海外で18歳未満女性とのわいせつ行為を撮影の疑い 2人逮捕

東南アジアのラオスやミャンマーで、現地の18歳未満の女性とわいせつな行為をする動画を撮影したなどとして、名古屋と大阪の容疑者2人が警察に逮捕されました。
外務省によりますと、SNS上では日本人によるラオスでの児童買春を示唆する投稿が確認されていて、現地の大使館が処罰の対象になるとして注意を呼びかけています。

逮捕されたのは、名古屋市中川区の無職、宇治和彦容疑者(65)と大阪・北区の歯科医師、白井喜宏容疑者(60)です。

警察によりますと、宇治容疑者はことし3月ごろ、ラオス国内のホテルで、白井容疑者は去年10月ごろ、ミャンマー国内で、それぞれ現地の18歳未満の女性とわいせつな行為をする動画を撮影したなどとして、児童ポルノ禁止法違反などの疑いが持たれています。

警察によりますと2人は金を払って女性と知り合ったとみられ、スマートフォンの解析などから海外での児童売春について情報交換していた疑いがあるということです。

警察が2人の自宅などから押収したハードディスクなどの記録媒体には、宇治容疑者が1000点以上、白井容疑者が1万点以上のわいせつな動画や画像を保存しているのが見つかったということです。

警察の調べに対し、宇治容疑者は黙秘し、白井容疑者は18歳未満とは知らなかったなどと容疑の一部を否認しているということです。

外務省によりますと、SNS上では日本人によるラオスでの児童買春を示唆する投稿が確認されていて、ことし6月、現地の大使館が処罰の対象になるとして注意を呼びかけています。

【ラオスの日本大使館が注意喚起】
ラオスの日本大使館はSNS上で、日本人による児童買春を示唆する投稿が確認されているとして、ことし6月、ホームページに注意喚起の文書を掲載しました。

それによりますと、ラオスの国内法では18歳未満の児童に限らず、買春行為自体が処罰の対象になっているほか、児童買春や児童ポルノ禁止法には「国外犯」の規定があり、日本の警察も現地の捜査機関と連携して積極的に事件化に努めているとしています。

そして、両国の法令を順守し、違法行為を厳に慎むよう呼びかけています。

【警察が押収品を公開】
警察は容疑者の自宅などで見つかった押収品を公開しました。

宇治容疑者は、女性とのわいせつな行為をラオス国内のホテルで盗撮した疑いがもたれていて、ティッシュ箱の中に隠す小型カメラや、文字盤のところに数ミリほどのレンズがついている腕時計型のカメラなどが押収されたということです。

また現地での買春行為を10年以上前から記録し続けていたとみられるノートが10冊以上押収されたほか、「12才」といった年齢や名前、日時、金額などが書かれたメモとともに、下着が袋に入れられ大量に保管されていたということです。

また、白井容疑者の自宅などからは、ハードディスクなどの記録媒体やデジタルカメラが大量に押収されたということです。

【“現地と日本の警察が連携し摘発を”】
国内外の子どもたちを性被害から守る活動をしているNPO法人の代表理事の甲斐田万智子さんは、東南アジアでの児童買春をめぐる状況について「1990年代はカンボジアやタイなどがひどかったが、こうした国の法的執行力が高まったことで、東南アジアの周囲の国に流れていったと考えられる。ラオスやミャンマーは、国連機関などの目が届かず、情報も入りにくい。現地と日本の警察がもっと連携し、加害者を摘発していくことが必要だ」と話しています。

その上で、「国際社会では子どもへの性暴力を絶対許してはならないという風潮があるが、日本ではあまりにも軽く受け止められている」と指摘し、日本社会の認識の甘さが今回の事件の背景にあるとしています。

さらに、逮捕された容疑者2人が海外での児童買春の情報交換を行っていたことについては、「『どれだけいい児童ポルノを撮れるか』といった仲間意識が罪悪感を薄めているのではないか」と述べました。

東海のニュース