ブラックえほん
悪い人にはおしおき
東京・蒲田の警察署。
きょう連れてこられたのは、とんでもないおじさん。
なんと――ポケットにカッターナイフを入れていたのです。
刑事のまさよしくんは、怒り心頭。
「あなた、こんな危ないものをいつも持ち歩いているんですか!」と、びしっと叱ります。
先輩のただしくんも、おかんむり。
「あなたのような人が増えて、大変なんですよ」と言いました。
まさよしくんは、警察のえらい人に相談しました。
えらい人は、うなずいて言いました。
「よろしい。しょるいそうけんしなさい」
それからの手続きがたいへんです。
おじさんには始末書と上申書を書かせて、
手のひらや口の中をぺたぺた、くるくる、ぬぐぬぐ。
最後に「では、いったんお帰りください」と、家に返されました。
──ところが、それで終わりではありません。
数日後、おじさんのところにお手紙が来ました。
送り主は、東京地方検察庁。
「○月○日、○時、出頭してください」
おじさんはぶつぶつ言いました。
「べつに、悪いことに使おうなんて思ってなかったのに……」
しかし、検事さんは静かに言いました。
「あなたの言いたいことは、よくわかりました」
──そして、おじさんを略式起訴しました。
おじさんは、しばらく沈黙して、
やがて静かに地団太をふみました。
「ちくしょう……」