自分のPCでExcelファイルを開いてないのに自分が開いていることになる不具合の対処法と原因の解説

 

Excelの「使用者は~です」という機能について

Excelファイルを開くとき、「使用者は~です。」と表示されることがありますよね?
例えば下図の例です。
(※分かりやすくするため、別のPC(別のユーザー)の色を黒色にしていています。)

 


普段はとても便利ですが、たまにこういうことがあります。


・自分のPCはExcelを1つも起動していないのに、ある特定のExcelファイルを開くと自分が開いていると表示される

・別の人が開いているにも関わらず、常に自分のPCが開いていることにされている

 

こういう時、自分は開いていないにも関わらず
「このファイルはいつもこの人が開きっぱなしにしていて編集できないな・・・」
って思われてしまいます。
自分は本当に開いていないのに犯人扱いされてしまうのは困りますよね。
ちなみに本当に誰も開いてない場合は特に何も表示されず開けてしまうので、不具合が発生しているファイルがわかりづらいのが、この不具合の特徴です。

この現象が発生する原因と対処法を書いていきたいと思います。

 

表示される名前について

本題に入る前に、表示されている名前がどこで設定されているのか紹介します。

ファイル→オプション→全般→「Microsoft Officeのユーザー設定」の「ユーザー名」で設定できます。


不具合の再現方法について

不具合の再現方法です。

よくある月ごとのフォルダを作成します。今回は1月から4月とします。
4月の中にはExcelファイルが入っています。
来月が5月なのでフォルダ毎コピーして5月分を作成します。
この時、「4月内にあるExcelファイルを開いた状態」で4月フォルダをコピーして5月フォルダを作成したとします。

実はこの時点で不具合が発生しています。試してみましょう。
「test」ユーザーでExcelファイルを開き、後から自分のユーザーで同じファイルを開きます。
(分かりやすくするため、「test」ユーザーは黒色にしています)

すると、本来は先に開いているユーザーの「test」が表示されずに、自分のユーザーである「いおり」と表示されてしまいます。
ちなみに、今回2つのユーザー(PC)で試しているので自分が開いたときに自分のユーザー名が表示されていますが、もう一つユーザー(PC)を追加した場合、自分のPCがExcelを全く起動していないにも関わらず、関係ない2つのユーザー(PC)でExcelで開くと後から開いた方は「いおり」が開いていると表示されます。
これでExcelファイルを開いていないにも関わらずExcelファイルを開きっぱなしにしている犯人とされてしまう冤罪が生まれるわけです。

不具合の直し方

これの直し方を説明します。

フォルダの「・・・」を選択して「オプション」を選択、
「保護されたオペレーティングシステムファイルを表示しない」のチェックをはずします。

「保護されているオペレーティング システム~」のダイアログがでるので「はい」を選択して、OKを押します。

隠しファイルを表示すると「~$」で始まるExcelファイルと同名のシステムファイルが表示されるようになります。このファイルはExcelファイルを開いているときに自動で生成され、最初に開いたユーザー名の情報を保存されています。このファイルを参照することで別のユーザー(PC)でも、だれが開いているのかわかるようになっています。

この「~$」から始まるシステムファイルは、通常はExcelファイルを閉じたら自動で削除されます。ところが、Excelファイルを開きながらフォルダ毎コピーした場合は、Excelのシステムによって作成されたファイルではないため、自動で削除されなくなりなり、常に残り続けます。これは本体のExcelファイルを開いて閉じ直しても消えません。
これが不具合の原因です。



その為、Excelファイルを開いているときに次の月のフォルダを作成してしまった場合は、手動で「~$」で始まるシステムファイルを削除する必要があります。ただ、誰かが本当に本体のExcelファイルを開いているときは削除できないので、その時は、閉じられるまで待つか、開いている人を特定して閉じてもらいましょう。

不具合で開いている人がわからず閉じてもらうことができない場合は、
共有フォルダを作成しているPC(あるいはサーバー)の管理者に声をかけて、共有フォルダのPC(サーバー)上で次のコマンドを管理者権限で実行してください。

openfiles /query /s localhost |find /I “ファイル名”

これで開いているユーザーを特定することができます。

 

おさらい

不具合が発生する手順をもう一度おさらいしましょう

4月のフォルダ内にあるExcelファイルを自分のユーザー(PC)で開いた状態で、「4月」のフォルダをコピーして「5月」のフォルダを作成します。すると「~$」から始まるシステムファイルごとコピーされ、その中身は現在Excelを開いているPCの情報が格納されています。

その状態で、別のユーザー(PC)で開いた場合、本来は「~$」で始まるシステムファイルにはそのユーザーがの情報を書き込まれるはずですが、削除されてるはずのシステムが削除されていないため、自分のユーザー名が常に残されている状態になり、自分のユーザー名が表示されてしまいます。

 

再発防止策について(2025年8月30日追記)

再発防止策ですが、フォルダをコピーするときにエクセルファイルが開かれているかなんて確認するの大変ですし、わざわざシステムファイルを表示して確認するのも面倒です。

一番現実的なのはエクセルファイルが入ったフォルダはフォルダ毎コピーしないようなルールにする。
新しいフォルダを作る時は先に空のフォルダを新規作成したあと、中身のファイルをまとめてコピーする(但しシステムファイルは非表示の状態でコピーする)のが一番の対策だと思います。