前回は北欧のユグドラシル神話と日本神話の地下世界の構造が、よく似てるという話でした。しかし地下だけに限定のお話じゃないです。
今回は、やっぱり日本神話は、世界樹であることの証拠。
日本神話が世界樹の中かどうか確かめる
世界樹というのはヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸など、世界中にあるらしいですね、神話としてですけども。
この世界は巨大な樹木の形をしていて、人間がいる場所は平面世界で、上下に複数の空間を有するみたいな世界観。
北欧神話では、原初の巨人ユミルを、オーディンら神々が殺害し、その死体を素材として世界樹ユグドラシルを作ったとか。
まぁ日本神話では、世界は樹木の形をしてるとは、一見してどこにも書いてませんね。
日本神話では、この世界は個々の神々が素材や力を出し、イザナギとイザナミにより作られたことになってます。
しかしどうやら日本神話って、世界樹なんじゃないかいと思うわけです。それは原初の神の名や、地名を比較することでわかったりします。
アスクルとアシハラ
File:Phragmites australis illustration (01).jpg - Wikimedia Commons
まず北欧のユグドラシルの世界ですが、ユグドラシルの元々の樹木の名前は、古ノルド語でアスクル(askr)だったとか。
現代ではアッシュとか呼ばれてる広葉樹で、日本語ではトネリコと呼ばれてるらしい。
一方で日本神話では、神が作った人の住む世界を「葦原の中つ国」とか言うのです。
日本 葦原の中つ国 アシハラ ASHR
こんなふうに似てる。
そういえば、古代に中央アジアにあった、トカラはトハラと呼ばれましたし。騎馬民族の王はカガンとかカーン(KHAAN)と呼ばれたんですが。カーンはハーンとも呼ばれてましたし。
というふうに、古代からユーラシアでは「K音がH音と変換する」傾向はあった。するとASKR(アスクル)とASHR(アシハラ)も、K音とH音が変換してるわけで、同じなんじゃないかと。
ミズとミズ
ユグドラシルの人間が住む領域は、ミズガルズと呼ばれてました。
一方で日本神話の人間界である葦原の中つ国は、別名で「葦原の瑞穂国(あしはらのみずほのくに)」と呼ばれたりしたんですよ。
北欧 ミズガルズ ミズ
日本 葦原の瑞穂国 ミズ
人間界は、どちらもミズだった。これは無関係じゃなさそう。
日本の原初の神=葦(アシ)
ユグドラシルはトネリコの木で、英語ではアッシュで、古ノルド語ではアスクル(askr)だったわけです。
一方で日本神話の原初の神は、「日本書紀」では国常立尊(くにとこたちのみこと)となってるのですけども。
国常立尊は「葦牙(あしかび)のような形」だと言われてるんですよね。
日本神話で最初の最初に登場した原初の神が、葦(アシ)だった。だからユグドラシルが、アッシュなのと関係してそう。
国常立は「国土が永久に立つ」ことを表しており、国が上方向に伸びていることを表すわけなので、世界樹の形を表すのかもしれんです。
あと古事記をみると宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)が4番目に登場してるんですが。
こちらも「阿斯訶備(あしかび)」であると書いてるので、世界の原初に葦という植物が存在したことを示すわけです。
宇摩志阿斯訶備比古遅神は、世界が水に浮かぶ脂のようで、クラゲのように混沌として漂うとき、葦が芽を吹くように萌え伸びるものによって成った神と言われてます。葦が上に伸びている世界なので、やはり世界樹の思想が現れている感じしますね。
日本神話で、「原初の段階で伸びゆく葦があった」とするのは不思議なことです。
なぜなら神話の中で、最初の段階では生命は存在してないわけだから。生命が満ち溢れる描写は、もっと後だから。
日本書紀では、原初の国常立尊が現れたあとの神世七代に、角杙神(つぬぐいのかみ)と活杙神(いくぐいのかみ)という神様が登場します。
この2柱の神、「芽ぐむ」とか「活きる」を示す神であり、植物の繁茂の表れだとか言う。
あとは神世七代の最期であるイザナギとイザナミが、オノゴロ島を作って神々を生み出した時、木の精霊の久久能智、草の精霊の草野姫(かやのひめ)やらが登場するわけです。これが植物の繁茂を表すと言っていいところ。
だから日本神話の植物が繁殖してない段階で、「葦があった」というのは、完全におかしい。つまり原初の独立した葦は、世界樹でした。
アース神族とアシ
それで思いついちゃったんですけど。
ユグドラシルの世界を治めてるのは、オーディンを始めとしたアース神族だったわけですが。
このアース神族のアース(A'S)というのも、葦(アシ)に似てる感じがしました。
アースに対応する日本神話の存在としては、葦牙、宇摩志阿斯訶備比古遅神の「阿斯」、あと天津神も含むかも知れないと思ったりします。
葦牙 葦→アシ→アーシ→アース
阿斯 アシ→アーシ→アース
天津 アマツ→アーツ→アース
すると高天原の天津神というのが、アース神族に対応してるというわけですが。アース神族の最高神はオーディン(オージン)でした。
黄泉大神
大神→オージン→オーディン
というわけで、日本神話はオーディンの名前を残してるのかもしれんです。
世界中に世界樹神話あるのに、日本に最も似てるのは北欧なのは何でだろ~
そういえば古代中国では、建木、扶桑、若木という、天地を結ぶ巨大樹の神話があって、扶桑は東方に生えているとありました。
その扶桑って、何故か日本の別名となっており、扶桑国といえば日本。これは要するに「日本が世界樹思想の国である」ことを、表してるかのよう。
ただし中国の世界樹神話って、日本や北欧にあるような「アシ、アス」的な名前ではないんですよね。
世界中の世界樹神話と比較しても、「アシ」とか「ミズ」という名前はないみたい。
北欧と日本だけで、共通してる感じがするんですよね。
たぶん縄文時代後期~弥生時代に、北欧民族と倭人の接点があったと思われました。伝承によるとユグドラシルのアース神族は、ウクライナからドニエプル川をくだり北欧に入っているそうな。ウクライナって、中東や中央アジアに近いです。アース神族のアースは、ASIA説があり、ASIAの語源はトルコの小アジア半島でした。
日本の天皇については日ユ同祖論とか、烏孫起源説とかが真実とすると、大陸のどこかに接点はあるってことになりますが。
日本語と英語の一致とか、日本のナマハゲとドイツのクランプスの一致、日独の伝統的建物様式の一致とかありますし。
しかし日本の学者は何故か日本の起源は東アジア、中国だ韓国だとの意見があまりに多いみたいで。
・・・媚中や媚韓だったり、ゴリ押しだったり買収されてるんですかねw。
まァ今後は、日本神話や日本語が、欧州に近いっていう事実は無視できないところですよ。
ぽちされたすかり
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