自民 青年局 石破首相ら執行部に事実上の退陣要求 地方でも

参議院選挙の結果を受けて、自民党の青年局は、党の信頼回復に向け責任の所在を明らかにする必要があるとして、石破総理大臣をはじめ党執行部に事実上の退陣を求める文書をまとめ、森山幹事長に申し入れました。
石破総理大臣は「反省も踏まえ国家を運営していかなければならない」と述べ、引き続き国政を担う決意を強調しました。

石破首相 引き続き国政を担う決意を強調

石破総理大臣は経団連の会合で講演し、先の参議院選挙について「厳しい審判をいただき何が足りなかったのか、どういう訴えが国民の心に響かなかったのか、反省も踏まえ国家を運営していかなければならない」と述べました。

その上で人口減少への対応や首都直下地震への備えなどに緊張感と責任感を持って取り組むとして引き続き国政を担う決意を強調しました。

自民 青年局 石破首相ら執行部に事実上の退陣要求

自民党の若手の国会議員や地方議員らで構成する青年局の中曽根局長らは、25日午後、党本部で森山幹事長と面会し、参議院選挙の結果を受けてまとめた文書を手渡しました。

この中では、参議院選挙は自民党にとって歴史的な敗北であり、2024年の衆議院選挙や6月の東京都議会議員選挙の結果も踏まえ、総裁や執行部は責任を重く認識すべきで、党の信頼回復と体制刷新の出発点として責任の所在を明らかにする必要があるとしています。

そのうえで「けじめを強く求める。選挙結果の総括を速やかに行った上で、みずから責任を取ることを求める」と明記し、事実上の退陣を要求しています。

このあと中曽根氏は記者団に対し「森山幹事長には真摯(しんし)に耳を傾けていただき、われわれの声はしっかり届いていると認識している。自民党は責任をとらない党だと思われており、選挙の検証や総括を行った上で一刻も早く自身の決断で責任をとってほしい」と述べました。

自民 複数の都道府県連 首相辞任や執行部刷新を申し入れ

石破総理大臣が続投の意向を示す中、自民党の複数の都道府県連で、党本部に石破総理大臣の辞任や執行部の刷新を文書で申し入れる動きが出ています。

これまでに
▽茨城、栃木、愛媛、神奈川、北海道、埼玉、奈良、新潟、兵庫の9つの県連と道連が文書で申し入れることを決定し、すでに提出しているところもあります。

また
▽山梨と富山は、若手の地方議員らでつくる県連の下部組織の青年部や青年局が申し入れることを決めています。

一方
▽高知県連は、石破総理の退陣を申し入れることを緊急の役員会で決めましたが、県連会長を務める中谷防衛大臣は「私への報告や了承がなく正式な要求ではない」としています。

各県連「地方の意見として退陣要求」「信頼取り戻す姿勢を」

自民党新潟県連の岩村良一幹事長は記者団に対し「全国で新興政党が台頭する状況は、党本部の運営のあり方や経済対策などの政策が本当に国民に届いたのかというところにあったと考えている。衆参両院の選挙で大敗したので、地方の意見として退陣要求させていただくということを決めた」と述べました。

自民党富山県連青年局の瀬川侑希局長は「参院選の結果だけでなく、去年の衆院選、そして東京都議選からの3連敗だと考えており、青年局内や党員から責任の所在を明らかにしてほしいと声が上がっている。党執行部には地方の意見を取り入れてフルスペックの総裁選を行ってもらいたい」と述べました。申し入れは近く富山県連を通じて、党本部に行われるということです。

自民党岐阜県連の猫田孝会長代行(85)は、岐阜県連では辞任要求などの動きは出ないという見通しを示しました。そして「信頼を取り戻すような党本部の姿勢が求められる。石破総理と森山幹事長がしっかりすることが一番大事で、地道に党員を増やす努力をし、政策を打ち出して、外交もしっかりやることだ。政治空白はあまりつくらない方がいい」と述べました。
猫田氏は、石破総理大臣の進退について「性格的に結構、しぶとい人だから、私は続けると思う」と述べました。

自民党兵庫県連は、石破総理大臣の責任は重いとして、党執行部に対し、『けじめ』として責任を取るよう求める申し入れ書をまとめました。自民党兵庫県連は25日午後、神戸市で会合を開き、党本部に対する申し入れ書をまとめました。この中では「衆議院選挙に続き過半数の確保を果たせなかったことは痛恨の極みだ。石破総理大臣は衆参の選挙で陣頭指揮を執ったが、多くの所属議員を失う結果となった。選挙は結果責任であり、責任は重い」と指摘しています。その上で「石破総理大臣をはじめ党執行部においては、今回の選挙結果を検証した上で責任を明確にし『けじめ』としてみずから責任を取り、党の信頼回復と新体制構築に向けて取り組むよう強く申し入れる」としています。会合のあと県連会長を務める末松信介・元文部科学大臣は記者団に対し、申し入れ書を25日付けで発送するとした上で「『退陣要求』ということばは、直接的には含まれていない。ただし『けじめをつけろ』ということなので、『厳しく自分たちで判断してください』ということだ」と述べました。

麻生派の幹部 都内で会合

自民党で唯一の派閥、麻生派の幹部は午後6時半ごろからおよそ3時間、東京都内の日本料理店で会合を開きました。
会合に出席したのは派閥会長の麻生最高顧問、鈴木総務会長、森英介・元法務大臣、井上信治・政務調査会長代理らです。参議院選挙の結果や、石破総理大臣が続投の意向を示していることを踏まえた、党内情勢などについて意見を交わしたものとみられます。

自民「両院議員総会」開催要求に必要な3分の1超の賛同

自民党の正式な意思決定機関である「両院議員総会」を開いて、参議院選挙で敗北した責任を問うことを求めている、旧茂木派の笹川 農林水産副大臣は、25日夕方、総会の開催の要求に必要な3分の1以上の国会議員の賛同が得られたことを明らかにしました。

加藤財務相 麻生最高顧問と会談

2024年の自民党総裁選挙に立候補した加藤財務大臣は、25日午後、麻生最高顧問の議員会館の事務所を訪ね、およそ40分、会談しました。この中では、23日に開かれた石破総理大臣と麻生氏ら3人の総理大臣経験者との会談や党内情勢をめぐり意見を交わしたということです。

萩生田・元政務調査会長 “出処進退は自分で”

自民党旧安倍派の有力議員だった萩生田・元政務調査会長は、25日、自身のブログを更新しました。
「出処進退」というタイトルで、参議院選挙について「目標の50議席を下回る47議席の惨敗となり、参議院でも少数与党という結党以来の深刻な事態だ」と指摘しています。その上で「驚くことに石破総理は、開票の途中で続投を宣言した。
来週月曜日には両院議員懇談会が開かれるが、執行部の対応次第では議決権のある両院議員総会の開催を求め、必要な署名集めも並行して進んでいる。
今日の衰退は総理1人の責任ではなく、私も反省すべき点があることは否めないが、政治家の出処進退は自分で決める。私たちが先輩から受け継いだ自民党のきょうじと伝統は総理も共有していると信じている」としています。

自民 鈴木宗男氏「堂々と選挙でけりをつけたほうがいい」

自民党の元議員、鈴木宗男氏は記者団に対し「石破総理大臣や党執行部の責任を問う前に『裏金問題』のけじめをしっかりつけなければ党の再生はない。数千万円をもらっておいて何の罰も受けていないことに国民は怒っていた。裏金をもらった議員が何もなかったように執行部を批判しているが、こういうのを許せば党が持たない」と述べました。

また、党の青年局が事実上の退陣要求をしたことについて「冷静になるべきだ。徒党を組んで強い声を発信すれば、正義だという流れはいいことではない。こういうときこそ歯を食いしばって自民党を立て直すためにはどうすればいいかという議論が大事であり、権力闘争的な流れをつくるのは決していいことではない」と述べました。

さらに「野党は内閣不信任決議案を出すべきだ。石破総理大臣は衆議院を解散し、国民の信を問い、堂々と選挙でけりをつけたほうがいい」と述べました。

公明 斉藤代表「自民として石破首相支える体制必要」

公明党の斉藤代表は記者団に対し「ほかの党のことなのでコメントを控えたいが、自民党として、しっかりと石破総理大臣を支えていく体制が、国としてアメリカとの関税交渉を力強く進めていく上で必要ではないか」と述べました。

立民 岸真紀子氏「進退は石破首相が決めること」

立憲民主党の現職、岸真紀子氏は「進退は石破総理大臣が決めることだ。何よりも安定した社会を作っていくことが大事で、私たちも是々非々で政権と戦っていきたい」と述べました。

国民 礒崎哲史氏「民意が示されたこと踏まえ判断 必要」

国民民主党の現職、礒崎哲史氏は「続投に関しては石破総理大臣が考えることだが、大きな選挙で、これだけ立て続けに結果が出せなかったことは、民意が示されたということだ。そうした面を踏まえた上で判断することが必要だ」と述べました。

参政 梅村みずほ氏「国民が非常に不満持っているのでは」

参政党の現職、梅村みずほ氏は「野党のみならず、政権・与党内でも様々な意見があるものと思う。進退について私が何か言える立場ではないが、選挙の結果をもってしても、今の政権の政治に対して国民が非常に不満を持っているのではないか、ということは言えると思う」と述べました。

「#石破辞めるな」投稿増える 「#石破辞めろ」も

SNSでは参議院選挙が行われた7月20日から、「石破やめるな」などといったハッシュタグをつけた投稿が出始めました。

NHKが分析ツール「Brandwatch」でXの投稿を調べたところ、投稿は23日、一部の報道機関が「石破首相退陣へ」と報道したあとに急増し、25日午後1時の時点で「#石破辞めるな」か「#石破やめるな」というハッシュタグがつけられた投稿は、リポストを含めてあわせて24万5000件を超えています。

このうち、れいわ新選組の山本代表が参議院選挙翌日の7月21日の記者会見で、「石破総理でしばらくつなぐということは安全策ではあるかなと思う」と述べた発言を引用した投稿がおよそ240万回閲覧されているほか、「責任を石破氏1人に押しつけるな」といった内容の投稿は50万回以上閲覧されていました。

さらに総理大臣官邸前で「石破辞めるな」とするデモへの参加を呼びかける投稿もあり、中には150万回以上閲覧されているものもありました。

一方で、「#石破辞めろ」か「#石破やめろ」というハッシュタグがつけられた投稿も、投開票日以降、増えていて、リポストを含めてあわせておよそ1万5000件でした。

《24日の石破首相の辞任求める動き》

石破総理大臣は24日、関税措置をめぐる日米交渉で合意し帰国した赤澤経済再生担当大臣から報告を受けたあと「私とトランプ大統領との間で合意を確実に実施することが重要だ。国内の関連産業で働く人たちの不安を払拭(ふっしょく)するよう引き続き全力を尽くしたい」と述べ、続投の意向を重ねて示しました。

自民党執行部は、来週28日に両院議員懇談会を開催して党所属の国会議員らから意見を聴くとともに、来月中に選挙の総括を行うことにしています。

これに対し党内では、党の正式な意思決定機関で責任を問うべきだとして懇談会ではなく「両院議員総会」の開催を求める動きが広がっています。

総会の開催には国会議員の3分の1以上の要求が必要で、旧茂木派の議員が始めた署名集めには、24日から旧安倍派や旧二階派、それに麻生派の中堅・若手議員らも参加しています。

こうした議員の間では、総会の開催要求をきっかけに、国会議員と各都道府県連代表の過半数の賛同が必要な総裁選挙の前倒しにつなげたいという声も出ています。

ただ党内では、来月は戦後80年の終戦の日を控えるほか、横浜で国際会議が開かれることから「政治の混乱を招く動きに加わることはできない」と署名に慎重な議員もいて、賛同する議員の規模が焦点です。

一方、去年の総裁選挙で石破総理大臣と争った、高市・前経済安全保障担当大臣は23日に麻生最高顧問と会談したのに続き、24日は旧安倍派幹部だった西村・元経済産業大臣と会談しました。

また今週に入り、林官房長官が所属していた旧岸田派の議員と会合を開いたほか、小林・元経済安全保障担当大臣もみずからに近い議員と意見交換を行うなど、今後の政局をにらんだ動きが活発になっています。

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