第53怪 修練前での小競り合い
同じクラスの生徒にならって更衣室にいく。そこで着替えると、支給された
たかが、一学園がこの規模の施設を持つとは……。どれくらいの資金が投入されてんだろうな。このほんの数パーセントでも分け与えることができるなら、あのスラム街の餓鬼どもがどのくらい救われるか……。
やっぱり、この世界腐ってやがる。
よほどひどい顔をしていたんだろう。周囲から視線が集まっているのに気付き、表情を消す。わかっていたことだ。でも、ヒーロ-どもの矛盾と偽善に塗れた社会を知れば知るほど、マグマのような怒りがポコポコと沸騰してくる。
集団から距離をとって壁に寄りかかって周囲の観察を開始する。
俺が距離をとったら奴らも、あからさまな警戒と敵意の視線を向けてくる事はなくなる。もっとも、好奇心たっぷりの目で、チラチラとみられてはいるようだがな。
怪人としての生活が長かったからかな。どうやったら、目立たぬ空気のような存在でいられるかは感覚で熟知している。
どうやら、このEクラスは、四つの勢力に別れるようだ。
一つが優等生のグループ。唯我独尊が服を着ているような上昇志向の連中であり、クラス替えで上位クラスへ移ることが当然の発言をしている。
二つ目が、あの坊主の巨漢を中心としたイキっている連中。妙にチャラい格好の奴や、ピアスをしている輩だ。優等生が通う学校で虚勢を張ることにより目立っているにすぎず、ゴミタメのようなスラム街の連中に慣れている俺からすれば、必死に背伸びをしている子供にしか見えない。
三つ目が、いわゆる普通の生徒たち。いわゆるモブだ。以上、他に説明はない。
四つ目が、モブにすらあぶれた者たち。クラスから村八分にあった者たちと言えば一番しっくりくるだろうか。
悪目立ちしたくはない俺が属すべきはむろん、三つ目のモブだが、既に元怪人認定されてしまった俺は、四つ目の村八分の村人に強制編入されている。ま、だからどうした、って話なわけだけど。
この四番目に属するグループは、俺のように徹底的に空気のように扱われるか、それとも――。
「
――あのように、いびられるかのいずれかだ。
釣り目の男子生徒が、
背後には大柄で坊主の男を中心としたグループがいる。あれは、二番目のイキった輩のグループに属する奴だ。
というか、
その
ここが魔術師と
「皆の
消え入りそうな声で、
「あー! んなわけあるかよ!」
「やめろ」
リーダーと思しき大柄で坊主の男が一歩前に出ると、衣笠の前に立つ。
「本当になかったのか?」
低い声で見下ろしながら問いかける。
「う、うん。本当になかった」
「そうか……頼んで悪かったな。お前ら、ロッカー室にいくぞ」
「あ、ああ」
取り巻きも頷き、後に続こうとする。
「で、でも、大吾君、
大柄な男の右の裏拳が釣り目の男の画面にぶちかまされて、後方へ吹っ飛ぶ。
「
ほう、外見や雰囲気からあいつがボスで、嫌がらせでもしているのかと思ったが、どうやら、違かったようだ。
周囲の取り巻き達を連れて颯爽と姿を消す大吾。外見とは違って、大分落ち着いている思考の持ち主のようだ。
対して、残された
「見てんじゃねぇよ!」
第一修練場に一際大きな騒めきが生じ、全員の視線がそちらに集中する。
それは、桃色の髪をハーフアップにした少女。彼女は、俺の隣の席の確か、
うーん、
そういや、ツムジちゃんが、この学園の同学年にジパングでも有名な女優がいるっていっていたな。そいつが、たしか、シズクって名前だったはずだ。この女のことだろう。でも、まさか、クソ忙しい女優様が、この
そこで、金色の髪を短く刈った野獣の大柄な男が、修練場に入ってくる。あのローブに刻まれた紋章は、この学園の教員のもの。どうやら、授業が始まるようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます