「コロナよりも人間のほうが怖くなりました」病院に手紙を送ってきたり、悪い口コミを書く人も…

――メディアやSNSが、ギリギリのところで身を守る壁になっていたところも。

 むしろメディアがあってよかったと思ってます。もちろん玉石混交ではあるけど、NHKさんを中心に頑張って取材して、正しい情報を発信してくれたので。

 これが100年前だったら、僕は反ワクチンを掲げる人たちから私刑を受けていたんじゃないかな。病院も焼かれてたんじゃないかなと思いますよ。

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――病院に凸してくる人などは。

 リアルで病院にまで来てしまうと、本当に警察に捕まりますからね。そのあたりを理解しているのか、乗り込んでくるような人はいなかったです。でも、病院に手紙を送ってきたり、悪い口コミを流されたりはしましたね。

 この埼玉医大のSNSやグーグルマップに「岡を懲戒処分しろ」「岡はとんでもないことを言う医者だ」などと書き込まれました。

 なんだか、コロナよりも人間のほうが怖くなりました。不安に駆られた人間の心理や行動が、一番怖かった。

 

家族旅行の写真を拡散され大炎上

――誹謗中傷をするアカウントを訴えるきっかけになった出来事はあったのですか?

 それまでは、私個人への揶揄や挑発、中傷があっても、あえて見ないようにしたり、ブロックしたりして耐えていました。しんどかったですけど、現場も忙しかったし、コロナ禍によって生じる社会的なストレスの一部だと割り切ろうとしていました。でもある時、家族の写真が拡散されたんです。

――拡散はどういうふうに。

 コロナ禍になってからずっと休みを取っていなかったので、子どもたちの春休みに合わせて海外旅行に行ったんですよ。2023年5月から5類に移行することが決まっていて、医療現場も落ち着いていた時期でした。その旅行中に撮った家族写真を、プライベートで使っていたインスタグラムに投稿したんです。

――それを流された。

 妻と一緒に写っている写真です。インスタを見た人がそれを見て、無断で写真をXに転載したんです。転載された直後に、私がコロナに感染してしまった。すると、「海外旅行でマスクも着けずに遊んでいたからだ」「国民に自粛を強いておきながら、自分はセレブ旅行か」と、ものすごい勢いで炎上したんです。