中国人留学生へのビザ発給めぐる方針転換、トランプ氏が正当性を主張 支持層の反発受け

青いスーツを着たトランプ氏が椅子に座り、両手を広げて話している。背後には星条旗が置かれている

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は8月31日、中国人留学生60万人にビザ(査証)を発給するという自身の決定について、正当性を主張した。1月に大統領に再就任したトランプ氏は、留学生の学生ビザを取り消すなど、受け入れに否定的だったが、8月25日に突如方針を転換。これに、トランプ氏を支持してきたMAGA(アメリカを再び偉大に、の頭文字)運動の支持者たちから反発が上がっていた。

トランプ氏は8月31日、米保守系ニュースサイト「デイリー・コーラー」に対し、中国人留学生の受け入れを禁止するのは「侮辱的」だとし、今回の措置は小規模大学に利益をもたらすものだと語った。

中国との通商協議を続ける中、トランプ氏は、数カ月にわたる米政権の強硬姿勢を転換することとなった。

トランプ氏率いる共和党のMAGA派からは、怒りと困惑の声が上がっている。FOXニュースのローラ・イングラム司会者は「本当に理解できない」、「60万人分の席を、アメリカの子どもたちが奪われることになる」と述べた。

トランプ氏を支持する極右活動家ローラ・ルーマー氏は、「60万人の中国人『留学生』、つまり共産主義のスパイがアメリカに増えることを望んでる者は一人もいない。繰り返す。一人もだ」とソーシャルメディアに投稿した。

中国人留学生は米経済に「資金もたらす」

トランプ氏は、中国人留学生は米経済に資金をもたらすと主張。中国人留学生へのビザ発給を拒否すれば米中関係は弱体化するだろうとしている。

「私は(中国の)習(近平)国家主席ととても良好な関係にある。相手国の学生を受け入れないというのは、その国に対してとても侮辱的なことだと思う」と、トランプ氏はデイリー・コーラーに語った。

さらに、「私は中国とうまくやっている」とも付け加えた。「中国は今、我々に多額の金を払っている。何億ドルもだ」。

マルコ・ルビオ米国務長官は今年5月、中国共産党とつながりがある者や、重要分野を学ぶ者を対象に、「積極的に」ビザを取り消すと述べた。

ビザの取り消しをめぐる方針は、トランプ氏の関税措置をきっかけに始まった米中間の報復的な貿易戦争により、両国関係が悪化する中で発表された。両国は現在、貿易関税をめぐる一時的な「休戦」状態にある。

ホワイトハウスによると、トランプ氏が表明した60万件の学生ビザは、今後2年にわたり発給されることになる。この数は、過去数年間の発給数に沿って設定されたものだという。

トランプ氏は、学生のアメリカへの入国を認めることに対して見返りを期待しているわけではないと、デイリー・コーラーに述べた。

「そういうわけではない。ただ、我々がやっているのは正しいことだと思う」と、トランプ氏は述べた。「ほかの国とうまくやるのはいいことだ。悪いことじゃない。特に、核保有国となら」。