神戸 女性殺害事件 別女性も容疑者とみられる人物から尾行
神戸市のマンションで24歳の女性が殺害された事件で、事件3日前に、別の女性が容疑者とみられる人物に市内であとをつけられていたことが捜査関係者への取材で分かりました。
この人物は、オートロックのドアが開いているうちにすり抜けてマンションに侵入したということで、警察は容疑者が関わったとみて調べるとともに複数の女性を対象としていた可能性があるとみて調べています。
東京・新宿区の会社員、谷本将志容疑者(35)は、今月(8月)20日、神戸市内のマンションのエレベーターの中で24歳の会社員の女性をナイフで刺して殺害した疑いが持たれています。
容疑者は事件3日前の今月17日に神戸市に入りホテルに宿泊していましたが、その後の捜査関係者への取材でこのホテル付近で、殺害された女性とは別の女性が容疑者とみられる人物にあとをつけられていたことが分かりました。
この人物はマンションのオートロックのドアが開いているうちにすり抜けて侵入しましたが、女性が気づいてエレベーターに乗らずにいなくなるまで待ったということです。
その後、女性から情報提供があったということで警察は容疑者が関わったとみて調べています。
さらに、容疑者とみられる人物が、事件の2日前の今月18日にも亡くなった女性の勤務先付近の防犯カメラに写っていたことも分かりました。
警察は容疑者が複数の女性を対象としていた可能性があるとみて詳しく調べています。
【面識ないストーカー 「防御は困難」】
今回の事件では、容疑者は被害者の女性について「全く知らない人です」と供述しこれまでのところ、2人の具体的な接点は確認されていません。
また、女性からは警察への相談の履歴もないということです。
女性が、認識できない間に容疑者によるつきまといが行われ事件に至った可能性が出ていて、ストーカー問題に取り組むNPO「ヒューマニティ」の理事、小早川明子さんは、こうした見知らぬ人を一方的にターゲットにしたストーカーはSNSの浸透などを背景に増加傾向にあると指摘しています。
そのうえで、小早川さんは「加害者の性的欲求が根底にあり一方的にターゲットを見つけ、狙うため、被害者は狙われていることにすら気づかないことが多く被害者の側から防ぐのは非常に難しい」としています。
そのうえで、「被害にあわないために、日常生活のなかで遅い時間帯は1人で外を出歩かないなど最低限の自衛は有効だがそれにも限界がある。被害自体をなくすためには加害者の過度な性的欲求や衝動を抑えるような治療プログラムが必要で、例えば裁判所が治療を命じるなど司法と医療が連携して検討する必要がある」と指摘しています。
【ストーカー被害の相談 「面識なし」も】
警察庁によりますと去年(2024年)、全国の警察に寄せられたストーカー被害の相談や通報は1万9567件で、前の年と比べてわずかに減少したものの、依然として多くなっています。
このなかで被害者と加害者の関係の内訳を見ると、▽「交際相手や元交際相手」がもっとも多く全体の37.1%。
次いで▽「知人や友人」が13.4%、▽「勤務先の同僚や職場関係」が12.6%となっています。
一方、▽「面識なし」も8.8%となっています。
警察庁は不安に感じることがあればささいなことだと思わず、警察や専門機関にすぐに相談するよう呼びかけています。