友人が出馬した、参議院選挙の投票に行くまで。
友人が、参議院選挙に出馬した。
本文はその友人、河合みちおへの敬意を込めて、そして2025年の私を閉じ込めるために書こうと思う。
2025年7月20日、戦後初と言われる三連休の中日に開催された選挙日の朝8時。みちおさんのマイク納めを見届け、ほぼ寝ていない私は公民館で投票完了札を受けとった。
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連休ということで不調と予想されていた投票率は2010年並に取り戻し58.5%(7.5ポイント上)。特に若者の得票率の向上やSNSを活用しての野党の台頭が言及された、そんな2025年の参議院選挙だった。
友人が、出馬した。
6月10日のお昼休み、職場でスマホをいじっていたら、Twitterに見知った人の顔が、「教育系企業に勤める男性(34)が出馬」という言葉と共に掲載されていた。
本年発足の新規政党、安野貴博が率いる新政党、「#チームみらい」の神奈川選挙区候補者として河合みちおが出馬していたのだ。
チームみらい とは?(引用元:チームみらいnote)
党首:安野たかひろ
東京都知事選で、15万票を獲得(30代候補として過去最多の得票)
・「オープン × フラット × テック」な組織
・テクノロジーの力で、誰も取り残さない社会を
・自分たちの手で動かす、“参加型”のチーム
・国政政党になれば、永田町にエンジニアチームを設置
ど、どういうことだ????
教育系企業の会社員男性(34)こと河合みちおは今私が住んでいる100人規模のシェアハウスの立ち上げ人の一人。ほぼ毎日顔を合わせ、ご飯を食べ、ぐだぐだ酒を飲んでいた。
何も知らない!
口頭でもなく、Facebook投稿でもなく、ニュースで友人のお知らせを見つけ、スクープされた芸能人ってこんな感覚なのか…と謎に共感した。
書いてて気づいたけど、彼の本を借りパクしていた気がする…
タイムラインでは、皆が驚いたり応援していたりしている。
あーーー…時や事象はこんなにも一瞬でひっくり返ってしまうものなんだな…
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帰宅したみちおさんに「なんで言ってくれなかったんだよ!」とどついたら、「実はね、がんばるよ」とだけ返された。
大人だ。
急に決まったのか、水面下で動いていたのか。
どちらかは知らないけど、つい先日まで5人でいいチョコレートを割り勘して食べようとか、この本は絶対に読むべきとか、そんな話をしていたみちおさんは、いつの間にか神奈川県の未来を左右するかもしれない注目のひとになっていたのだ。
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少しだけ私の自己紹介をする。神奈川県出身の今村柚巴25歳。本職はVC(ベンチャーキャピタル)にてスタートアップ企業への投資を行っている。大学時代はバックパッカーで、クラファンでお金を集めて日本一周をしたり、トビタテ!留学JAPANという奨学金を取得してイギリスにイベントを学びに行ったりしていた。
俗にいう"活動的な学生"だったからこそ、「友人が出馬」的な体験は初めてではなかった。むしろ、友人が出馬するたびに応援委員会に入り、フルタイムでなくとも選挙手伝いをしていた。(和歌山県議会選挙の時は、弾丸で和歌山に飛んでいた)
彼らは皆、今は議員として活躍している。
超弾丸で和歌山まで応援に行きました。
— ゆず@ノマド女子VC (@yuzu_milk_ice) May 24, 2025
約5年前に出会ってから、いつも岩永くんの信頼性と人を惹きつける力を尊敬しています。
県政としての結果だけでなく、地方選に若手が挑戦している姿を日本中の人に見て欲しいとのことでSNSも力を入れてます。@iwanaghi_eva
あと一週間!駆け抜けてください pic.twitter.com/vMsXcLdPMn
で、じゃあ例によって今年も今村は選挙の手伝いをしていたのか?と言われると、何もできていなかった。
なんでだろう。
友人皆が祭りだったから。
私とみちおさんは、2年くらいの仲だ。
始まりは留学奨学金、トビタテ!留学JAPANの1期である大先輩として出会い、私の就職と同時に彼が運営する教育団体のシェアハウスに住むことになった。
トビタテ生(奨学金受給生)もシェアハウスの民も、みちおさんと私の友人は何かしらに対してアクティブな、いわゆる"意識高い系"な人たち。そんな人たちなのだから、選挙期間は毎日が祭りだった。
週末になればポスター貼りをするInstagramのストーリーが流れ、「チームみらい」ののぼりを友達が持っている友人が演説動画に映り込み、私がわからない政治に対する議論や意見が繰り返されていた。
地域議会と、国政。
私は活動柄、地域活動を行う友人が多くいた。
そのため今までの選挙戦は、私が単体で仲良くしていた友人が地方議会に出るというケースが多く、
一人でポツンと行った選挙手伝いから東京に帰宅すると
「ああ今OO県って選挙してるんだねー」と声をかけられる。
私はある意味選挙という「地域で巻き起こる祭り」のお客さんのような存在だった。
それが今回は、国を挙げての「祭り」だ。
電車で目の前に佇んだ人も、
旧友のSNSの投稿でも、
大阪万博の並び列で隣に座った人も。
皆がこの選挙の話をしている。つぶやくなんてもんじゃなく。
それだけ参議院選というものは影響が強く、私はその「祭りの当事者」として、心のどこかで、自分が与える影響の小ささと大きさを考えてしまっていたんだと思う。
活動柄友人が掲げる地域に対してのマニフェストは、ある程度納得がいく。
でも国政は正直よくわからない。
どの政党が本当にこの国を動かすのか。
きっと、私よりよっぽど国政を理解している人が、納得して理解している人が、手伝いをするべきなんだと思う。
うっすらこびりついた思考が、私の足をを手伝いに向かせなかった。
◇
こうして選挙公示日は過ぎ、
仕事の合間にInstagramを見るたびにライブ配信の通知が流れ、
家ではほとんど姿を見なくなり、
私はたまにネットで政党の方針を調べたりして、
いつのまにか数十人だったみちおさんのXのフォロワーは3,000人を超えていた。
時たま、神奈川出身である私の最寄駅で演説したりもしていた。
家以外何もないあの駅に降りたのは、きっと初めてなんだろう。
そんなこんなで迫ってしまった投開票日前日、
私はふと友人を連れてみちおさんのマイク納めに行くことを決めた。
"本当にやる人は、初めてだった"
マイク納めの場所は武蔵小杉駅。
そこに向かう車の中、いろいろなことを考えていた。
一概には言えないが、地域活動家の目標のひとつに「地方議会」が掲げられることは多い。
「地域で活動→事業を起こす→政界で構造を改革」
という過程は、若手の出馬数も増えた今、むしろ王道かもとすら思う。
だからか、友人らが地方議会に出馬する時は、「ついに、やるんだね」と声をかけることが殆どだった。
ただ今回は国政。しかも被選挙権が最年少30歳である参議院選。
いつかその道をと口にする人は友人にもいた。しかし
みちおさんが、"その一人目"だった。
正直思う。とても意外だ。
前提、私はみちおさんのことを先輩としてとても尊敬している。
政治関係に関心高い人だと思っていたし、昨年行われた安野さんの都知事選の時にテクノロジーを活かしてサポートしていたことも知っていた。
教育系NPOや、私が住むシェアハウスの立ち上げに関しても、本当にすごいと思う。
ただ、政治のことを表立ってSNSで発信したり、プレゼンしたりする様子を見たことがない私にとって、みちおさんは泥臭くみんなの前に立つというよりは、そんな人を落ち着いて頭脳で支えるサポーター的な印象があった。
選挙ってキャラじゃない、そう思った。
だが今、目の前にいるみちおさんは、演説で声は枯れ、神奈川中の市を巡って、すっかり浅黒く焼けこげているのだ。
武蔵小杉駅、マイク納め
武蔵小杉まで私を運んだ友人の車は定刻の19時を10分程度回って駅に到着。
選挙カーの上ではサポーターであろう人が応援演説をしていた。
その周りには見知った友人たち。サポーターだった人もいればこの日のために駆けつけた人も。
その場にいる人に声をかけていたところ、みちおさんの演説が始まった。
約30分あった演説は
政党全体の政策である テクノロジーの強化と子育て支援の発表。
自身の背景、震災のボランティアをしていたこと、障がい者福祉に関心を持ったきっかけ。
そして何より、チームみらいとして出馬を決めてから、今までの躍進の様子とそれに対する感謝。
そんなことを語っていた。
演説を元に投票先を決めようと思っていた私はかなり悩んだ。
政治情報の公開やDX化は、確かに賛成だ。
ただ一方で、
「河合みちお」のためではなく、「チームみらい」の議席獲得の目的意識が伝わり過ぎたのでは。
税率問題や外国籍の方の流入、原発問題などへの方針等、触れられなかった情報こそ大事なのではないか。
もっと自分の考えにハマる政党があるのではないか。
第一、国政知識が圧倒的に少ない自分が「友人がいるから」で投票しているのは無責任なのではないか。
演説を聞けば決められると思った私は、より迷いながら選挙日前日の夜を越した。
友人が出馬した、参議院選挙の投票へ。
結果的に、私は比例にチームみらいを記載した。
最終的にきっかけとなったは、下記の朝日新聞の一面広告だった。
本日7月19日(土)、朝日新聞朝刊にチームみらいの新聞広告を出しております。
— 新党・チームみらい【公式】 (@team_mirai_jp) July 18, 2025
広告をご覧になった方は、ぜひ#安野たかひろを国会へ #比例はみらい
をつけて画像を投稿してください! https://t.co/DcGzuLRah4
全国版の新聞広告にかかる費用は約4,000万円なのだそう。
チームみらいは選挙出馬表明から投票日までに、約1億円を超える寄付金を集め、その約半分を使い、新聞広告を打つことを計画し、達成した。
1ヶ月で出した結果は、証明となる。
みちおさんの出馬は、私にとって全くもって非連続的な事象だった。
きっと、他の候補者に対して友人が思った感情も、同じだと思う。
政党秘書もしていない、政治発信活動をしているわけでもない、政界ではほぼ無名に近かった同世代の10数名が、たった1ヶ月半で泥臭く動き周り、頭をフル回転させて、これほどの結果を打ち立てている。
きっと政界への解像度やマニフェストの網羅度は、経験のある既存の政党の方が高いのだろう。
だが、彼らが打ち立てた短期結果は、今後の政治活動で結果を出せる可能性の証明になるのではないだろうか。
当選に至らなかったものの、みちおさんは13万票取得していた。
私はどうせ、この短期しか政治の事象を追えていないんだ。
それならこの結果を信じるしかないだろう。
何かを成そうとする時、その志やエピソードの納得感を大事にする人がこの世には多い。
ただ、私はそこではなくて「物語の綺麗さよりも、やると決めて、やりきったやつが偉い!」と考えるタイプだ。
これはきっとスタートアップ業界という、後付けのストーリーでもやり切った結果で世の中を変えようとしている人たちの側にいるからこその発想だと思うし、そんな人が今年の参議院選挙には多かった。
政界参入のために下積みをすることが当たり前、という時代は、うっかりみちおさん含め、私の友人各位が変えてしまった。
「あの人が政治家なんて意外」的な考えは結果によってかき消され、いつの間にか「政治家」となる。
自分のアイデンティティは、更新し続けられる。
政治的なことから離れてしまうが、
「これはキャラじゃないからできない…」という発想は愚問で
結果を出せばどうにか板についてくる。
そんなことを今回の参院選には教えられた。
やりたいこと、やるべきことは、準備や適材適所という言葉で先送りにせず、今達成できるように最大値で頑張る。
その事実を再認識させてくれたみちおさんに、敬意と感謝をお伝えして。
2025年7月24日 AM3:00




コメント
1徹底的に「中立」を掲げ、喘息発作薬の保険適応を廃止したいという本音を見せてしまった「チームみらい」の本質は、私のような本物の弱者の切り捨てにあると思っています。世の中には、予防薬というものをしっかり内服することがおよそできない人がたくさんいます。「チームみらい」は、私から見ればお坊ちゃんの集まりで、世の中の現実が見えていないし、形だけの「中立」に徹底することで常に常に強者の側に擦り寄るようにしか見えませんでした。同時にそういう政党に対して、私の友人たちもこぞって投票したのを目にして、絶望しています。きっとこれから、右傾化した若者にもすり寄れるチームみらいは躍進するでしょう。同時にその時、排除される対象である私は死ぬしかないのだろう、と諦めています。どうか、弱者の声が伝わると幸いです。