就職難の腹いせ?韓国で20~30代の爆破予告が増加 日本の弁護士名乗る内容や国際ファクス利用…捜査難航
【ソウル竹次稔】韓国でデパートや学校、コンサート会場などに対する爆破予告がネット上などで増え、社会問題化している。予告は虚偽でも、警察や消防の出動は欠かせず、他の緊急業務に影響が出るケースも。経済的損失は大きく、政府は今年「公衆脅迫罪」を新設した。摘発されたのは20~30代が比較的多く「就職難などの腹いせが要因」との分析もある。 【写真】1974年に釜山で撮影されたホームレスの男性の写真 8月5日、ソウル中心部にある新世界百貨店に爆発物を置いたとの爆破予告がネット上に書き込まれた。現地紙の東亜日報などによると、警官100人余が捜索などに投入され、消防車37台と消防隊員139人が出動。営業を一時停止して客ら約4千人が避難し、6億ウォン(約6300万円)の損害が出た。この投稿は後に、中学生によるいたずらと判明した。 韓国警察庁によると、「爆発物・テロ」などの虚偽の通報による出動件数は2022年4235件、23年5155件、24年5432件と増加傾向にある。今年は7月末までで約3千件に上っている。 多くはソウルの広場や学校に爆弾を設置したなどの内容で、ネットに書き込まれたり対象施設にファクスで送られてきたりする。日本の弁護士を名乗る人物による日本語での爆破予告のファクスもあり、これは23年から既に40件以上。国際ファクスなどを利用しており、捜査は難航している。 爆破予告が増加傾向にあることを重く見た政府は3月に「公衆脅迫罪」を新設。被害発生の有無にかかわらず、5年以下の懲役または2千万ウォン以下の罰金を科すよう規定した。 朝鮮日報によると、同容疑で最近摘発された47人のうち24人が20~30代だった。同紙にコメントした専門家は「若年層に積もった社会的な怒りや不満が、屈折した形で現れている」などと分析している。
西日本新聞
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