【食のビッグデータ活用】Rettyがイオンマーケティングと共創する「食単語辞書」とは
先日、イオンマーケティング株式会社さまが発行するグループ報『イオンのアンテナ』で、Rettyが食のトレンド解説やデータの読み解き方をお話しした記事が掲載されました。
Rettyに寄せられる飲食店への口コミ投稿や店舗情報など、外食に関わるさまざまなデータから食のトレンドを読み解き、小売業のマーケティングに役立てていただこうというもの。私たち自身も取材でトレンドの兆候が見られるグルメについてご紹介しながら、「トレンドの始まりはあのお店かもね」「あの映画から始まったんじゃないかな」などと考察してワクワクしていました!
なぜこのようなご縁があったのか。実はRettyは以前より、イオンマーケティングさまが収集するイオングループ内外のさまざまな食のデータを横断的に分析するためのツール開発と、外食に関するデータ提供で協業してきたからなのです。
イオンマーケティングが目指した「データ収集基盤」の構築
イオンマーケティングさまのミッションはイオングループ各社のマーケティング活動に伴走し、顧客が求める価値を日々提供すること。そのために目指したのが、グループ内で保有する購買に関するデータだけでなく、あらゆる食に関する情報が集まる「データ収集基盤」の構築でした。これによって「顧客」の解像度を高め、データ分析やリサーチなどによる支援を強化できると考えたためです。
ただ、それを実現するにはイオングループが保有していない「外食」に関するデータをどう手配するかが課題でした。そして、顧客行動や食のトレンド情報など、あらゆるデータソースに含まれる単語を集約するための辞書のようなものが必要でした。
食のトレンドの兆候を初期段階で発見・分析できる基盤に
こうした課題を解決するパートナーとして、Rettyにお声がかかりました。Rettyが保有する飲食店情報や口コミなどの外食にまつわるデータを提供するとともに、あらゆるデータソースに含まれる単語を集約する「食単語辞書」の開発を担うことになったのです。
なぜRettyだったのか?その理由はRettyが単に多くの飲食店情報を保有しているからということだけでなく、「食に詳しいユーザーさんのリアルな声」が詰まった、質の高い口コミがRettyに集まっていることもポイントでしょう。
私たちはRettyに集まる口コミデータを活用し、膨大なデータから食単語データを抽出する「食単語辞書」を構築しました。
メインとなる技術は形態素解析(文章を意味を持つ最小単位[形態素]に分解し、それぞれの品詞を判別する自然言語処理の技術)での食単語抽出と、生成AIでの表記揺れの名寄せ。両者でロジックを議論しながら、食単語辞書を完成させました。
開発を重ねるごとに、食単語辞書として正解に近づいているかを検証するため、正解率、適合率、再現率の指標を用いて検証を行うことで、正しくロジックを組み込めていることを確認しながらプロジェクトを進めていきました。
TP:食単語を正しく食単語と抽出できた件数
FN:食単語である固有表現を食単語でないと除外した件数
FP:食単語でない文字列を食単語であると抽出した件数
とくに難しかったのは表記揺れの問題です。たとえば、「鶏の唐揚げ」「鳥の唐揚げ」「鶏からあげ 」は同じ料理を意味する食単語です。これらを同じデータとして扱うために「鶏の唐揚げ」に名寄せする仕組みが必要でした。
完成した「食単語辞書」を基盤にイオングループ各社の購買データなどを組み合わせることで、イオンマーケティングさまは「アサイーボウル」や「チュクミ」といった食のトレンドの兆候を初期段階で発見・分析できるようになりました。
Rettyが描く、食のビッグデータ活用の未来像
この取り組みは単なるデータの提供にとどまらない、両社の知見を掛け合わせることで新たな価値を創造する共創ビジネスです。過去にもさまざまな企業・団体のみなさまと多様なソリューションをつくってきました。
【サービス概要とその他の共創事例】
Rettyの「食のビッグデータ」はさまざまな企業や社会の課題を解決する可能性を持つと考えています。たとえば、消費者のリアルな声をもとにした新商品開発、効果的なマーケティング戦略立案の支援などです。私たちは食の分野におけるイノベーションパートナーとして、これからも挑戦を続けてまいります。
【ご取材協力】
イオンマーケティング株式会社さま
イオンマーケティング株式会社は、イオングループのデジタルマーケティング会社として、共通ポイント「WAON POINT」の運営や購買データ分析を通じ、企業と生活者のつながりを支援しています。1億人超の会員基盤と月間4,000万人超の購買データを活用し、事業会社のマーケティング支援やリテールメディアによる顧客接点の最適化を推進しています。
https://www.aeonmarketing.co.jp/



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