第49怪 命懸けの修練
入学試験の結果が来るまでやれることは限られている。
最初に実施したのは、魔導書に書いてあった魔力の爆発的な絶対値の上昇。
これは、魔導書に魔力暴発という方法で記載されていた。
しかし、この方法を試そうとしたが、そもそも一定の魔力が残ってしまい【
何度試しても同様であることからも、この方法での魔力の上昇は見込めない事は明らか。限界魔力量もよくわらない記載だし、もしかしたら、その理由は俺の使用可能
ただ、この魔力暴発による魔力の著しい上昇という方法は応用が可能かもしれない。これを魔力と異なる言葉を用いて説明すると、身体の特定の部位で【身体強化】をして限界まで酷使した後回復させると上昇率が爆上がりする、ということだ。 例えば、全身の筋肉に【身体強化】を限界ギリギリまで行使して、その壊れた筋肉を自己回復させれば筋力の著しい上昇が見込めるのではないかということ。特に【身体強化】はその込める魔力量が多ければそれだけ肉体に対する負担が大きくなるという特性を有している。この特性を利用して魔力を込めた臓器が死ぬ直前まで酷使して、【自己治癒】により回復させれば、この現象を再現できる。もちろん、加減を誤ると即死すら観念し得る危険極まりない方法であるが、今はリスクとか言っているような状況ではない。手っ取り早く強くなるには、これをするしか方法はないんだ。
この前提として、【身体強化】の部分行使という極めて難解な方法を手足のごとく扱えなければならない。
だから、訓練しようと考えたわけだが……。
「なぜ、俺はできるんだろうな……」
たった数回の行使でいとも簡単に実践できてしまう。
筋力のみの強化はもちろん、脳の働きの強化により記憶、読解力、理解力、読解速度などの著しい向上が見込めた。
一番簡単なのは、筋力だ。試しに購入したバーベルを持った状態で全身の筋肉に【身体強化】を限界ギリギリまで使用して酷使し、【自己治癒】を行うというもの。
まずは、全身の筋肉に魔力を20だけ込めて【身体強化】を実施すると、全身が引っ張られるかのような痛みが走る。さらに、10だけ魔力を加えて実施すると、全身に痣ができて、10を加えると僅かに血が吹きだす。そして、最後に10を新たに加えたとき、俺の身体はグシャグシャになった。骨が砕けて肉が弾け飛んだ状態だ。内臓も潰れてしまっている。
文字通り、あと数分で死ぬという瀕死の状態で指一本動かすことができず、死を待つような状態のはずなのに、俺は妙に冷静で【自己治癒】を発動させていた。まるで嘘のように傷はいえる。ただ、べったりとシャッツについた血の跡だけが、あの傷が真実だと告げていた。
すかさず、自身に鑑定をかけると、力が4→6へ増加していた。
よし! これはいける! これで上昇したことは極めて大きい。
しかし、先ほどのは少々余裕がありすぎた。もう少し、余裕のないギリギリの状態まで魔力を込めて【身体強化】を行使したら、さらに上昇率は増加した。
何度か試しただけで、自身の生死のギリギリの状態が感覚で把握できている。
それにしても、こんな狂いきった方法、以前の俺ならやれたとしても何かもっともらしい理由をつけて選択はしなかったことだろう。なのに、俺はこの地獄の道をいとも簡単に選び取った。やっぱり、あの港前攻防戦で俺の心に極めて重要な変革があったのだろうな。とはいえ、だからどうした、というところなわけだけど。
ただ一つ問題だったのは、この修業は血だらけになるということだ。ここはエルドラのアルベルトを頼り、昼間、エルドラ人たちで作る集落、【金澤村】にある施設を借りて実施した。もちろん、あくまで借りるだけ。後で使用料はしっかり返済しなければならないだろう。
余った時間で俺は脳に【身体強化】を使用しつつ、ロトから受け着いた魔導書を読みふける。
そして、約一か月後、【慶皇館大学付属】の魔導科の編入試験合格の一報を受け取る。
それまで俺はこの狂い切った修行し続けた。
筋力は重たい岩のようなものを持ちながら実施し、耐久力はウィルオウィスプの炎で自身を燃やしながら【身体強化】を行使したら上昇した。
体力がイメージしにくく難しかったが、【金澤村】のトレーニングに指定された広場で【身体強化】を限界ギリギリまで使用しながら、かなりきつめの筋トレや架空の対人戦をイメージした格闘術や木刀での修練をひたすら繰り返していたら僅かながら上昇した。
ちなみに知力については【自己治癒】ができなくなる可能性を考慮し、常時強化発動という形でゆっくり上昇させることにした。
ともかく、俺のステータスは、筋力3524、体力93、耐久力2104、知力8へと上昇していた。
体力が低いのはおそらく、限界までヘトヘトになってから自己治癒するという方法が、直接的ではなかったからだと思う。
まだまだ俺は弱い。こんなものでは召喚したものによっては、まだ瞬殺されてしまう。
何とかすべきだろうさ。
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