2025-08-30

仕事で疲れ切った夜。飲み会に参加させられてたらふく酒を飲んで帰った夜。

押し入れから猿の玩具を取り出す。

両手にシンバルを抱えた、昔ながらの玩具

ベッドに置いてスイッチを入れる。

パンパンパン

喧しい金属音が部屋に反響する。

俺はそれを見下ろしながら、心の中で呟く。

──その猿は俺だ。

パンパンパン

規則正しい、意味のないリズム意味のないリズム

「それがお前のやりたい仕事なのか!!?

気づけば声に出して、俺は怒鳴ってた。

猿は答えない。ただシンバルを叩き続ける。

パンパンパン

「そ、れ、が!!!!おまえの、やりたい仕事なのか!!?

怒鳴るように何度も詰問する。

猿は答えない。猿はただ繰り返す。

声と音が互いにぶつかり、苛つき、同じ場所にただ立ち尽くす。

やがて俺の喉が枯れる。

声が出なくなる。

その瞬間、不思議と猿もシンバルを叩くのを止めたように見えた。

沈黙

金属音の残響けが部屋に漂う。

椅子に沈むように座り、頭を抱えた。

ほんの僅かだけれど、少しだけ生まれ変わったような気がした。

俺は疲れているのかもしれない。

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