結果的に、思想や学問の自由を守ることに
米国のシンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の報告によれば、複数の大学や研究機関が、中国共産党系組織から巨額の資金提供を受けているという。ハーバード大学も例外ではなく、同大学化学生物学科のチャールズ・リーバー教授は、中国政府が優秀な海外研究者を組織的に勧誘する「千人計画」に関与し、多額の資金提供を受けていた。これに関連し、虚偽申告や脱税など6件の罪に問われ、2021年には有罪判決を受けている。
また、米下院で中国問題を扱う超党派特別委員会(Select Committee on the Chinese Communist Party)は、アメリカが制裁対象としている中国の準軍事組織「新疆生産建設兵団(XPCC)」とハーバード大学が、米国国防総省の研究資金を用いて共同研究を行っていた事実を指摘している。
あるいは、中国共産党による人材育成プログラムの一環として、ハーバード大学を含む米国内の大学に派遣された研修生が、帰国後に中国国内で要職に就く事例が数多く確認されている。こうした動きは、機密情報や先端技術の流出を招くとともに、「軍民融合」を掲げる中国政府による軍事力強化へつながる深刻なリスクをはらんでいる。
トランプ政権が強硬策に転じたのは、単なる反中感情や偏向的なユダヤ主義によるものだけではない。その背後には、こうした具体的な経緯と懸念が存在していたのである。
思想や学問の自由を守るためには、政治的背景を慎重に見極め、ときに受け入れに制限を加えることが、社会秩序の維持に資する──。そのような現実主義的な判断であったとの側面もあるだろう。
だれもかれも無制限に受け入れる問題点
翻って日本を見れば、その姿勢はあまりにも無防備と言わざるを得ない。実際、先述の「千人計画」には、少なくとも40人を超える日本人研究者が関与していたことを、読売新聞などが2021年に報じている。
留学生の受け入れそのものが問題なのではない。問題は、彼らの思想的背景や教育環境に目を向けることなく、「友好」や「相互理解」といった空疎な美辞に酔いながら、無制限に受け入れを続けている現状にある。その姿勢は、政治・社会・学問・文化のあらゆる領域において、日本の根幹を揺るがす深刻な時代を招くだろう。
中国からの留学生の背後には、「日本に学ぶ」から「日本を打倒する」、さらには「日本を塗り替える」へと至る、100年を超える思想的連続性が存在する。この歴史的文脈を冷静に見極めたうえで、日本は今こそ留学生政策を根本から問い直すべきであろう。