199.第6章「平成の東映」
第8節 東映アニメの国際展開 拡大編
2003年6月、泊懋社長は代表取締役会長、テレビ朝日出身で2002年に東映アニメーションに顧問として入社した専務取締役の高橋浩が代表取締役社長に就任します。
高橋は泊と共に、これまで進めて来たマーチャンダイズ、海外販売、自社制作、デジタル推進、イベント事業を拡大して行きました。
〇 髙橋浩プロフィール
1967年4月 株式会社日本教育テレビ(その後株式会社テレビ朝日に商号変更、現在は株式会社テレビ朝日ホールディングス)に入社
1997年6月 同社広報局長
1998年12月 同社より株式会社ビーエス朝日に出向 株式会社ビーエス朝日執行役員に就任
2001年6月 同社常務取締役に就任
2002年5月 東映アニメーション入社、顧問に就任
2002年6月 専務取締役に就任 企画営業部担当兼版権事業部担当・ネット配信事業部担当
2003年6月 代表取締役社長に就任 企画営業部担当兼版権事業部担当
2004年4月 企画営業部担当兼版権事業部担当・国際部担当
2004年6月 経営調査部担当兼版権事業部担当・国際部担当
2005年3月 版権事業部担当兼国際部担当
2007年7月 企画部担当
2011年2月 経営戦略本部長
2012年6月 取締役会長に就任
2014年6月 取締役相談役に就任
〇 髙橋社長時代 海外事業会社次々新設
2004年1月、2000年12月の上場に尽力した太陽神戸三井銀行(現・三井住友銀行) の木下浩之が、新たに創設した経営企画部の部長として東映アニメーションに入社します。
その年6月に東映アニメーションの役員待遇となった木下はアメリカの会計士免許を有しており、海外事業とインターネット事業の拡大を目指して高橋社長の下で海外に次々と事業会社を新設して行きました。
〇 アメリカ・ロサンゼルスに販売子会社「TOEI ANIMATION INCORPORATED(TAI)」創設
2004年3月12日、まず始めにアメリカ・ロサンゼルスに販売子会社「TOEI ANIMATION INCORPORATED(TAI)」(高橋浩CEO)を創設します。
アメリカ本土に拠点を確保した国際部は、北中南米、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドで局、現地制作会社やメーカーとの直接取引体制を整備しました。
そして、日本で大ヒット中の『ONE PIECE』の北米での配給ライセンスを「4キッズ・エンターテインメント」に販売します。
2004年9月18日からFoxネットワークの週末番組枠FoxBox TVで初放送されました。
その後『ONE PIECE』は、2005年4月からカートゥーン ネットワークの土曜夜のアクション番組枠Toonamiで放送されます。
2007年4月、「ファニメーション(現・クランチロールLLC)」がシリーズのライセンスを取得し、新たに英語吹き替え版『ONE PIECE』の制作を開始。9月29日からカートゥーン ネットワークで公開され人気を博しました。
アメリカ地区 売上・営業利益推移
2004年度 1億3100万円・300万円損失
2005年度 10億4400万円(前期比695.8%増)・3300万円(前期より3600万円増)
2006年度 5億9900万円(前期比42.6%減)・2500万円損失(前期より5800万円減)
2007年度 5億8000万円(前期比3.3%減)・4000万円損失(前期より1500万円減)
2008年度 4億1800万円(前期比27.8%減)・3200万円(前期より7200万円増)
2009年度 4億7600万円(前期比13.9%増)・2億600万円(532.4%増)「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売利益大
〇 フランス・パリに「TOEI ANIMATION EUROPE S.A.S.」創設
続いて高橋と木下は、2004年12月、ヨーロッパ・中近東・アフリカでの事業を拡大するため、フランス・パリに「TOEI ANIMATION EUROPE S.A.S.(TAEU)」(高橋浩CEO)を新設しました。
TAEUは、これまでも人気のあった「Dragon Ball」「One Piece」「Saint Seiya」「Captain Harlock」「Sailor Moon」シリーズを柱に、管轄諸国での販売を拡大して行きます。
ヨーロッパ地区 売上・営業利益推移
2005年度 2億6000万円(前期計上なし)・2億1000万円(前期計上なし)
2006年度 1億9100万円(前期比26.6%減)・9000万円(%減)
2007年度 2億4900万円(前期比30.5%増)・9500万円(4.9%増)
2008年度 2億8600万円(前期比14.7%増)・1億1900万円(25.2%増)
2009年度 2億2400万円(前期比21.5%減)・3800万円(67.6%減)
〇 中国・上海に駐在員事務所「TOEI ANIMATION SHANGHAI REPRESENTATIVE OFFICE(日本东映动画株式会社上海代表处)」開設
2006年7月には巨大な中国市場での事業拡大を目指し、中国・上海に駐在員事務所「TOEI ANIMATION SHANGHAI REPRESENTATIVE OFFICE(日本东映动画株式会社上海代表处)」(高橋浩代表)を開設しました。
「日本东映动画株式会社上海代表处」は、香港の「东映动画企业有限公司(TOEI ANIMATION ENTERPRISES)」とともに、飛躍的に成長する中国のコンテンツ市場で、東映アニメーション作品の事業展開を積極的に推進、大きく売り上げを伸ばして行きます。
アジア地区 売上・営業利益推移
2004年度 9億3400万円・1億200万円
2005年度 9億900万円(前期比2.7%減)・8300万円(18.2%減)
2006年度 8億7400万円(前期比3.8%減)・5700万円(31.1%減)
2007年度 10億5300万円(前期比20.4%増)・2億3300万円(303.9%増)「ドラゴンボール」シリーズゲーム化権収入拡大
2008年度 9億400万円(前期比14.1%減)・1億3800万円(40.4%減)
2009年度 7億400万円(前期比22.1%減)・7800万円(43.8%減)
〇 木下浩之プロフィール
2007年7月、木下は、コンテンツ事業部長兼ブロードバンド事業室長、ネット事業室長に就任、将来のメディアチェンジに向けて東映アニメーション作品のネット販売確立を目指します。
その後、2008年6月には取締役に就任し、2012年1月に経営戦略本部海外戦略推進部長となりました。
2012年3月には、香港の「TOEI ANIMATION ENTERPRISES」のCEO、ロサンゼルスの「TOEI ANIMATION INC.」とパリの「TOEI ANIMATION EUROPE」のCOOに就任し、世界中を飛び回って営業に邁進します。
2014年6月、木下は常務取締役に昇進しましたが、翌2015年7月、48歳の若さで逝去しました。
1991年4月、太陽神戸三井銀行(現・三井住友銀行)入行
2004年1月、東映アニメーション入社 経営企画部長
2004年6月、経営企画部長(役員待遇)
2007年7月、コンテンツ事業部長兼ブロードバンド事業室長、ネット事業室長(役員待遇)
2008年6月、取締役に就任 コンテンツ事業部長
2012年1月、経営戦略本部海外戦略推進部長
2012年3月、TOEI ANIMATION ENTERPRISES(香港)CEO、TOEI ANIMATION INC.(ロス)とTOEI ANIMATION EUROPE(パリ)COO就任。
2014年6月、常務取締役に就任
2015年7月、逝去
木下は、各地に現地販売子会社を創設し現地での直接取引に乗り出し、現在の東映アニメーションの海外事業発展の基礎を確立しました。
〇 高木社長時代、海外売上が国内売上越え大きく成長
2012年6月、高橋浩は取締役会長に、代表取締役社長には常務取締役の高木勝裕が就任。以後、現在に至るまで高木が代表取締役社長を務めています。
高木社長時代、東映アニメーションは、インターネットの発展によるゲームや動画配信の世界的拡大の波に乗り、海外売上が大きく成長しました。
2015年度、「ドラゴンボール」や「ワンピース」の海外でのゲームや動画配信により海外売上が100億円を越えます。
以降、海外での売上は、加速度的に上昇して行きました。
東映アニメーション国内・海外売上比較
国内売上 + 海外売上= 総売上
2004年度 163億円 + 10億円 = 173億円
2005年度 208億円 + 22億円 = 230億円
2006年度 197億円 + 17億円 = 214億円
2007年度 206億円 + 19億円 = 225億円
2008年度 214億円 + 16億円 = 230億円
2009年度 207億円 + 14億円 = 221億円
2010年度 - 億円 + ー 億円 = 266億円
2011年度 - 億円 + ー 億円 = 330億円
2012年度 - 億円 + ー 億円 = 336億円
2013年度 262億円 + 48億円 = 310億円
2014年度 235億円 + 68億円 = 303億円
2015年度 221億円 + 115億円 = 336億円
2016年度 248億円 + 159億円 = 407億円
2017年度 263億円 + 196億円 = 459億円
2018年度 296億円 + 261億円 = 557億円
2019年度 274億円 + 274億円 = 548億円
2020年度 211億円 + 304億円 = 515億円
2021年度 213億円 + 357億円 = 570億円
2022年度 392億円 + 482億円 = 874億円
2023年度 405億円 + 481億円 = 886億円
2024年度 402億円 + 606億円 =1008億円
高木は、2017年6月、中国においての事業をより拡大するため、上海に現地法人「TOEI ANIMATION (SHANGHAI) CO., LTD.(东映(上海)品牌管理有限公司)」(法定代表人・宇田川英昭)を創設します。
2020年11月には香港の「TOEI ANIMATION ENTERPRISES LIMITED」と「上海東今企業管理諮詢有限公司(上海东今企业管理咨询有限公司)」との合弁で「東映動漫(上海)実業有限公司(东映动漫(上海)实业有限公司)」(法定代表人・宇田川英昭)を新設。中国での売上を一気に増大させ、2020年度、海外売上が国内売上を越えました。
2024年度には海外売上が606億円を記録。国内売上と合わせ1000億円の大台を突破します。
〇 高木勝裕プロフィール
1979年4月、東映シーエム入社
1980年10月、東映動画入社
2000年6月、版権営業部長
2004年6月、版権事業部長(役員待遇)
2006年6月、取締役に就任、版権事業部担当兼版権事業部長
2008年7月、企画営業本部副本部長兼版権事業部長
2011年6月、常務取締役に就任
2012年6月、代表取締役社長に就任(現任)企画営業本部長兼経営戦略本部長
2014年7月、企画営業本部長
1956年の東映動画創立時に大川博が描いた夢は、苦労しながらも70年の時を経て大きく花開きました。
トップ写真:泊懋代表取締役会長と高橋浩代表取締役社長



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