「トルコではなかった差別が、日本ではあった」 難民申請中の「クルド人男性」が「12歳少女に性的暴行」で実刑判決 記者に明かした“生い立ちと家族”

国内 社会

漢字が読めない

 ――拘置所では毎日何をして過ごしているのか。

「やることない。ただ一日中ずっと椅子に座ってるだけ。本も読めないし」

 ――本はなぜ読めないのか。

「漢字が読めないから。本当にやることない。ご飯はまあまあだけど、部屋にゴキブリが出る」

 ――漢字が読めないと日本で生活するには不便だ。勉強しようと思ったことはないのか。

「今は奥さんが差し入れてくれた漢字の本があります」

 ――クルド人の家族とは何を話すのか。

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「判決が出た後は、お母さんが“(懲役)8年は長過ぎる”とか。“元気?”とか、“頑張ってね”とか。お母さんは日本語ができないから、日本語がわかる10歳の妹も一緒に来る」

 ――家族はどういう在留資格か。

「妹は日本で生まれて、妹の親というのでお母さんだけ家族ビザの在留資格がある。お父さんは会社の名義でビザがある」

どうにかならないかなとか考えてる

 ――通常、実刑判決が下ったら、服役後に強制送還される。トルコに親族はいるのか。

「おばあちゃんがいる。お兄さんは日本にいたけど、難民申請何回かしてダメで、トルコに強制送還されたから、お兄ちゃんも(トルコにいる)」

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 ――クルド人を理由に差別されたと思ったことは?

「日本ではあります。SNSとかに色々悪く書かれてる」

 ――トルコにいたとき、差別されたと感じたことはあったのか。

「ないです。(差別を)されてない」

 ――トルコにいたとき、生活上の不便や苦労を感じたことはあるか。

「ないです」

 ちなみに、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の難民の定義は、「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するという理由で、自国にいると迫害を受ける恐れがある」人々である。

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 ――10歳のころ、日本に行くと聞いたときはどう思ったか。

「特に何も。不安もなかったし、うれしいとも思わなかった」

 ――父親はなぜ日本に?

「わからない」

 ――前の事件でメンタルに不調を来して病院に通ったと話していたが、精神状態は落ち着いて見える。

「ここでも薬を飲んでるから」

 ――どういう精神状態なのか。

「不安になることはあるけど、薬を飲むと落ち着く」

 ――日々何を考え過ごしているのか。

「椅子に座って、今は“どうなるのかな”とか、“どうにかならないかな”とか、“示談に応じてくれないかな”とかずっと考えてる」

 【前編】では、ハスギュル被告の判決への不満や、被害者に対する感情などを詳報している。

デイリー新潮編集部

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