インドネシア反政府デモ、大統領が議員手当削減発表で鎮静図る

インドネシア反政府デモ、大統領が議員手当削減発表で鎮静図る
 8月31日、インドネシアのプラボウォ大統領は国内各政党が議員手当削減に合意したと発表し、過去数十年で最悪の暴動に発展して5人が死亡した反政府デモの鎮静を図った。写真は整列するインドネシアの軍部隊。ジャカルタで31日撮影(2025年 ロイター/Willy Kurniawan)
[ジャカルタ 31日 ロイター] - インドネシアのプラボウォ大統領は31日、国内各政党が議員手当削減に合意したと発表し、過去数十年で最悪の暴動に発展して5人が死亡した反政府デモの鎮静を図った。
 議員に支給されている過大な住宅手当などへの不満から25日に始まった反政府デモは学生などの一部が暴徒化。デモが行われた国会周辺で29日、警察車両がバイクタクシーの運転手をひき逃げしたことで、政党幹部自宅や政府の建物が荒らされたり放火されたりして、ムルヤニ財務相の住宅も侵入され、株価や通貨ルピアが急落する事態までもたらした。
 こうした中でプラボウォ氏は中国訪問予定を中止して閣僚らと情勢を協議し、会見を開いて、議会の指導層が現在の議員手当の規模を含めた幾つかの政策を廃止すると述べた上で「警察および軍に対して公共施設の破壊や個人宅、経済の中心地における略奪について法律に基づき可能な限り厳格に対処するよう指示した」と表明した。
 今回の反政府デモは、1年近く前に発足したプラボウォ政権にとって最大の試練となっている。
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 インドネシア最大の学生団体を率いるムザンミル・イフサン氏はロイターに、議員手当削減だけでは不十分で、さらなる抗議行動を「検討中」だと説明。「政府はさまざまな根深い問題を解決しなければならない。街頭に渦巻く怒りには大義がある」と強調した。
 別の学生団体のリーダーも、大統領の発表で格差を生む経済構造などの問題は解決されないとの見方を示した。

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