石破茂首相が退陣論が強まる中で続投を重ねて表明した。石破自民党は昨年の衆院選、6月の東京都議選に続く参院選の大敗で国民の信頼を失った。首相が居座っても政策実現は難しく、政治の混乱を長引かせるだけだ。一刻も早く身を引くべきである。
首相は23日、党内の首相経験者3人との会談で対応を協議。終了後、記者団に対し、早期退陣を否定した。日米関税交渉の合意が自らの進退に与える影響については「合意の内容を精査した上でなければ申し上げることはできない」と述べるにとどめた。
首相はこれまで退陣しない理由として、関税を巡り日米両政府が協議中であることや自然災害などを挙げていたが、関税は合意に達し、災害対応は石破氏でなければならない理由にはならない。
首相が関税合意を巡り、トランプ米大統領との間で確認するまで退陣を表明できないと考えているのなら、政権を延命させるためのこじつけでしかない。
自民党内では、首相が進退を明確にしなければ退陣論が高まることは避けられない。
すでに、茨城、奈良、愛媛、高知などの県連が退陣を要求し、党所属の中堅・若手議員らは首相の責任を問う署名活動を始めた。もはや、首相が党内で求心力を回復する手だてはない。
自民党の党則は所属国会議員と都道府県連代表の過半数が求めれば、総裁選を実施すると定める。これまで前例はなく、今回、事実上のリコール(解職請求)に至れば、首相が「決してあってはならない」と強調する党分裂のきっかけになる可能性も否定できない。
野党側も、国民の信頼を失った石破政権との政策協議に応じるわけにはいくまい。与野党協議が入り口で停滞すれば、物価高対策の遅れにつながる。「国難」に位置付けられていた日米関税交渉が合意に至り、野党第1党の立憲民主党が石破内閣不信任決議案の提出を控える理由もなくなった。
参院選の結果、中小政党が影響力を持つ多党化が進んだ。戦後政治の転換点である。
幅広い党派が議論を尽くし、結論を得る政治を定着させるには一定の時間が必要だ。首相が政権の座に居座る限り、与野党は新しい政治に向けた一歩を踏み出すことはできない。混乱をいたずらに長引かせるべきではない。
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Jimmy 7月25日11時13分
自公惨敗は石破首相だけの責任ではない。最も責任が重いのは政治の信頼を失った裏金議員だ。それなのに裏金議員たちが石破氏に責任を押し付けて降ろそうとするのは合点がいかない。初回の日米首脳会談で要望した日鉄のUS steel 買収は承認された。関税交渉はそれなりの合意となった。もちろん日本は対米貿易で黒字を稼ぎ続けれていて、膨大な貿易赤字を削減したい米国に協力する必要がある。だから安倍政権時も武器を爆買いしていた。党内で非主流派となった人たちは石破政権に政策面では大きな失策がないため選挙での大敗を理由にして降ろそうとしている。森山幹事長の消費税維持に政治生命を賭けるという気構えはある意味でご立派だが、有権者の心には響かない。誰でも税金は低いほうが良いに決まっているが、消費喚起と財政規律のバランスをとって政策を進めてほしいという意見は実は多いと思う。首相は自民総裁だが国全体のヘッドなのだから自民党内だけの力学や過去の恨みつらみで安易に首をすげかえてよいものではない。石破やめるなの声がSNSハッシュタグで自然発生的に広がっているようだが、安易に退陣して混乱を起こすことは避けたほうがよいと思う。
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