では、若者の理想のライフコースはさておき、自分たち親世代のような結婚をしてもいいと思うのではないか、という期待についてはどうだろうか。
先述の「出生動向基本調査」では、「両親のような夫婦関係を羨ましいと思うか」という興味深い質問がなされている。国の出生統計を見ると、第1子から第3子までの平均授かり父母年齢が30代前半に集中しているため、30歳から35歳あたりの両親から生まれた子どもと仮定して子の年齢に加算して考えるならば、18歳から34歳の未婚者(回答者)の親の年齢は、およそ48歳から69歳といったところである。48歳から69歳の人口は、団塊ジュニアを含む日本においてマジョリティとなる人口年齢層であり、企業の管理職層や政治家に多い年齢でもある。
日本の政治・経済界のコアをなす人口層を両親としている、その子世代が、親の夫婦関係を羨ましいと思っているか、という質問とも読み替えられる。
見方を変えると、自分の両親のような夫婦になりたくない(羨ましくない)と考えている若者が半数にものぼっているということである。
理想の結婚のロールモデルが両親ではないと考える子どもたちが、なんと半数もいるのである。日本の婚姻減が母子1世代の約30年間で45%減となっている1のも、納得のデータともいえるだろう。
実はこの「理想の夫婦モデルは親にあらずの子どもたちが1/2」状態は、今に始まったことではない。今から約20年前に実施された第12回出生動向基本調査(2002年)の結果を見ると、35歳未満の未婚者の男女のうち、両親の関係を羨ましく思うかについての回答結果は「あてはまる+どちらかというとあてはまる」男性51%・女性52%、「あてはまらない+どちらかというとあてはまらない」男性38%・女性39%、「該当しない」男性11%・女性9%と、やはり約20年前の若者たちも、その半数が両親を夫婦のロールモデルと考えられなかったことが示されている。
ロールモデルとなる両親なき若者たちが1/2という状態に気がつかないまま、両親世代の従来型の価値観で日本という国を作りあげてきたことが、現在の未婚化の一因となっているのではないだろうか。
1 2023年初婚同士婚姻数356,124件/1995年初婚同士婚姻数646,536件=55%(45%減)
3――おわりに・人口の未来のためには昭和型雇用・家族価値観の打破が必須
自分が若かったころの常識、普通であったライフコースを前提に、良かれと思って主張されている、変えずに続けられている、そんな昭和から続く伝統的な雇用や政治が、令和の若者の家族形成を阻んでいることをデータは明確に示している。
繰り返しになるが、我々中高年の夫婦像を羨ましく思っている若者は50%に過ぎない。
日本の人口の未来を願うならば、若者の理想とする家族価値観に寄り添うエビデンスを正しく踏まえた「若者の代弁者」が、1人でも多く現れることを願ってやまない。