廃止や休止相次ぐ訪問介護 山形県が巡回相談 専門家の派遣も

自宅などで暮らす高齢者や障害者の介護を行う訪問介護事業所の廃止や休止が相次ぐなか、県は、事業所の経営改善につなげようと、直接出向いて課題を聞き取ったり、専門家の派遣を行ったりする事業に乗り出しています。

県によりますと、ヘルパーの人手不足や昨年度、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことなどから、県内およそ200の訪問介護事業所のうち、昨年度から先月までに廃止となったり、現在、一時休止となったりしている事業所はあわせて28か所に上っています。

また、稼働していない事業所が1つもない自治体が4つあります。

こうした中、介護が必要な高齢者や地域で暮らす障害者が今後増えることからサービスを維持する必要があるとして、県は今年度から、事業所に出向いて経営などの相談に応じる取り組みを始めました。

2日は、相談業務を行う団体の担当者3人が新庄市内の事業所を訪れ、責任者からヘルパーが高齢化している上に求人に対して応募がないことや、訪問の移動範囲が広いためガソリン代が高騰して経営を圧迫していることなどを聞き取っていました。

そのうえで、経営の相談に応じられる専門家を派遣することを提案していました。

事業所の責任者は、「何とかやっていますが経営は厳しいので、対面での相談や専門家の派遣はありがたい」と話していました。

【山形県 実態把握のアンケート実施なども】
民間の信用調査会社東京商工リサーチによりますと、去年、廃止や休止などした訪問介護事業所は全国で529件と、前の年から150件あまり増え、調査を始めた平成22年以降、最も多くなりました。

こうしたなか、県ではほかにも、実態を把握するため、県内の事業所を対象に、課題などについて聞くアンケートを実施しているほか、今月下旬からは、人手不足のなかで事業所どうしの連携を図ってもらおうと、一堂に集まる研修会を県内4地域で開くことにしています。

県から補助を受けて事業を実施している「県地域包括支援センター等協議会」のコーディネーターの尾形葵さんは、「人件費の高騰も課題だという声も聞かれる。事業所が抱える課題に寄り添って、少しでも支えになれるよう取り組んでいきたい」と話していました。

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