を見直したりした。 経営が軌道に乗り始めた5年目の冬、予期せぬ事態は起こった。今年2月、ごう音とともに備品庫や通路の屋根が雪の下敷きに。悲惨な光景を目の当たりにし「終わった」(齋藤社長)と思ったが、幸い従業員にけがはなく、蔵の命ともいうべき100年使い続けてきたたるは無傷だった。「歴史を紡いできた先人たちからやめるな、と言われている気がした」という。 被災後も残ったたるで醸造を続け、7月に営業を再開し、初日は1日で過去最高の200万円の売り上げを上げた。CFサイト「キャンプファイヤー」で9月末まで寄付を募っており、目標額は1千万円。調達額にかかわらず10月ごろから工事を行う予定だ。 齋藤社長は「このまま終わるわけにはいかない。100年先を見据えた製造ラインの見直しもしていきたい」と語った。