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内部統制報告書の評価結果不表明、内部統制監査報告書及び監査報告書における意見不表明に関するお知らせ(クシム)

内部統制報告書の評価結果不表明、内部統制監査報告書及び監査報告書における意見不表明に関するお知らせ

クシム(東証スタンダード)のプレスリリース(2025年4月28日)。

「当社の会計監査人であるUHY東京監査法人から、当社の 2024 年10 月 31 日現在の財務報告に係る内部統制の評価結果を表明できない旨が記載された内部統制監査報告書を受領するとともに、2024 年 10 月期の連結財務諸表及び財務諸表について意見を表明しない旨が記載された監査報告書を受領しました」

順序が逆になりますが、まず、意見不表明の監査報告書について。

「【意見不表明の根拠】

継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は前事業年度から継続して営業損失、経常損失及び当期純損失を計上している。

また、2025 年 2 月 3 日に株式会社カイカフィナンシャルホールディングス(以下「カイカ FHD」という。)に対する借入金 529 百万円にかかる代物弁済として、会社の連結子会社であった株式会社ZEDホールディングス(以下「ZEDホールディングス」という。)の株式をカイカ FHD に譲渡する旨(以下「本件株式譲渡」という。)を同日付の会社の取締役会にて決議している。本件株式譲渡の実行日は 2025 年2月3日であるところ、同日付で、ZED ホールディングスが会社の連結子会社から除外されるとともに、ZED ホールディングスの子会社であった株式会社 Zaif、株式会社クシムソフト、チューリンガム株式会社、株式会社 web3テクノロジーズ及び Digital CredenceTechnologies Limited についても連結子会社から除外されている。会社は持株会社であるため、本件株式譲渡に伴う上記6社の連結子会社からの除外により、2025 年10 月期以降、損益計算書の売上高(経営指導料)が相当額減少することが見込まれている。

さらに、2025 年 4 月 1 日に、東京地方裁判所が取締役兼代表取締役の職務を一時行う者として大月雅博氏を、監査等委員である取締役の職務を一時行う者として原田崇史氏及び須崎利泰氏を選任する旨の決定を行い、これにより小川英寿氏を除く前取締役及び前監査等委員は役員としての権利義務を喪失しており、また、小川英寿氏も 2025 年4月 14 日をもって会社の取締役を辞す旨の申し出をしていることから、会社の事業等に精通する役員が不在の状況となっている。

これらの状況から、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているが、当該状況を解消するための将来の事業計画及び資金計画は未作成であり、当監査法人に提示されていない。したがって、当監査法人は経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することの適切性に関する十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。」

最近は継続企業を理由に意見不表明という事例は珍しいのでは。しかし、経営者が誰もいなくなったという状況では、しかたがないのかもしれません。

内部統制監査の意見不表明について。

「【意見不表明の根拠】

内部統制報告書に記載のとおり、2025 年 2 月 3 日の主要な子会社の株式譲渡により、2025年10月期以降、連結損益計算書の売上高が相当額減少することが見込まれ、また、2025 年4月1日に取締役兼代表取締役の職務を一時行う者らが選任されたことなどにより、会社の事業等に精通する役員が不在の状況となっている。さらに、これらに加え、現時点において、会社グループには実質的に経理機能がなく(決算手続や有価証券報告書作成業務等の従事者に係る業務委任託契約は有価証券報告書提出日時点で契約期間満了となる。)、内部監査室に所属する従業員が不在であるため内部監査に係る機能がない。当該状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。会社は、上記の継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況を解消するために、新たな経営者の下で対応策を講じ、当該状況の解消又は改善に努める必要があるものの、現時点では、将来の事業計画及び資金計画は未作成である。よって、会社は、財務報告に係る内部統制の評価について、重要な評価手続である継続企業の前提の評価に関する内部統制の評価手続を実施できなかったため、財務報告に係る内部統制の評価結果を表明していない。このため、当監査法人は意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。」

有報における継続企業の注記は以下のようになっています。

「(継続企業の前提に関する事項)

当社グループは、当連結会計年度において、当社の連結子会社であるチューリンガム株式会社について、将来の回収可能性について検討しましたが、当初見込んでいた将来収益の実現が困難であると判断し、のれんの減損損失等を計上した結果、営業損失1,133百万円、経常損失1,151百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失1,960百万円となり、前連結会計年度から継続して営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上した上、営業活動によるキャッシュ・フローについても4期連続でマイナスの値となっています。

このような経営成績の悪化に加え、下記に示す状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

まず、当社は、2025年2月3日付「代物弁済に伴う連結子会社の異動(株式譲渡)および個別決算における特別利益の計上見込みに関するお知らせ」にて開示したとおり、カイカFHDに対する借入金529百万円にかかる代物弁済として、当社連結子会社であったZEDホールディングスの株式(持ち株比率84.38%)をカイカFHDに譲渡する本件株式譲渡を同日付の当社取締役会にて決議しました。

本件株式譲渡の実行日は2025年2月3日であるところ、同日付で、ZEDホールディングスが当社の連結子会社から除外されるとともに、ZEDホールディングスの子会社であった株式会社Zaif、株式会社クシムソフト、チューリンガム株式会社、株式会社web3テクノロジーズ及びDigital Credence Technologies Limitedについても当社の連結子会社から除外されました。

本件株式譲渡に伴う上記6社の連結子会社からの除外により、2025年10月期以降、当社連結損益計算書の売上高が相当額減少することが見込まれ、また、当社の中核事業たるブロックチェーンサービス事業、システムエンジニアリング事業及びインベキューション事業に従事する当社グループの従業員は0名となっています。

次に、当社取締役であった中川博貴氏、伊藤大介氏、田原弘貴氏及び松崎祐之氏(以下「前取締役ら」といいます。)並びに当社監査等委員である取締役であった望月真克氏及び中庭毅人氏(以下「前監査等委員ら」といいます。)の任期は、いずれも2025年1月開催予定の第29回定時株主総会終結の時までとなっていましたが、当社は、2025年1月9日付「第29回定時株主総会の延期に関するお知らせ」にて開示したとおり、当社及び当社子会社にかかる暗号資産の実在性及び評価並びに経費支出の適切性についての監査手続に要する期間等に鑑み、第29回定時株主総会の開催を延期しておりました。このような状況のもと、2025年2月20日付「株主による仮取締役兼仮代表取締役等選任の申立てに関するお知らせ」にて開示したとおり、同月12日、前取締役らの1人であり当社の株主である田原弘貴氏から東京地方裁判所に対し、会社法346条2項及び351条2項に基づく仮取締役兼仮代表取締役等選任の申立てがなされました。これを受けて、東京地方裁判所は、同年4月1日、取締役兼代表取締役の職務を一時行う者として大月雅博を、監査等委員である取締役の職務を一時行う者として原田崇史及び須崎利泰(いずれも阿部・井窪・片山法律事務所に所属する弁護士であり、従前、当社とは何ら利害関係はありませんでした。以下「仮取締役ら」といいます。)を選任する旨の決定を行い、これにより前取締役ら及び前監査等委員らは役員としての権利義務を喪失しました。

上記の次第で、当社の役員(としての権利義務を有する者)は、仮取締役らのほか、監査等委員である取締役(社外取締役)である小川英寿氏のみとなっていたところ、小川英寿氏は、2025年4月14日をもって当社の取締役を辞す旨の申し出をしております。したがって、当社の事業等に精通する役員が不在の状況となっております。この点、2025年4月30日に開催が予定されている当社臨時株主総会において、新たな役員が選任され、就任することにより、仮取締役らは退任となる可能性があります。

さらに、これらに加え、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループには実質的に経理機能がなく(決算手続や本有価証券報告書作成業務等の従事者にかかる業務委任契約は本有価証券報告書提出日現在で契約期間満了となります。)、内部監査室に所属する従業員が不在であるため、内部監査機能がありません。そして、2025年2月5日付「会計監査人からの退任通知受領に関するお知らせ」にて開示したとおり、当社の会計監査人であるUHY東京監査法人より当社の会計監査人を退任する旨の通知を受領しておりますが、本有価証券報告書提出日現在において、後任の会計監査人は決定しておりません

上記の次第で、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。当社グループは、当該状況を解消するために、新たな経営者の下で対応策を講じ、当該状況の解消又は改善に努める必要があるものの、現時点では、将来の事業計画及び資金計画は未作成であるため、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

なお、当社グループの連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。」

過年度決算の訂正も4月28日に公表しています。

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出および過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ

利益ベースで、最も大きな金額の訂正が行われている2023年10月期の影響額を見てみると...

翌期の第2四半期で解消されているようです。

訂正理由より。

「当社グループが保有する暗号資産等の一部におきまして、当社内にて調査及び検討を重ねた結果、2024 年 10 月期第2四半期における会計処理の一部に対して、過年度での処理とする訂正が必要であることが判明しました。...加えて、外部機関による調査の過程において、当社グループが保有する投資有価証券評価損の計上時期についても、過年度での処理とする訂正が必要であることが判明しました。これらを踏まえ、過年度の有価証券報告書等を訂正するものです。」

それにしても、現在は事業売却済みとはいえ、こういう会社が、顧客の暗号資産を76,339,592千円(2024年10月期)も預かっていた(決算短信による)というのは、どうなのでしょう。

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