トリッカル・もちもちほっぺ大作戦 ベータテスト体験記事【明らかに大丈夫ではない】
2025年5月28日、「トリッカル・もちもちほっぺ大作戦」が発表された。
本作は韓国の人気ゲームで、日本においても一部の層の間ではミーム的な人気を博していた作品だ。
その一部の層とは何なのかと言うと、「ラストオリジン」というゲームのプレイヤーだ。
これも韓国産のゲームだが、2020年より日本語版がリリースされており、大人気……とまでは行かないものの、なかなか根強いファンを獲得している。
このラストオリジンには「ラストオリジン漫画劇場」という公式漫画が存在する。
画風を見ての通り、この漫画の作者がトリッカルのアートディレクターを務めたdiyap氏なのだ。
本漫画のもちもちほっぺな画風に魅せられたラストオリジンプレイヤーたちがdiyap氏に興味を持ち、トリッカルを発見したというわけだ。
加えて言うなら、トリッカルは正式リリースまで非常に紆余曲折のあった作品だ。
この詳細は記事や動画などで纏めている方も多いが、ざっくり説明すると
元々は「Roll the Chess」という洋ゲー的グラフィックのゲームとして制作されていたが、これのPVを出した結果あまりにも不評だったため、根底から作り直すことを決定
このとき、本作に関してdiyap氏の漫画だけは唯一好評だったことを受け、彼をアートディレクターに据えてグラフィックを一新することを決定
こうして現在の画風となり、タイトルもトリッカルに改定。正式リリースに至った……のだが、これも好評なのは ほぼグラフィックのみでゲーム性に関しては凄まじく不評。リリースから僅か2時間で「これはベータテストにする」と方針転換し、その後再び作り直しになる
この作り直しの期間は非常に長く、その間にdiyap氏が健康上の理由で退職していたことも判明、リリースが絶望視される一方で、開発会社の代表者が自分の家を担保に資金を調達したエピソードなどが発掘され、ネタとしては一定の話題性を保っていた
約2年の再開発を経て、トリッカルRe:Viveとして復活(プリンセスコネクト Re:Diveのパロディ)今度こそ正式にリリースされ、ゲーム性もそこそこ好評を博す
……と、苦難と言うよりは珍妙な足跡を辿ってきたのが本作だ。
そして、ラストオリジンも運営の奇行(比較的笑えるタイプのやらかし)が目立つ作品だったため、その点でも「似たような変な作品」として注目を浴びていた。
そんなわけで韓国でのトリッカルのリリース後、日本のラストオリジンプレイヤーたちは「トリッカルの日本語版出ろ!」と祈っていたわけだ。
(中には日本語版のリリースを待ちきれず、韓国語のトリッカルをそのままプレイしていた猛者も存在した)
そんな中、かつてのラストオリジンプレイヤーであり虚淵玄シナリオにキレて引退した俺も、「移住先」としてトリッカルには長らく期待の目を向けていた。
とは言え本国版のリリースすらこれほどグダグダだった本作が日本向けのローカライズをされるとは正直あまり期待していなかったので、本当にリリースされそうな雰囲気が出てきた際には逆に驚いたのを覚えている。
ただ一つ重要なことは、やはりトリッカルはトリッカルだったことだ。本国版でのグダグダっぷりは上記の通りだが、本作は日本語版のリリースに際しても既に本国に負けず劣らずのグダグダっぷりを発揮している。
まず本作の日本語版については、ほぼ一年前の2024年5月の時点で出そうな兆候が見えていた。
中国のゲームストアTapTapに突然「もちほっぺ大探検」のタイトルで、日本語の説明文と共にトリッカルと思しきゲームが一度登録されたのだ。この時はすぐに取り下げられた上、ダウンロードできた人も実際にはプレイできなかった様子なので、おそらく日本語版のテスト登録を誤って公開で出してしまったような類のミス思われる。
ともかく、本件から「なんか本当に日本語版トリッカル出す予定っぽいぞ」と一部界隈はザワつくことになった。
そして、ザワついていた層も本作を忘れかけた一年後になって、ようやく本作は「トリッカル・もちもちほっぺ大作戦」として登場した。
「もちほっぺ大探検」から「もちもちほっぺ大作戦」と微妙に変わっているが、上記の名前が副題としてほぼ引き継がれているのを見ても、TapTapへの登録は日本語版リリースの予兆だったと見て間違いないだろう。
それはそうと、本作は日本人の間では「トリッカル」の名で定着していた。
そのため「もちほっぺ大探検」の名前が出たときは、この名前自体は不評ではない一方で「トリッカルの名が消えるのは嫌」といった反応も散見されていた。
なので、正式な日本語版タイトルが「トリッカル」を正式採用しつつ、「もちほっぺ大探検」の要素も副題として入れ込んだのは非常に良い判断だったと言える。
この点だけを見るとトリッカルの日本語版ローカライズ班は非常に優秀だと勘違いしそうになるが、実際のところは先述したように本国に負けず劣らずグダグダだ。
まず本作、事前登録のメールアドレス入力にピリオドが含まれると「不正なメールアドレス」と判定されて登録できない問題があった。
ピリオドはgmailだと普通に使える記号なので、これは結構な問題だ。俺は電話番号で事前登録を行った。
しかし登録完了のメールなどは特に来ず、本当に登録成功したのかどうかは今でもよく分からない。
そもそも事前登録の目標人数を最大100万人と異様に強気な設定にしたせいで、既にものすごくコケたような雰囲気が出ているのも味わい深い点だ。
一応言っておくが、元々日本ではそこまで知名度のなかったゲームなのだから10万人でも上出来な部類だとは思う。
公式ページやゲーム中には所々に中華フォントらしきものが散見され、広報の日本語も中々に怪しい。
特に顕著なのがベータテストの名前で、twitterでは元々「もちほっぺテスト」の名で告知されていたのだが、テスト直前に公開されたQ&A画像には「ほっぺつねりテスト」の名が混在している。
これだけなら「ほっぺつねりテスト」がミスか、あるいは没になった旧名なのだろうと思えたのだが、本件をさらに難解にしている問題がある。
このQ&A画像はゲーム中からも確認可能なのだが、こちらでは「ほっぺつねりテスト」で統一されているのだ。
わざわざ後から表記が混在するように修正するとは思えないので、おそらく「ほっぺつねりテスト」で統一されているゲーム内ドキュメントの方が新しいバージョンと思われる。
なら、正しいのは「ほっぺつねりテスト」なのか?
だが、twitterで使われている名称は「もちほっぺテスト」で ほぼ一貫しており、テスト開始後もこちらの名称で呼ばれている。
何ならゲーム中で「ほっぺ引っ張りテスト」と書かれているバナーもある。「意味が大体合ってればいい」くらいの感覚で名前を書かないでくれ。
結局どの名称が正しいのか?誰にも分からない。おそらく公式も分かっていないだろう。
ついでに言うと「もちほっぺテスト」は複数回に渡って誤記されており、「もちほっぺテースト」「もちっほぺテスト」と、逆によくこんな間違いできたなと感心しそうになるほど器用に間違えている。
まあ単なる誤記はともかく、テストの名前の混在や所々の日本語の怪しさを見るに、広報担当者は日本語ネイティブではなさそうだ。
地味な点を言うと、ハッシュタグの混在も微妙に問題になっている点だ。
本作、日本語版の正式タイトルは「トリッカル・もちもちほっぺ大作戦」であり、公式twitterが使っているハッシュタグも「#トリッカル・もちもちほっぺ大作戦」だった。
しかし、元々本作のプレイヤーには「#トリッカル」のハッシュタグが使われており、広報担当者はこれも含めた方が良いと気付いたのか、途中から2つのタグを併記するようになった。
だが、こちらの声優紹介ツイートでは「#トリッカル」のタグだけを付けて、副題付きのタグを付け忘れている。
まあOR検索でも使えばいい話なので大した問題ではないのだが、何とも締まらない部分だ。
これ以外にも、エルフィンのアニメーションスタンプを配布したかと思えばファイルの配布方法がGoogleドライブだったり、公式キャンペーンの当選者発表ページで当選者のtwitterアカウントを堂々と記載していたり、そもそも上記のベータテストの開始が6月13日なのにテストの参加方法が告知されたのが2日前の6月11日で、それまで参加方法が完全に不明だったなど、様々な点で類を見ない対応が目立つ。
最初の方で言及した「ラストオリジン」の運営も中々に奇行が目立っていたが、本作も全く負けていないと言えるだろう。
そういった意味では、「ラストオリジンと似たような変なゲーム」を期待していたプレイヤーの期待には完璧に応えていると言える。こんな期待に応えなくてもいいのに。
さて、そんなこんなで始まった日本版トリッカルのベータテストの所感を書いていこう。
なお俺は本国版のプレイ経験は無いため、基本的に「本国版と比較してどうなのか」の点には言及できないことはご了承願いたい。
グラフィック・BGM
本作の最も良い点だろう。
キャラクターについては見ての通りのもちもちした生物どもが動き回る。
バトルは勿論、ストーリーの会話シーン、強化や編成の画面でも必要以上に落ち着きなく動き回るので、何をせずとも見ているだけで楽しい。
戦闘中も、まだ もちもちほっぺ幼稚園児の俺は何をやっているのか分からないことも多いのだが、もちもちほっぺ共がワチャワチャと動いている様子をボーッと眺めているだけでも結構楽しめる。
キャラクターに目が行きがちだが背景などのデザインも非常に良好で、キャラクターとしっかり調和しつつ美麗なファンタジー世界が表現されている。
じゃあ案外硬派な作品なのかと言うとそうでもなく、例えばダンジョン(素材収集クエスト的なもの)はパロディネタに全振りしていたりする。だが、そうしたネタに関しても結構手が込んでいて、本作の珍妙な世界観の構築に一役買っている。
ただ可愛いだけじゃなく、あらゆる方面でもちもちほっぺをしゃぶり倒す。そんな姿勢が見て取れる。
Roll the Chessの時代からdiyap絵だけは魅力と言われ、それを明確に主軸に据えただけあってキャラクターの可愛さを味わうことに関しては隙がない。
基本的にいつでもキャラクターのほっぺを引っ張ることができるのが本作の特徴だが、実際これが重要なのだ。キャラクター強化の最中、ロード画面、あるいはストーリーの会話中、「ちょっと引っ張ってみるか」と思ったら引っ張れる。そしてキャラクターが反応する。
こうした、細かな場面で退屈しないのは単なるネタ以上に大きい点だと思う。
なお、ほっぺを引っ張る以外に頭を撫でることも可能なので、キャラクターを泣かせることに心が痛むもちもちほっぺ穏健派にも安心だ。
グラフィックに加えて素晴らしいのがBGMだ。これも本作のとぼけた世界観に非常にマッチする良質なものが揃っている。タイトル画面やロビー画面のBGMはその代表だろう。
一方で、劇場のBGMは不思議で怪しい雰囲気がよく出ているし、勇ましい曲やノリの良い軽快な曲などもあってバリエーションも豊かだ。
本作のBGMは、ゲームのリリース前からEPID Gamesの公式アカウントで公開されており、俺は結構前から作業中に流していた。
ゲームのリリースが絶望視されていた頃、「No way out」という曲のコメントで「ゲームが出る道がない」と煽られていたり、その他でも「ゲームのリリース以外は全て上手く行く会社」などと皮肉られていたのも今となっては懐かしい思い出だが、実際にゲーム中でBGMを聞けると感慨深いものがある。
ただしBGM周りに関しては一点だけ不満がある。全体的に音量が小さいのだ。そもそものマスター音量自体が小さい上、効果音やボイスと比較したBGMの相対音量はさらに小さい。いくらか試行錯誤した結果、俺はこのくらいの設定になった。
どちらかと言えば のんびり眺めるタイプのゲームであることを考えるとデフォルトのBGMの主張が弱めであることも理解はできるのだが、それにしても遠慮しすぎだ。
せっかく良質なBGMが揃っているのだから、もっと自信を持って聴かせに来てくれ。あとマスター音量はもっと大きくしてほしい。このゲームのプレイ時のみ端末の音量を大きくするのは地味に面倒だ。
UI・チュートリアル
基本的には現代のモダンなゲームといった感じで、普通にプレイする分には直感的に操作できる印象だ。
ただ、所々で説明が少なくて苦労することはある。例えばフレンド機能についてはチュートリアルで全然教えてくれないので、機能を理解したければ自分でヘルプを確認する必要がある。
あと、キャラクター強化画面にある フォロー/フォロー解除 のボタンはタップすると確認無しで即座に動作するのが少々不親切だ。俺は何のボタンなのか分からずに一度押して、メロナのフォローを解除して泣かせたことがある。
チュートリアルは所々に情報の歯抜けと言うか、解説の密度に波がある。ちゃんと実際に操作しながら機能を教えてくれることもあれば、説明だけで次々に進んでいくこともあり、たまに機能を把握しきれないことがある。
そして本作は段階的に機能を開放されることが多いのだが、その時開放された機能だけを逐一説明されるのも地味に悩む点だ。
例えば最初にカード機能が開放された際、カード使用時の効果は説明されるものの デッキ構築の方法は教えてくれない。
その後、もう少し進んでカードガチャが開放された段階で、ようやくデッキ構築の方法を説明する。
カード機能の開放時点ではデッキ構築ができない(デッキから外すほどカードを所持していない)ため、まあ説明の順序として分からなくはないのだが、最初のうちは「これって入手したカードが全部デッキに入るのか?」と混乱させられたりした。
その他、所々で微妙な不便を感じることは多い。
戦闘で最後のwaveに入る際にはランダムな効果が発生するが、この効果の表示は信じられないほど短く、まず3つの効果全てを読む暇はない。
戦闘後のリザルト画面では、報酬の表示演出が終わるまでは「リトライ」「次のステージへ」などのボタンが反応しないので、表示が終わるまで待つ必要がある。
使徒の強化画面で使徒を切り替えた際なども一緒だ。キャラクターを切り替えるボタンを連打しても次々に切り替わってくれず、スライド演出が終わるまで待つ必要がある。
どれも一回あたり1~2秒程度の待ち時間ではあるが、多用する操作なので結構気になる。ボタンを押したときは演出をスキップさせてほしい。
それからUIにもたまに翻訳が怪しい部分があり、例えば装備の売却を行うボタンは「販売」と記載されている。
意味が通らないわけではないが、あまり日本語のゲームでは見ない表現なので混乱する。
全体的に説明の中途半端さが不満点で、一度慣れてしまえば大丈夫だろうとは思うが 所々で取っつきにくさを感じる部分はあった。
ゲームシステム
よくわからん、というのが正直なところだ。
基本的にキャラクターはオートで動いて敵と戦う。戦闘は強化フェイズと戦闘フェイズを一定回数繰り返すような形で進行する。
強化フェイズでは、3枚のカードから1枚を選択して使用することを繰り返す。コストとなるコインが続く限り強化が可能だが、コインを温存しておくと利息が付くため先を見据えるなら温存した方が良い。
だが、先を見据えて強化を渋った結果 強化不足で倒れてしまったら元も子もないため、その辺りのバランスを考えて選択してゆく、といった塩梅だ。
キャラクターのカードを重ねると学年が上がり、四年生まで強化するとクールタイム付きのアクティブスキルを任意のタイミングで使用可能になる。
この高学年スキルを上手く使いこなすのが勝利の鍵となる……ような気がする。
学年って何だよと思うかもしれないが、俺が知りたい。一応言っておくが本作の戦闘キャラクターたちは学生でもなんでもなく、世界樹教団の使徒という設定だ。
だが、高学年スキルとかの名前は韓国版の時点で元々そうなっているらしく、別に日本語版の翻訳がメチャクチャだからこうなったわけではないらしい。
ともかく、この辺りのシステムはしっかりと戦略性や戦術性がありそうで、ちゃんとゲームとして楽しそうに見える。
キャラクターの育成も、レベルアップやスキル強化などオーソドックスなものが中心で、キャラクターを育ててバトルを攻略する楽しみは十分にありそうだ。
なぜこんな不明瞭な言い方なのかというと、現時点ではまだ本作のシステムを理解している自信がないからだ。
それぞれのキャラクターにアタッカーやタンク、ヒーラーといった役割があるのは分かるが、どのキャラがどの程度活躍しているのか現時点では今一つよく分からない。
本作はターン制バトルのように一人ずつキャラクターを動かすのではなく 全キャラが一斉に暴れるので、どのキャラが一体何をやって誰にどの程度のダメージを与えているのか、パッと見で分かりにくいのだ。
しっかり理解していけば面白そうな匂いは感じるのだが、現状は誰が強いのかもよく分からないまま何となくで戦っている。
キャラクターの性格は揃えた方が良さそうに思って色統一の編成を組むようにしているが、これも自信がない。
本作は統一編成が基本的に当たり前なゲームなのか?それとも、属性は無視して個々のキャラパワーで殴るべきなのか?多分そのうち分かるだろうとは思うが、これもUIと同じく取っつきにくい部分を多少感じた。
何となく眺めた感じでは、複数の仲間の攻撃力を高めるパッシブを持っているバターやディアナなどが強そうに見えるが、現時点では全く自信がない。
エルダイン(不死者)と呼ばれる特別枠のキャラクターは全員強いらしいが、そのキャラクターのスキル説明を見ても「まあ、強いと言われれば強いような……」くらいの理解だ。
そもそも現時点では手持ちのキャラクターが少なく、例えば憂鬱のキャラは6人しか持っていないので統一編成を組むなら その6人で組むしかないような状況だ。もっとキャラクターの取捨選択が必要な段階に入ってから悩むべきかもしれない。
なお、戦闘画面の左下には戦闘統計を表示するボタンがあり、これを見ると与ダメージや被ダメージがグラフとして表示される。
じゃあ誰が活躍してるのか分かるじゃん、と思うだろうが、この機能も実際よく分からないのだ。
キャラクターが6000くらいのダメージを与えたのを確認した後に戦闘分析のグラフを見ても、与ダメージが2000くらいしか計上されていなかったりする。
何が困るかって、これがバグなのか仕様なのか分からないことだ。
俺が戦闘分析の仕様を理解していないだけで、6000のダメージが出たからってそのまま6000ダメージが計上されない理由があるのかもしれない。
例えばHPが2000の敵に6000ダメージを与えてオーバーキルしても、戦闘分析には実際に削った敵HPの2000しか計上されないとかな。そんな感じの仕様なら辻褄が合う。
だが、現時点ではそれを判別できないのだ。もしかしたらただのバグの可能性もあるが、ただの俺の無知かもしれない。
ただ俺は無力なまま、敵がメーロンマスクXの爆発で消し飛ぶ様子を眺めることしかできずにいる。一人前の教主への道は、まだまだ遠い。
だが、奥が深そうなのは確かだ。
本作にはPVPがあるのだが、ここで何度か戦ってみた結果ルポ(オレンジの髪の獣人)の強みを知ることができた。
彼女は技の威力が特別優れているわけではないのだが、スキルで敵陣の裏に潜り込んで戦うことができる。
普通、近接キャラの攻撃は敵前衛のタンクにブロックされるのだが、彼女の場合は裏周りして後衛を直接攻撃できるというわけだ。
だが、最も重要なのはそこではない。敵陣の裏に回り込むということは、ルポが自陣と切り離される形になる。
その結果何が起こるかと言うと、自陣のキャラを狙った敵の範囲攻撃はルポに当たらないし、逆にルポを狙った範囲攻撃はルポにしか当たらないため、敵の攻撃を分散させてダメージ効率を落とすことができる。
そしてPVPでは挑んだ側が制限時間内に相手を全滅させなければ負けのルールなので、このルポによる敵攻撃の分断は時間稼ぎとして有効に働く。実際、俺はギリギリ勝てそうだったのに敵ユニットの最後に残ったルポを落としきれずに時間切れで負けることになった。
こうした利点は実際に使ってみなければ分からない、と言うか使ってもすぐには分からないことも多いため、本作の戦闘を理解するのは容易ではない。
もちもちほっぺの世界は一筋縄ではいかないのだ。
まあ、よく分からないままでもキャラクターを育成するのは何だかんだ楽しいし、部屋を飾り付けたり、キャラクターを着せ替えてロビーに配置するなど、戦闘以外にも軽く遊べる要素は色々とある。
少し暇を持て余しているが、わざわざバトルするのは面倒。そんな気分のときは、ただ何事もなく もちもちほっぺと戯れる。そんな楽しみ方でも十分本作の世界は味わえる。
一度完全クリアしたステージは 以後キャンディ(スタミナ)だけ消費して即完了するスキップ機能が無制限に使えるため、虚無の周回でひたすら時間を食われることもない。
本作は「一日10分で遊べる!」とアピールしていたが、プレイに余計な負担を感じなくて済むのは非常にありがたい。
完全クリアの条件を考えることを放棄したステージがあるのも笑って見守ってやろう。
キャラクターの入手は よくあるタイプのガチャだ。俺は「ガチャゲーに本気を出すと絶対いつか萎えて辞める」と思っているのでガチャは歓迎しないが、スマホゲーなんて9割はガチャゲーなのでこの点は仕方がない。
ただ、本作は限定キャラクターを出さない方針(らしい)であり、さらに天井ポイントが繰り越される仕様になっているため、どうしても欲しいキャラを引く場合でも その場で大金を使うことが必須ではない。ガチャゲーの中では優しい仕様になっていると言えるだろう。
もしも性能的に必須クラスのキャラが多かったりすると厳しいことになりそうだが、現状聞きかじった限りではキャラクターのパワーバランスも比較的良好らしい。(ウイが突出しているとは聞いた)
なお、日本語版はキャラクターの性能が本国から変更されているらしい。
ランクの昇格・降格があったり、性格属性やスキルの効果が違うなど結構色々変わっているようだ。
これを目当てに日本語版をプレイする本国の猛者が現れるかどうかは不明だが、本国よりバランスが改善されているのか、逆に壊れているのかは気になる点だったりする。
翻訳・ストーリー
まず翻訳面の話をすると、普通に読むのに支障があるレベルの問題は無いと思ってよいだろう。
所々でネイティブの日本語らしくない言い回しはあるが、少なくともテストの名称すら安定しないtwitter広報の日本語よりは遥かに自然な日本語の範疇だ。
ただし所々に怪しい部分があるのは確かで、一番おかしいのはこのキャラクターだ。
このキャラの本国での名前は「유미미」であり、日本語に訳した場合は基本的に「ユミミ」と呼ばれていたようだ。
だが、何故か日本語化の際にリュウメイメイという中国感溢れる名前に変わっている。
他のキャラクターでも、メルナ→メロナ とか ガビア→ガヴィア のように微妙な表記揺れ程度の変化があったキャラクターはいるが、ここまで豪快な変化は他には無い。
確か中国語だと美美と書いて「メイメイ」と呼ぶはずなので、もしかして ミミ→美美→メイメイ になったのか?と思って本作の中国語版(嘟嘟臉惡作劇)での彼女の名前を確認してみたところ、案の定「劉美美」の表記だった。
つまり本件から察するに、日本語版トリッカルのテキストは韓国語の原文を一度中国語に翻訳し、それを改めて日本語に翻訳する二重翻訳が行われているものと見て間違いないだろう。そしてリュウメイメイはその際に発生した誤訳の類と言うわけだ。
本作の他言語版パブリッシャーが中国企業のbilibiliであることも、二重翻訳説の信憑性を高める。
たまに本当に意味不明な翻訳もあり、この画面の左下でブルミが「クマムシ」と表現されているのは本当に謎だ。
彼女は物語の冒頭で主人公から「噛み終わったガム」と珍妙な表現をされるのだが、クマムシと呼ばれていたことはない。
彼女の本国での名前は영춘(ヨンチュン)で、意味としては「迎春」のようなものらしい。また、本国でも껌(ガム)と言われていたりするらしいが、軽く調べた限りでは これを多少誤訳したからってクマムシになりそうには見えなかった。
と言うか、その前の「強すぎて透明に見える」も何だかよく分からない。
出禁とか無視されているとか、そんな感じの意味だと思うが、一体何がどうなったらこんな表現になるんだ?
上記ほど極端な例は少ないが、他にも翻訳文臭い場面は多々ある。
例えばベルベットの勝利時台詞「一番強いんじゃない?」は、台詞の意図的には「強いだろ?」とか「強いよな?」みたいな言い回しの方が自然に感じる。
「○○だよね?」と念を押すような意図の台詞を「○○じゃない?」と書くのは別の韓国ゲーでも見たことがあるので、あちらの翻訳では多用されがちな表現なのかもしれない。
俺は昔から、「何事だ!?」と訳すべき台詞を「これは何ですか?」と訳すレベルで翻訳が終わっているゲームを長期的に遊んでいたので、元々ガバガバ翻訳については比較的寛容な方だ。
だが、それ以上に特に本作の場合は根本的な世界観やキャラクターの性格が珍妙なので、若干怪しい日本語も「味わい」のようなものとして楽しめる。
妙な言い回しが出てきたとき、これは原文が元々変なのか、翻訳がガバガバだから変な台詞になったのか、判別に困るのが面白いのだ。個人的に最強なのはロード画面のクロエだ。
俺にはこの台詞が「なんでそんなクソダサい服着てるの? 誰かに無理やり着せられたの? まさかそれに自分でお金払って買ったの? 嘘でしょ??」と超高火力の煽りを食らわせているようにしか見えないのだが、まだギリギリ「翻訳が変なせいで煽りみたいになっただけで、元は煽りではないのでは?」と悩める範囲だ。
現時点では正確な意図は不明だが、彼女の人物像を見ると多分普通に煽りだろうな、と思う。
他にも、同じくロード画面のビッグウッドの台詞「ビッグウッド、我慢して、我慢する!」、チョッピーの肩書き「情熱の青二才」、バター入手時のプチ情報「趣味は善良に生きること」など、純日本製のゲームではそうそう見られない奇怪な表現が盛り沢山だ。
これが本作のシュールな世界観をさらに強めてくれる。
そんなわけでガバガバ翻訳も一概に悪くはないと思っているのだが、それでも限度はある。流石にキャラクターの設定が揺らぐレベルの雑さになると物語を純粋に楽しむことの障害になるので、そこまで酷くなってほしくはない。
その点で言うと、本作はかなりギリギリだ。少なくとも各キャラクターの個性を表現しようとする姿勢自体は見えている。それは良い点と言える。
だが根本的に日本語への理解が足りていないのか、笑えないタイプのミスも結構多いのだ。
具体的に言うと、ベルベットの一人称は基本的に「あたい」だ。しかし、一部の台詞では「あたし」や「私」になっている箇所がある。
これだけなら単なる表記ミスだが、最も恐ろしい話をしよう。
彼女がボイスで「あたい」と話している箇所は一つもない。
じゃあ、ボイスでは「あたし」か?それとも「私」か?
どちらも違う。ボイス上では一貫して「俺」だ。
何を信じればいいんだよ。一人称が4つある。
なお、現状確認した限りではテキスト上で「俺」と書かれた箇所は一つもないので、テキストで書いた際に「俺」なのか「オレ」なのかも分からない。
どうも本作はテキストとボイスで齟齬がある場合ボイス側の方が自然な日本語になっていることが多いため、音声収録の際に校正が入り、その後ゲーム内のテキストを修正していないのが齟齬の原因ではないかと思う。
この説が正しいなら、最終的にベルベットの一人称は「俺」で統一されたと考えてよいだろう。これならまだマシだ。
テキストの修正が追いついていないのは良くないが、少なくとも現在は設定が固まっているはずだからな。
だが最悪な可能性は、今もテキストを書いている奴の中で一人称が定まっていない場合だ。もしもこちらのパターンだった場合、今後もベルベットの一人称が頻繁にブレ続ける可能性がある。
ベルベットほど酷くはないが、他のキャラでも一人称がおかしい例は複数あった。例えばルポは見ての通り、「あたいらが~」と発言した次の台詞で即座に一人称が「僕」に切り替わっている。テキスト担当者は台詞を一個書くごとに記憶が消えるのか?
なお、ルポの場合ボイス上での一人称は「あたい」だった。
それから、これは他の人の動画を見て知ったのだが、ルードをガチャで引いたときの台詞は
「ここからはオレの領域だ」→「私の名前かい?」→「ルード。オレが従うに足る強者なのか?」と、一度のガチャ演出中で一人称が変わり、即座に元に戻る高度な幻術を用いている。
これもボイス上では「オレ」で一貫しているため、最終的な設定としては「オレ」で固まったものと思いたい。
リュウメイメイのような明確な誤訳、それも二重翻訳が原因であることが透けて見えている例や、キャラクターの一人称の問題に関しては流石に俺でも「面白い」と流していられない範疇だ。と言うか俺が見過ごせるかどうか以前に、企業として修正するべき問題だと思う。
ユミミの名前は既にリュウメイメイでボイスまで撮ってしまっているとは言え、バグやミスを確認するためのベータテストなのだから、ここで指摘されてもリュウメイメイのまま押し通すのならベータテストの意味がない。
できれば二重翻訳の体制自体も見直してほしいところだが…その結果、テキストの雰囲気が大幅に変わる可能性もあると思うと色々と面倒な問題だな、と思う。
ちょっと変な翻訳も本作の味わいを増している要素だと思っているので、全てが綺麗に整ってしまうのも それはそれで少々面白くないのだ。
いずれにせよ正式リリースにあたって誤訳が修正されるかどうかは本作自体への印象を大きく変える問題だと思う。
ボイスを撮り直してまでリュウメイメイをユミミに修正するくらい真摯に対応するなら「やらかしは多いけど真面目に対応してる良い運営」くらいの印象になるし、逆にキャラクターの一人称すら統一せずに放置するなら「もちもちほっぺが可愛いから一応遊ぶけど運営はゴミ」くらいの評価になる。
良くも悪くもベータテスト後の最大の注目点だと思っている。
物語や会話の内容に言及しよう。と言っても、全体的なストーリーの面白さを語れるほどにはストーリーが進んでいないので、雰囲気程度の感想だ。
とにかく「どこまで本気なのか、どこまでネタなのか分からない」点が最大の魅力だ。
本作のストーリーは、基本的にはグラフィックの雰囲気通りの とぼけた様子で進むことが多い。
ただ、所々で登場する設定は妙にリアルなものも多く、たまに不穏な要素も出てくる。
PVでコミカルに描かれていた「女王エルフィンが反乱軍に追われている」設定も、その原因は「砂糖の生産を輸入に頼った結果、生産元からの供給が止まって砂糖不足に陥り民衆の不満が爆発」というものだ。こんな食料自給率低下の危険性を問うような背景設定がサラッと語られたりする。
本国での評判を聞きかじった際にも「シリアスな方面で面白い話や設定も多い」との感想を何度か見かけており、ひたすらお気楽なゆるふわゲーではないのは確かなのだろう。
コンテンツ「宴会場」ではキャラクターに料理を食べさせる事が可能で、キャラクターごとに料理の好みが設定されている他、ちょっとした会話も用意されている。
料理ごとに何となく「どんな種族・性格の人物がこれを好むのか」を匂わせる説明文があるので、そこからキャラクターの好みを推察するのが正攻法だと思われるが、そもそも料理自体に変なものが多いので全く予測が付かないことも多い。
会話のイベントは基本的にコミカルな内容が多いが、中には妙に現実的だったり、奇怪な世界観が覗き見れたりするものも結構多い。
そこまで濃密な会話があるわけでもないが、料理の好みと併せてキャラクターについて知る、愛着を強める要素としては しっかり機能していると言えるだろう。
なお、ロボットのキャラクターと会話した際には「テセウスの船」をネタにしたような話が出てくるが、これは本作が2回作り直されて原型を留めなくなったことに対する自虐ネタか?
その他、唐突にパロディで殴ってくることもある。
先述したが、韓国語版のタイトルがそもそもプリコネのパロディだったり、ダンジョンではパワーパフガールズやGTAのパロディなど色々とネタに走っているのだが、会話の中でパロディネタが出ることも時々ある。
チュートリアルのブルミが「君のような勘のいいガキは嫌い」と言っていたりもしたので、どうも鋼の錬金術師がお気に入りらしい。
しかし、変な翻訳が多いくせにパロディの台詞を正確に書けている理由は謎だ。翻訳前のテキストに元ネタの注釈でも添えられていたんだろうか。
ベータテストで最初に実施されたイベント、メルトダウン・バターの内容も「バターがお人好しであるのをいいことに、理不尽に面倒事を押し付けたり嘲笑ったりする周囲に対し、ついにバターがブチギレる」というもので、初っ端からカッ飛ばしている。
バイオレンスな描写もあるし、バターを虐げるキャラクターたちはちゃんとクズに描かれている(一応、やりすぎたと反省する様子はある)。
その点では少々賛否は分かれそうだが、最終的には怪奇譚的な締め方で終わるストーリーは結構面白く、本作のイカレた空気感を示すイベントストーリーとしては良い内容だったと言えるだろう。
もちもちほっぺのグラフィック、聴いているだけでIQが下がりそうなBGM、奇天烈なキャラ付けの登場人物、そして変なテキストだ。世界三大珍味全部乗せのような魅力がある。
とりあえず俺がトリッカルに対して期待していた要素は一通り入っていそうな印象なので、やはり注目すべきは笑えないレベルのミスがどこまで出てくるか、になるだろう。
バグ等
ベータテストとは言え、元々韓国で展開しているゲームのローカライズなのだから大したバグなどは無いだろう…と思っていたら、なかなか強烈な設定ミスに遭遇した。やはりトリッカルはトリッカルだった。
序盤のブルミとの会話で、テキストとボイスが全く一致しなくなるのだ。会話が進むほどミスが酷くなり、最終的には5回くらい連続でテキストと違うボイスが流れたりした。
しかも「ボイスが間違いで、テキスト側が正しい」場面と「テキストが間違いで、ボイス側が正しい」場面が混在しており、もはや何を信じれば良いのかも分からなくなる。
あろうことか この場面の直前で「キャラクターの本音/建前の台詞をそれぞれ確認できる」演出が登場したところだったので、俺はこのテキストとボイスが一致しないのも演出の一環かと思っていたのだが、同じ台詞のボイスが二回流れてきた辺りでただのミスだと察した。
毎回このシーンほど酷いわけではないが、別の場面ではボイスの入力を一つ飛ばしてしまった後そのまま入力を続けたのか、テキストに対してボイスが台詞一つ分遅れたまま進み、最後のボイスは欠落したまま会話が終わるミスなどもあった。
ズレ以外にも、テキストとボイスが微妙に一致しないことは多い。先述のベルベットが特に分かりやすい例だが、それ以外にも多々ある。
この場面では、テキストだと「女王様のおかげさまで妖精の知能偏差値が落ちてしまいそうです!」だが、ボイスでは「女王様のせいで妖精全体の偏差値が下がってしまいそうです」となっている。意味としては大体一緒だが、文面は全く一致していない。どちらかと言えばボイスの側の方が自然な日本語になっている辺り、これも音声収録にあたって校正が入ったように見える。
いずれにせよ大なり小なりテキスト関連のミスは多い。
ここでは地の文として一度表示した「一週間後」を、エシュールの台詞としてもう一度入れてしまっている。
このエシュールの「一週間後」部分のボイスは「うんうん、今日もよく来てくれたね!」となっているため、本来の台詞はこれなのだろう。
なお、こことは全く別の場面でも主人公の台詞が2回繰り返されるミスなどがあった。一応そういう演出の可能性を疑ったが、繰り返す必要のある場面ではなかったので まず間違いなくただのミスだろう。
ミス以前にローカライズとして明確に問題のある部分もある。上の選択肢は多分「粛清」と書かれているはずだが、フォントに「粛」の字が入っていないのか文字が出ていない。
俺がプレイヤーネームを登録する際、「鏑木」を入力しようとしたら「鏑」の字も入っていなかった。なので俺は仕方なく名前を「ミスターかぶらぎ」でプレイすることになったのだが、まあ名前入力で使えない文字があるだけならマシだ。
(とは言え、この程度の字すら入っていないのはどうかと思ったが)
しかし、普通にゲーム中のテキストすら表示できていないのは流石に問題だ。「粛清」の言い回しを変えれば場当たり的な対応は可能だろうが、根本的な解決にはならない。それとも「しゅく清」とひらがな混じりで書くか?ロックマンX5じゃねえんだぞ。
実際、他にも文字が表示できていない例は複数あって、ベルベットの使徒ストーリーでは「搾る」が表示できていない様子だった。この場面ではジュースだったが、本作には牛乳とかも出てくるので「搾る」という表現が使えないのは今後も色々と影響してきそうだ。
極端に常用外の漢字ならまだしも、普通に会話で出るような漢字すら入っていないのは今後も色々と問題が起きそうだし、いずれフォントを丸ごと変える必要性に駆られるのではないかと思う。
と言うか、ベータテストとは言えリリースする前に気付けよ。
ビッグウッドは技名の後ろに何か記号でも付いていたのだと思うが、これも表示できていないせいで「〜ロ」が語尾のキャラみたいになってしまっている。
なお、韓国版のスキル名を見てもスキルの後ろに記号などは確認できず、日本版のスキル名に本来何を表示する予定だったのかは不明だ。こいつはマゾヒストの設定らしいので、ハートマークでも付ける予定だったのか?
文字表示系で最も致命的なのがヘルプで、画像内の文字が全て謎の記号になっている。
多分これは、とりあえず日中英共通で仮の文字として記号を置いた画像を作っておき、実際にリリースする際には記号の部分を各国の言語に置き換えるつもりだったのではないかと思う。それを日本語に置き換えないまま、仮の画像をそのまま使ったわけだ。
ベータテストとは言え、プレイヤーがヘルプを読めなかったら仕様が正しいのかどうかの把握もできないだろ。何やってんだよ。
それから、確認した範囲では何故かミンス(右側のキャラ)のみ頭を撫でる判定が存在しなかった。頭を撫でられることを徹底して拒否しているキャラクターではないし、これも多分バグだろう。
既に誰か言及していないかと思ってtwitterで「トリッカル ミンス」で検索したものの何も出てこなかった。仕方なく「ミンス」だけで検索してみたが、民主党の批判くらいしか出てこなかったので俺はtwitterを閉じた。
ついでに言うと仕様面の怪しい点として、ロビー画面等でのウィンドウ操作はタッチ判定が貫通することが挙げられる。
どうもウィンドウが判定をブロックしていないらしく、例えばヘルプを読んだり報酬受取の操作などをしていると、画面を触った際にウィンドウ裏の使徒のほっぺたをつねった判定になり、悲鳴が聞こえたりする。これは流石に設定ミスだろう。
あと、これはバグとは少々違うが、チュートリアル時の行動が固定されていないくせに台詞は固定のため、説明に矛盾が発生する場合がある。
俺はチュートリアル戦闘中に使徒を四年生まで育てたのだが、どうもチュートリアルの流れ的には四年生が居ない想定だったらしく、ブルミは俺が育てた四年生エスピーを無視して「四年生が誰もいない」と言い張ってきた。ちゃんと見ろ。
結局どうなのか
思ったよりガバガバだったな、というのが正直なところだ。
本国で二回も作り直されたゲームとは言え、現在は韓国のスマホゲーとしては結構な人気を誇っているようだし、ローカライズに際しては「流石、しっかり作ってあるな」と思わされることを予想していたのだが、いざ触ってみると翻訳は相当いい加減だし、仕様面にも怪しい部分が多々ある。
とは言えグラフィックとBGMを中心とした世界観の味わいは素晴らしく、ゲームシステムとしても一つ一つがキャラクターのコミカルな動きを楽しめるものになっていて、深く考えずに遊んでも楽しめるようになっているのは間違いなく良い点だ。
もちもちほっぺに期待して始めたプレイヤーに対して、もちもちほっぺを提供する。それでいいのだ。
ゲーム自体に対して強い不満はない。
思ったよりシステムが複雑なので多少の取っ付きにくさは感じるが、当分は雰囲気でプレイしても進めそうなので 徐々に理解していけばいい範疇だろう。
難解な部分、不安な部分も多少あるとは思うが、少なくとも現状は普通に楽しめそうな感触だ。
そのため、問題となるのはやはり誤訳などの問題に対して どれだけ対応するかの運営面が注目点・不安点だと思う。
いずれにせよ、あとは正式リリースを待つ予定だ。ベータテストのうちに変なバグなどを探してみたい気もあるのだが、あまり遊びすぎても正式リリース後の楽しみの先取りになりかねない。
それにベータテストのデータは正式リリース後には引き継がれないので、今のデータを育てすぎても消えたときの虚無感が大きくなりそうだ。この辺りで退いておくべきだろう。
正式リリースがどの程度先になるのか分からないが、翻訳やテキストの問題がどうなるかに期待と不安を抱きつつ待つことにしよう。


コメント
1>「強すぎて透明に見える」
某漫画に『誰もが目を逸らしたくなるほどに強すぎて、結果的に誰にも認識されない』というよくわからない能力のキャラがいるので、そのパロディ……かもしれません