部下を宙づり、パワハラした消防士 最高裁「処分は適法」と逆転判決

米田優人
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 職場でのパワハラ行為を理由に懲戒処分を受けた福岡県糸島市消防本部の元係長ら2人が、処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(石兼公博裁判長)は2日、処分は適法だとして、2人の訴えを退ける判決を言い渡した。地裁と高裁は「処分は重すぎる」と判断していたが、第三小法廷は「処分は違法ではない」とした。2人の逆転敗訴が確定した。

 2人は2017年に1人が懲戒免職、もう1人が停職6カ月の処分を受けた。トレーニング中の部下に対し、鉄棒にかけたロープで体を縛って懸垂をさせ、力尽きた後も数分間宙づりにさせるなど、複数回のパワハラや暴言が理由とされた。

 2人は裁判で、処分理由には事実でないものが含まれ、弁明の機会も足りなかったと主張。地裁判決は2人の主張を認めて処分を取り消し、高裁も取り消しを支持した。

 しかし、第三小法廷は、職場での優位性を背景にした2人の行為は、指導の範囲を大きく逸脱していると指摘。「部下に恐怖感や屈辱感を与えるもので極めて不適切」と述べた。

 さらに、火災現場などで活動する消防では職員間の緊密な意思疎通が重要であり、2人の行為が組織の規律や秩序を乱した悪影響は見過ごせないと指摘。2人が懲戒処分を受けたのが初めてだった点を踏まえても、処分は違法とはいえないと結論づけた。

 判決を受け、月形祐二・糸島市長は「最終的に市の主張が認められたと受け止めている。同様の事案が起きないよう、市を挙げて良好な職場環境づくりに引き続き取り組む」とのコメントを出した。

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この記事を書いた人
米田優人
東京社会部|最高裁
専門・関心分野
司法、刑事政策、消費者問題、独禁法