「ひやおろし」と「秋あがり」の違いとは?|季節の楽しみ「ひやおろし」を知る【日本酒のススメ】
「ひやおろし」は常温保存していいの?
歴史的に見ると、「ひやおろし」は冷蔵技術がなかった時代に、比較的温度の低い土蔵で保存されていた“囲い物”でした。そのため、本来は当時の蔵内の冷涼環境で保存・管理されていたお酒なのです。 しかし、現代の「ひやおろし」事情は少し複雑です。酒蔵の冷蔵設備が充実した結果、一夏を冷蔵庫内で過ごした「ひやおろし」も増えています。こうしたお酒は、伝統的な熟成感よりも、むしろフレッシュで華やかな味わいを特徴として持つことがあります。 また、現在では生酒のフレッシュさや、フルーティーな香りを特徴とする「秋あがり」「ひやおろし」も造られています。これらのお酒は、品質を保つために冷蔵保存が必要です。購入時のポイントとしては、ラベルをよく確認してみてください。「生酒」「要冷蔵」といった表示があれば、必ず冷蔵庫で保存しましょう。 わからない場合は、購入時に保存方法を確認するのが確実です。せっかくの美味しいお酒も、保存方法を間違えると味が損なわれてしまいます。適切に管理して、最高の状態で楽しみましょう。
「ひやおろし」日本酒のおすすめ銘柄
現代の「ひやおろし」は実に多様で、フレッシュなものから伝統的な熟成タイプまで、様々な味わいが楽しめます。初心者の方には、まず秋の食材と合わせて楽しむことをおすすめします。 秋は、脂の乗った秋刀魚、香り豊かなきのこ、ホクホクの栗など、豊かな食材に恵まれる季節です。これらの食材には、ある程度熟成感のある「ひやおろし」がよく合います。 具体的なおすすめとしては、石川県の「天狗舞 山廃純米 ひやおろし」があります。このお酒は、伝統的な「ひやおろし」らしい熟成感を持ちながら、酸やアルコール度数によるキレもあり、バランスの取れた味わいで初心者にも親しみやすい一本です。 あるいは、酒販店や百貨店の日本酒売り場で「熟成感のあるひやおろしを探している」と伝えてみてください。専門家のアドバイスを受けながら選ぶことで、自分好みの一本に出合える確率が高まります。 また、上級者向けになりますが、ある酒販店では1年以上寝かせた古酒タイプ、低温熟成タイプのひやおろしを「超ひやおろし」として扱っています。より深い熟成の味わいを楽しみたい方は、こうした特別な「ひやおろし」を探してみるのも面白いでしょう。