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【解説】トランプ・プーチン電話会談“接近”の問題点

アメリカのトランプ政権がロシアによる軍事侵攻の早期終結を目指すとして外交を活発化させる中、13日、NATO(北大西洋条約機構)の国防相会合が開かれました。ドイツZDFは、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と電話で会談し、戦闘終結に向け交渉を始めることで合意したことを警戒する発言が相次いだと伝えています。

また、ウクライナのゼレンスキー大統領は「不快だ。ウクライナ抜きではいかなる合意も受け入れられない」と述べロシアがウクライナ抜きでアメリカと交渉しようとしているのではないかと警戒感を示しました。別府正一郎キャスターの解説です。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で2025年2月14日に放送した内容です)
 

ウクライナの戦争をめぐり、トランプ大統領とプーチン大統領が電話で会談し、交渉が始まると発表されたことの衝撃が広がっています。トランプ政権からは、ロシア寄りであっても、解決を急いだ上で、中国への対応を優先したいという姿勢が鮮明になっています。しかし、このアプローチは、大きな問題点をはらんでいると指摘されています。

「侵攻の“追認”」「交渉の進め方」「中国への対応」という3つのポイントで検討してみます。
 

・侵攻の“追認”

大きな問題点としては、まず、仮に、ロシア寄りの解決策となった場合、武力で他国に攻め込んで、国土を奪うという暴挙が、“追認”されることがあります。
 

ロシアは2014年のクリミア併合に始まり、3年前からの大規模侵攻によってウクライナ南東部での支配地域を拡大しています。これについて、トランプ大統領は、「2014年以前の国境線に戻ることは難しい」としています。へグセス国防長官の言葉を使えば、「非現実的だと認識せねばならない」ということのようです。
 

では、あくまでひとつの例え話ですが、仮に、自分の家に、武装した強盗団が押し入り、家族を殺した上で、家の1階に居座ったとします。自分は、今は家の2階に逃れ、2階に上がってくるのは何とか防いでいる状況ですが、周囲がそれを追い出すのを手伝ってくれるどころか、「1階は譲りなさい。現実を受け入れなさい」と言ってきたらどうでしょうか。しかも、その強盗団は2階も奪う構えなのです。
 

・交渉の進め方

交渉の進め方としても問題だという声も広がっています。

今回、トランプ氏もヘグセス長官も、最も重要な交渉ポイントになると見られる、「ウクライナの国土の奪還」と「安全の保証としてのNATO加盟」について、早々に、いずれも難しいという立ち位置を示してしまいました。

本来ならば、ロシアが最も嫌がるであろうこの2つのポイントについては、ぎりぎりまで妥協せずにカードに使うと見られていたのに、早くも手の内を見せたようなもので、ドイツのピストリウス国防相は、「交渉が始まってもいないのに、トランプ政権は譲歩してしまった」と嘆きました。
 

・中国への対応

それでも、このアプローチについて、ヘグセス長官は、「中国への対応を優先するためだ」としています。
 

確かに、アメリカとしては、ウクライナや中東に軍事資源を投入していては、アジア太平洋地域ではその分手薄になるとの懸念はあります。しかし、中国は今や、ロシアとは、プーチン氏の言葉を借りれば「歴史上最も良好な協力関係」にあります。ウクライナへの侵攻がいわば成功し、ロシアの力が増し、その恩恵が中国にも及ぶこととなれば、トランプ政権のウクライナ戦争へのアプローチは、かえって、中国にとって有利ということにもなりかねません。
 

このように、いくつもの問題点を抱えながらも、トランプ氏はプーチン氏に接近しました。フィナンシャル・タイムズは、ウクライナや西側の当局者の話として、「両者は、ことし(2025年)は4月20日になる復活祭や、5月9日のロシアの戦勝記念日までに、停戦を目指すのではないか」と伝えています。動きは速く、目が離せません。
 

■関連記事(2025年2月13日)

■NHKプラスでは、放送後から1週間ご視聴いただけます。

 

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放送[総合]毎週月曜~金曜 午前10時5分
※時間は変更の可能性があります。