自民 参院選の敗因など総括 臨時総裁選の是非問う手続き開始
自民党は「両院議員総会」で参議院選挙の敗因などを盛り込んだ総括を正式にまとめ、これを受けて臨時の総裁選挙の是非を問うための手続きを開始しました。森山幹事長は責任を取って幹事長を退任する考えを示し、石破総理大臣がその場で預かると発言しました。
==両院議員総会==
石破首相「しかるべき時に決断する」
自民党の「両院議員総会」は午後1時半から党本部8階のホールで始まり、およそ3時間後の午後4時半ごろに終了しました。
冒頭、石破総理大臣は参議院選挙の敗北について「総裁である私の責任であり、そのことから逃れることは決してできない。去年の総裁選挙で多くの同志や国民から『石破であれば変えてくれる』という期待をいただいたが、期待を裏切り、期待外れにより多くの同志を失うことになった。幾重にもおわび申し上げなければならない」と述べました。
そのうえで▽物価を上回る賃金上昇の実現▽関税交渉を含む経済▽コメなどの農業政策▽防衛力の強化▽首都直下地震への対応といった防災対策などをあげました。そしてこれらの政策課題の解決に党として道筋を示すことが責任だとしたうえで「地位に恋々としがみつくものでは全くなく、責任から逃れず、しかるべき時にきちんとした決断をすることが私が果たすべき責務だ」と述べました。
森山幹事長「責任を痛感している」
また森山幹事長は「執行部に身を置く者として責任を痛感している。重要なことは反省を単なることばに終わらせるのではなく、挙党態勢を確立して国家運営の全体像や将来像を国民に力強く示すことだ。いま必要なことは党の一致結束で、国家国民のためすべての力を結集し、ともに前進をすることがわれわれに課せられた使命だ」と述べました。
臨時総裁選の是非問う手続き開始
総会では2日午前の「総括委員会」で了承した参議院選挙の敗因などを盛り込んだ総括について意見を交わし、正式に取りまとめました。これを受けて臨時の総裁選挙の是非を問うための手続きを開始しました。
臨時の臨時の総裁選挙の実施には国会議員295人と都道府県連の代表者47人の総数の過半数にあたる172人の賛成が必要となります。来週8日に実施を求める国会議員の書面の提出が行われ、その日のうちに都道府県連を含めた結果が公表される見通しです。
臨時総裁選挙は実施すべき? 自民 国会議員に問う
自民党の総裁選挙管理委員会は臨時の総裁選挙の是非を問うための手続きを開始し、党の職員が国会議員の事務所を回り、臨時の総裁選挙の実施を求める場合、必要となる書面を配布しました。書面には「党則に基づき総裁選挙の実施を要求します」という記述とともに、国会議員の名前の記入やなつ印をする欄が設けられています。
選挙管理委員会の逢沢委員長は党本部で記者団に対し「総会が終わった段階で私から直ちに手続きに入るように指示した。臨時に総裁選挙をすべきだという考えの議員や都道府県連にはしっかり判断してもらい、粛々と手続きを進めるのが責任だ。どういう結論になろうが試練に向き合っていかなければならないので、国民の期待と信頼を取り戻せるように努力する」と述べました。
森山幹事長 “進退を石破首相に預ける”
一方、焦点となっていた党執行部の進退をめぐり森山幹事長は総会の場で幹事長を退任し、進退を石破総理大臣に預ける考えを示し、石破総理大臣がその場で預かると発言しました。
自民 森山幹事長 “退任し進退を石破首相に預ける”
石破首相 党再生に取り組む決意強調 しかるべき時期に責任判断
==議員からは==
寺田 元総務相「直ちに総裁選挙やるべしでなくていい」
旧岸田派の寺田 元総務大臣は記者団から臨時の総裁選挙の実施を求めるか問われたのに対し「すべきではないというほうに傾いている」と述べました。そのうえで「石破総裁自身が責任問題は『しかるべき時に判断する』と言っており、総裁のことを信じたい。一致団結が大事で、政局に持ち込むやり方はよくなく直ちに総裁選挙をやるべしという方向ではなくていい」と述べました。
小林 元経済安保相「大敗した民意をないがしろに」
小林鷹之 元経済安全保障担当大臣は記者団に対し「2回の国政選挙で大敗した民意をないがしろにするのであれば、もはや自民党は民主主義を守る政党とは言えない。石破総理大臣が責任の取り方について今後、総裁選挙の実施を求める署名の提出時期までに変更しない場合は署名を行う」と述べました。
高市 前経済安保相「心にとっくに決めている」
高市 前経済安全保障担当大臣は記者団に対し「総括では非常に幅広い政策について触れていたが、国民に認めてもらえなかった政策は一から見直すべきだ。それに向けてみんなで力を合わせてやっていこうということを申し上げた」と述べました。そのうえで臨時の総裁選挙の実施を求める署名を提出するかどうかについては「心にとっくに決めている。組織がうまくいかなかった時のリーダーの責任の取り方については自分なりの考え方があるので、意思表示はさせてもらう」と述べました。
片山 元地方創生相「支援者の意見踏まえ対応決めたい」
片山さつき 元地方創生担当大臣は記者団に対し「石破総理大臣が『地位に恋々としない』と述べたことについては多くの議員が評価していたし、私も石破総理大臣らしくてよいと思った。一方、どうするのかはっきりすべきだという意見など具体性を求める声も多かった」と述べました。また臨時の総裁選挙の是非については「全国の支援者と話すと『党の出直しのため総裁選挙をやったほうがよい』という人が多い。支援者などの意見をしっかりと踏まえて対応を決めたい」と述べました。
鈴木宗男 参院議員「衆議院解散に打って出たほうがいい」
鈴木宗男 参議院議員はNHKの取材に対し「コップの中のけんかみたいに『総裁選挙をやれ、やるな』という議論をするよりも、公明正大に民主主義の手続きで堂々と信を問うほうがいい。総会でも『自信を持って衆議院の解散に打って出たほうがいい』と申し上げた。石破総理大臣は相当な心構えを持っていると受け止めている」と述べました。そのうえで「石破総理大臣が進退に言及する必要はない。『裏金問題』も岸田前総理大臣の時の処分が甘く、そのツケを受けているわけで石破総理大臣の責任ではない」と述べました。
三谷英弘衆院議員「いま責任取ると言ってもらいたかった」
三谷英弘 衆議院議員はNHKの取材に対し「石破総理大臣は『しかるべき時に決断する』と述べたが、なぜいまその決断ができなくてあとになったらできるのか正直理解できない。いまこのタイミングでしっかりと責任を取ると言ってもらいたかった」と述べました。そのうえで「臨時の総裁選挙の実施を求めて書面を提出するつもりだ。党を立て直すため、われわれや党員を含めて次のあるべき姿を決めていくことが必要だ」と述べました。
小林史明 環境副大臣「総裁選挙の前倒しが必要」
旧岸田派の小林史明 環境副大臣は記者団に対し「参議院選挙の総括はしっかりしたものだったが結果責任の話は別だ。選挙で負けた状態のリーダーが十分に自民党の改革を進め、政策を前に進められるリーダーシップがあるかというとやはり難しい。総裁選挙の前倒しが必要だと思っている」と述べました。
臨時総裁選に前向きな中堅議員ら会合
「両院議員総会」のあと臨時の総裁選挙の実施に前向きな自民党の中堅議員らが国会内で会合を開きました。
参加したのは麻生派や旧茂木派、旧二階派、旧岸田派、旧安倍派などの衆議院議員およそ30人で石破内閣の副大臣も複数出席しました。そして党の立て直しに向けて臨時の総裁選挙を実施する必要があるという認識を改めて共有し、態度を決めかねている議員らへの働きかけを続けていく方針などを確認しました。
==野党からは==
立民 小川幹事長「早く泥仕合に決着つけ事態の収束を」
立憲民主党の小川幹事長は記者会見で「自民党は政権政党で政府と国家を預かっているにもかかわらず、この間、生じている政治空白と政策の機能不全は国民に対して極めて不誠実で、累を及ぼしているという認識だ。一刻も早く泥仕合に決着をつけて早期に事態の収束を図るべきだ」と述べました。
維新 藤田共同代表「議員の動向を見守りたい」
日本維新の会の藤田共同代表は記者会見で「政治家の進退は自身で決めるという大原則のもと、石破総理大臣はさまざまな党内の声を聞いて決断するということだろう。総裁選挙を前倒しするかどうかなどが取り沙汰されているが、政治家はどんな立場であれ意思を示してアクションするのが当然なので議員の動向を見守りたい」と述べました。そのうえで記者団から石破政権と連立を組む可能性について問われたのに対し「石破総理大臣だから嫌だとかいいとかではなく何をやるかだ。石破総理大臣が継続するならばどんな方針を出すか、替わるならば党内の刷新も含めて何をするのかを注視してからやっとスタートに立てる」と述べました。
国民 玉木代表「政局収めて政策課題に取り組む環境を」
国民民主党の玉木代表は記者会見で「早く総裁選挙をめぐる政局を収めてもらい、腰を据えて重要な政策課題に取り組む環境を整えてもらいたい」と述べました。石破政権については「去年12月の幹事長合意の約束が十分に果たされていないというのが私たちの認識だ。約束を守ってもらえない政権とはなかなか協力的に向き合うことは難しい」と述べました。
==詳しく・総括委員会報告書==
参議院選挙の敗北を受けて自民党は2日午前「総括委員会」の会合を開き、敗因などを盛り込んだ総括の素案を協議し内容を了承しました。「総括委員会」がまとめた報告書の詳細です。
<報告書>参院選の敗因
参議院選挙の敗因について内閣支持率の低下に加え、自民党支持層の支持を固め切れず、無党派層への訴えも不十分だったことなどを挙げ「『自民党離れ』とも指摘される選挙結果は党にとって深刻な警鐘となった」と指摘しています。
<報告書>“自民党離れ” その要因は…
そして「自民党離れ」を招いた要因を列挙しています。
物価高対策“国民に刺さらず”
このうち▽物価高対策をめぐっては国民に刺さらなかったとしたうえで、公約に盛り込んだ現金給付の政策決定が遅れたことなどで党一丸となって国民に説明する体制がとれなかったとしています。また減税を主張する野党との論戦では防戦に回り、野党の土俵で選挙戦が進んでしまったとしています。政治とカネの問題
▽政治とカネの問題は「国民の信頼を損なう大きな要因になり続けている」としたうえで「物価高に苦しむ国民の目には『政治資金すらまともに管理せず説明責任も果たさない』と映った」と振り返っています。そしてこの問題が自民党に対する不信の底流となっていることを厳しく自覚し、猛省をしなければならないとしています。被災者傷つける発言
▽選挙戦の中盤に当時の鶴保・参議院予算委員長が「運のいいことに能登で地震があった」と発言したことに関連し、被災者を傷つける発言が決定的な打撃となり苦戦ムードが高まったとしています。“自民党は左傾化”の疑念
▽保守層の支持離れをめぐってはLGBTの人たちへの理解増進法の成立や外国人の不動産の取得問題などが一部で争点化される中で「自民党は左傾化している」という疑念が一部の世論に生まれたとしています。参政・国民の躍進
▽参政党や国民民主党の躍進については、自民党を含めた既存政党が国民の閉塞感(へいそくかん)に対する解決策を示せなかったことで分かりやすいキャッチフレーズで関心を引きつけた新興勢力が台頭したと分析しています。政策実行力への信頼揺らぐ
▽少数与党の国会運営についても触れ、政策実現の成果が野党側に渡り独自性を発揮できる機会が減少したことで自民党の政策実行力への信頼が揺らぎ、期待感も薄れていったとしています。対話不足・デジタル対応の遅れ
▽国民との対話の不足や▽SNSの活用などデジタル対応での遅れについても敗因にあげています。
<報告書>改善策・取り組み
一方、総括では国民政党として生まれ変わらなければならないとして、敗因を踏まえた今後の改善策や取り組みを盛り込んでいます。
▽ことしで立党から70年となることを踏まえ、中長期的な視野に立った国家ビジョンの策定を加速するとしているほか▽多くの派閥が解散した中、党本部の人材育成の機能を抜本強化することや▽たび重なる不祥事や失言で党の信頼を損なった反省に立って、綱紀粛正とコンプライアンスを徹底することなどを指摘しています。
また▽地方組織の基盤強化や▽各種の友好団体との連携の再構築▽公認予定候補者へのサポートの強化、それに▽党執行部の記者会見などでの発信力の強化に向けた広報専任チームの立ち上げなども盛り込んでいます。
さらに▽SNSを通じた発信力を強化するとともに、ネット上で拡散される偽情報・誤情報に反証する体制を整備するとしています。
<報告書>今後の党のあり方
今後の党のあり方について政策を遅滞なく実現させることで責任政党としての責務を果たすことや、「政治は国民のもの」との原点に立ち戻り国民と歩む姿勢を貫き、国民を分断する各種格差の解消に全力を尽くすと明記しています。そして「党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組み、真の国民政党に生まれ変わることを誓う」と結んでいます。
森山幹事長「政務三役 責務果たすと信じる」
臨時の総裁選挙の是非をめぐり自民党内では、複数の副大臣や政務官が実施を求めていて、一部の議員は必要があれば役職を辞任するとしています。こうした動きについて森山幹事長は午前の記者会見で「個々の政治家の心情に関することでコメントは差し控えたい」と述べました。そのうえで「政府は災害や物価高への対応、アメリカとの関税交渉など内外の重要課題に取り組んでいる。石破総理大臣を支える政務三役もその責務をしっかりと果たしていただけると信じている」と述べました。
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