小説『ロリータ』の原文版を読んでます。四谷くんと。

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ドキッとする表紙

四谷くんが「『ロリータ』原文版を一緒に読みたい」と言うので、
週に一度、一章ずつ(5~7ページ)読んで感想をいいあう読書会をはじめました。


めちゃくちゃ面白いです。

おもしろさ①笑わせる技術がすさまじい
『ロリータ』は、ロリコンの語源になった作品で、
少女を性的に愛してしまうハンバート・ハンバートが主人公です。

スキャンダラスな内容なので、生理的に受け付けない人もいるかと思いますが、
扇情的・性的なだけの小説では全然ありません。


なんていうか、笑わせる技術がすさまじいのです。


ハンバート・ハンバートは、別に誰かを笑わせようとふざけたりすることはないのですが、あふれる人間の哀愁、背徳的な話をするときの奇矯なテンション、作者のナボコフのこのコントロールがうますぎて、ずっと「これ笑ってええんかわからんけど笑ってまう」の連続なのです。

小説で、しかもハンバート・ハンバートの手記という掲載なので、こっそりこの人間味を楽しめるのがいいすね・・・

『ロリータ』翻訳版の新潮文庫に、「ときに爆笑、ときに感涙。」という帯がかかってたことがありますが、かなり共感です。


四谷くんと私のお気に入りシーンは、

博識なハンバート・ハンバートが、古今東西の少女性愛の例をいくつも披露していき、
「わたしが興奮しているように見えるかもしれないが、大丈夫、わたしが今この知識をつぎつぎ繰り出しているのは tiddle wink (おはじきをおはじきで上にはじいてカップに入れる遊び)をやっているようなものだから」と余裕&落ち着きを演出するものの、

どんどん興奮してきて、

My little cup brims with tiddles.
(わ、わたしの小さいカップがティドルであふれそうだよ!)

と言うところです。やばくなっちゃう人の演出うますぎです。このフレーズ、日常生活で使いたいです(私もよくMy little cupが tiddlesであふれそうになるので)。


おもしろさ②英語がむずい
むずかしすぎる英語も、おもしろさに一役買ってるように思います。

聞いたことも見たこともない英単語が一行に2,3個でてくるし、
「性交」のパラフレーズが大量にあるし、
一文がめちゃくちゃ長くて、挿入句だらけです。
わかりにくい使い方の「of」「that」がたくさん出てきます。

でも、そのわかりにくさがいいというか、
日本語だとサラッと読めてしまい、「こいつはこんな感じね」と読む速度と同じ速さでハンバート・ハンバートを把握した気になってしまうのですが、難解な英語だと、理解するのにとっても時間がかかり、やっとわかったとき「こいつ、こんなこと書いてたんや・・・!」と衝撃が倍になる気がします。


読み解いて、「こいつ、公園でこんなやばいことなってたんかい・・・みんな逃げて!」となることもあれば、「こいつ、こんな切ない想いしてたんや・・・」となることもあり、読み味が違うのもいいですね。

『ロリータ』は特に「ちょっと前の異国の人の話」という距離が大事な気がしていて、毎日見ている日本語だと、どうしても日本がちらついて、ハンバート・ハンバートの行為に対して、「みんな逃げて!」が強くなっちゃうと思います。さらに、しっかり距離があるからこそ、「ベースが違う」という前提が生まれ、共感できるところはしっかり共感できます。

無理をしてでも原文で読みはじめてよかったなと思います。

(ただ、英語が難しすぎてぜんぜん読み進められません。)


いつ読み終わるかまったくわかりませんが、読み終えたらしっかり感想書きたいです。