【小論文の出題傾向・対策ポイント・過去問解答例(2025年度)】早稲田大学 スポーツ科学部 総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)
はじめに
こんにちは。早慶受験専門塾 天十学舎(Amato Gakusha)の宮田です。
この記事では、早稲田大学 スポーツ科学部 総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)の「小論文の出題傾向・対策ポイント・過去問解答例(2025年度)」について解説させていただきます。
総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)の小論文のポイントを理解し、どのレベルの答案が合格には求められるのか、ぜひチェックしてみてください。
本入試の受験を検討されている方にご参考になれば幸いです。
1. 総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)の概要
早稲田大学の総合型選抜
早稲田大学スポーツ科学部の総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)は、総合型選抜に該当する入試方式です。
■ 総合型選抜とは?
総合型選抜は、一般入試のように学力試験のみで合否を決めるのではなく、志望理由書などの書類、小論文、面接などを通じて、受験生の能力や意欲を総合的に評価する入試方式です。
一般入試は主に1~2月に試験が実施されるのに対し、総合型選抜は早ければ9月から出願が始まり、11月以降に合格発表が行われるのが特徴です。
早稲田大学には、日本国内の学生と海外の学生を対象とした総合型選抜が多数設置されています。日本国内の学生向けの総合型選抜だけでも10種類以上の入試方式があり、スポーツ科学部の「総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)」もその一つにあたります。
■ 早稲田大学の総合型選抜の例
【日本学生向け】
・スポーツ科学部 総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)
・地域探究・貢献入試
・国際教養学部 AO入試(4月入学/国内選考)
・社会科学部 全国自己推薦入試
・文化構想学部 国際日本文化論プログラム(JCulP)日本学生入試
・人間科学部 FACT選抜入試 etc.
【海外学生向け】
・政治経済学部 英語学位プログラム
・国際教養学部 AO入試(9月入学)
・社会科学部 TAISI AO入試
・文化構想学部 国際日本文化論プログラム(JCulP)海外学生入試
・基幹理工学部 英語学位プログラム etc.
スポーツ科学部の入試方式
スポーツ科学部は、一般選抜・共通テスト利用方式(2方式)・総合型選抜(5方式)の合計8つの入試方式があり、早稲田大学の中で最も入試方式のバリエーションが豊富な学部です。
今回ご紹介する「総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)」は全国大会レベルの競技歴が必須となりますが、総合型Ⅰ群(トップアスリート入試)・Ⅱ群(アスリート選抜入試)のようないわゆるスポーツ特待とは異なり、公募制の入試です。
したがって、本入試の主な対象は以下の方となります。
全国大会レベルのスポーツ実績があるが、早稲田大学へのスポーツ特待での進学が難しい方
全国大会レベルのスポーツ実績があるが、大学入学後に当該部活への入部を検討していない方(総合型選抜Ⅲ群の場合、部活への入部や競技の継続は任意です)
総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)の選考ステップ
総合型選抜Ⅲ群は、第1次選考(書類審査)と第2次選考(小論文+面接)で構成されています。
本記事では、第2次選考の「小論文」について解説させていただきます。
2. 小論文の出題傾向
■ 総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)
「総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)」の小論文の出題傾向は、2つのタイプに大別することができます。
■ 資料なし(出題年度:2025、2024・2022年度など)
スポーツにおける「運」の重要性(2025)、「失敗の効用」(2024)など抽象的かつスポーツに関連したテーマについて意見論述する問題。
→ テーマが広範、かつ具体性が低いため、段落構成や自分の意見を確立することが難しく、差がつきやすいタイプの問題です。
■ 資料あり(出題年度:2023・2021・2019年度など)
グラフや文章などの資料が出題され、資料分析+意見を論述する問題。
→ 資料をベースに、分析内容や自分の意見を述べることができるため、資料なしのタイプと比較して記述内容に困るケースが少ないです。
また、総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)の出題傾向は、「一般選抜(共テ+総合問題)」の小論文とほぼ同一です。したがって、一般選抜の過去問も対策に活用できます。
■ 一般選抜(共テ+総合問題)
一般選抜の場合、赤本に解答例や解説が掲載されていますので、そちらを参考にすることが可能です(総合型選抜Ⅲ群の解答例は掲載されていませんのでご注意ください)。
3. 小論文の段落構成のポイント・過去問解答例(2025年度)
ここでは、総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入試)の2025年度の過去問を用いて、段落構成のポイントと実際の過去問解答例を確認していきます。
ぜひ解答の方向性や段落構成のコツ、そして合格にはどの程度のレベルの答案が求められるのかチェックしてみてください。
問題
スポーツにおける「運」の重要性について601字以上1000字以内で論じなさい。
解答例【2025年度】(915字)
第1段落【問題提起・基本立場の提示】(154字)
スポーツにおいて「運」という言葉は、時に実力を否定するものとして扱われがちである。しかし、あらゆる競技が人間によって行われ、予測不能な要素を多分に含む以上、運はスポーツの一部として無視できない要素であると考える。私は、運には確かに重要性がある一方で、それに依存することの危うさも同時に理解すべきだと考える。
第2段落【運の肯定的側面】(241字)
まず、運の肯定的側面を見てみたい。スポーツには偶然がもたらす奇跡的な瞬間が存在する。サッカーの試合でボールが相手選手に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれることもあれば、テニスでネットインが決定打になることもある。野球では、審判の判定や風の影響で試合の流れが一変することも少なくない。これらはすべて選手の力では制御できない偶然であり、まさに運によってもたらされた結果である。こうした運が試合のドラマ性や感動を生み出していることも事実であり、スポーツの魅力の一部となっている。
第3段落【運の否定的側面】(189字)
一方で、運だけに頼って勝利を得続けることはできない。例えば、一度は運に助けられて勝ったとしても、同じ相手に二度三度と勝つためには、確かな実力と準備が必要となる。長期的に安定した成績を収めるチームや選手の背後には、膨大な練習、分析、メンタルの鍛錬といった不断の努力がある。運が働くかどうかは偶然だが、それを引き寄せたり活かしたりできるかどうかは、選手自身の備えにかかっている。
第4段落【自身の体験や具体的事例】(169字)
私自身も運に助けられた経験がある。高校最後の大会で、延長十回、二死満塁の場面で放った打球が、通常ならファウルになる角度だったが、微妙な風の影響でフェアゾーンに落ち、サヨナラ勝ちにつながった。確かに運の要素があったのは間違いないが、追い込まれた場面でもバットを振り切れたのは、これまでの練習で培ってきた反復と精神力の結果だと考えている。
第5段落【結論・まとめ】(156字)
このように、運はスポーツにおいて確かに重要な要素である。時には勝敗を決する決定的な要因ともなりうる。しかしそれは、運を活かせるだけの実力と準備があってこそ意味を持つ。運は「あるかないか」ではなく、「活かせるかどうか」が問われるものであり、それを実力に変えられるかどうかが、競技者としての真価につながると考える。
段落構成のポイント
第1段落【問題提起・基本立場の提示】(150字程度)
運はスポーツにおいて無視できない要素であり、議論の対象に値することを明示する
第2段落【運の肯定的側面】(250字程度)
偶然が生んだ成功、運が選手やチームを救う場面の具体例・価値を提示
第3段落【運の否定的側面】(200字程度)
運だけでは勝てず、勝利を持続するには実力・準備が不可欠であることを具体で例示
第4段落【自身の体験や具体的事例】(200字程度)
肯定と否定の中間に立つような「運と実力の関係性」が見える経験を記述
第5段落【結論】(150字程度)
「運は重要だが、活かせるかどうかは努力次第」とまとめる
■ 字数について
・全体の字数
指定字数が「601-1000字」のため、800字以上(最大字数の8割以上)を目指しましょう。601字を下回った場合、採点対象外となる可能性が高いため、過去問演習の際は800字以上の分量を書くことを常に意識してみましょう。
・各段落の字数
各段落の字数は、可能な限り、均等になるように配分します。今回の解答例は5段落構成のため、150-250字内に収めることを心がけます。序論(第1段落)や結論(第5段落)については、150字程度とし、本論(第2-4段落)は、200字以上と分量をやや多めに配することがポイントです。
近年のスポーツ科学部では、一般選抜・総合型選抜Ⅲ群ともに、「資料なし」のタイプの出題が増加傾向にあります。
■ 資料なし(出題年度:2025、2024・2022年度など)
スポーツにおける「運」の重要性(2025)、「失敗の効用」(2024)など抽象的かつスポーツに関連したテーマについて意見論述する問題。
→ テーマが広範、かつ具体性が低いため、段落構成や自分の意見を確立することが難しく、差がつきやすいタイプの問題です。
当タイプは、資料や課題文などが存在しないため、記述内容や段落構成の自由度が高いです。したがって、「与えられたテーマについて何を書くか」「どのように段落を構成するか」、自身で決める必要があります。
一般選抜・総合型選抜Ⅲ群含めて、このタイプの大問を繰り返し解き、段落構成をパターン化することを心がけてみましょう。
ぜひ今回ご紹介した2025年度の解答例をご参考に、段落構成のパターンを真似てみてください。
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