転職時に「前職を副業にする」事で、二段階で収入をアップさせた成功法
「転職」と「副業」は、現代の会社員のキャリアアップを語るにおいて欠かせない二大テーマです。自らの収入のボリュームを増やそうと思った場合、終身雇用的な世界観の出世よりかは、「転職」「副業」二つのどちらかに注力しようと考えるパターンが多いのではないでしょうか。
実際のところ転職も副業も、収入を増やす方法としては効果的です。書店に立ち寄ると、これらの人気テーマの本は必ず目立つ位置に積まれて目に入ってくるのが当たり前の時代となりました。
一見無関係なこれら二つのキーワードですが、実はこれら二つを同時に掛け合わせて一挙両得するのが非常に効果的だという事を、自分の経験や周りの友人の体験談を聞いている中で感じるようになりました。
今回は「転職」と「副業の獲得」を一石二鳥で行う方法と、そのメリット・デメリット、そして具体的にどのような下準備でそのような形に持っていったかの実例を私個人の実体験から紹介していきます。
転職+副業で二段階の収入アップを同時に得る
一般的に、会社員が「転職する」というのは同時に「前職と決別する」という意味合いが強い方が多いのではないでしょうか。
特に長く勤めた会社の場合、その職場との関係性を切り離すだけでも抵抗を感じる方は少なくはないと思います。実際私も昨年新卒から7年以上勤めた会社を退職したばかりで、転職には心理的な抵抗がありました。
そんな抵抗を乗り越えるために考えたのが、退職時に前職とビジネスパートナー的な関係を構築し、副業先として関わり続けるという退職方法です。
私は2017年に新卒入社したIT企業にてインハウスのUI/UXデザイナーとして働いてきましたが、2024年の転職の際に業務委託契約を結び、転職後も社外からデザイン監修という形で関わり続けています。
これによって収入の主軸となる本業のキャリアアップだけでなく、前職を副業化して重ねる事で収入源を多層化し、転職+副業で二段階の収入アップを図る事ができました。
私の周りにも類似の方法で収入源を上手く多層化してキャリアアップに繋げられた例がいくつかあり、条件が揃った転職であれば再現性も高くおすすめできる方法です。
もちろんメリット・デメリットがある方法ではあるので、続いてそれらを整理していきます。
前職を副業化するメリット
改めて前職を副業化するメリットを実体験から振り返ると、大きく分けて以下の3つがありました。
プロダクトを育て続けられる
人間関係を保つ事ができる
双方のコストが低い
一つ目は、自分が前職で取り組んできたプロダクトを放り出さずに育て続けられるという事です。これは特に自分の好きな分野で仕事をしている方には金銭的な側面以外の最大のメリットかもしれません。
私は2017年に新卒で一人目のUI/UXデザイナーとして入社して以来、自社製品を育て続けてきました。そのためプロダクトに対して我が子のように思っている部分があり、途中で育児放棄するような形で離れるのは本意ではありませんでした。
そのため転職後も自分の育ててきたプロダクトの行く末にある程度の影響力を持ち続ける事ができ、不本意な形で道を踏み外さないよう関わり続けられるというのは心理的に幸福度の高い転職方法だったと言えます。
二つ目は、人間関係です。今まで勤めた会社を辞めるというのは、どうしても今までの仕事で築き上げてきた関係を断ち切る事になり、多かれ少なかれ後ろめたい気持ちを感じる事になりがちです。
副業として今まで一緒に仕事してきた同僚の職場を支え続けられるという立場での転職方法は、人間関係的なネガティブな感情を最小化してくれます。
特に私は今回は新卒から7年勤めた会社から初めての転職だったため、今まで新卒からお世話になった方々に継続して恩返しできるというのは転職に踏み切るにあたって安心感のある後押しの要因となりました。
三つ目は、自分にとっても会社にとっても双方のコストが低い業務委託契約になるという点です。これは契約を結ぶにあたって非常に有効なポイントなので、転職の際に交渉する方は是非材料にすると良いでしょう。
退職者からしても今まで取り組んできてきた仕事の延長線上で副業ができるため新規の学習コストが極めて低く、会社側としても内部の事情を熟知した人間に引き続き依頼ができるのは好都合です。
またお互い既に今まで一緒に働いてきた同僚とのやり取りになるため、初対面同士で立ち上げる業務委託契約と比べるとコミュニケーションコストも格段に低く抑える事ができます。
双方のコストを大幅に抑えた状態で業務を立ち上げられるため、前職を副業化するというのは非常に理に叶った契約である事がわかります。
言わずもがな、前職を副業として業務委託に取り組む事で転職先の本業と束ねて収入がアップできるのは最大のメリット。私の場合かなり少ない負担で転職先の手取りの1〜2割をコンスタントに前職から得られており、副業としては理想的な規模感の副収入にする事ができました。
デメリットは前提条件の多さ
大きなメリットがいくつかある一方で、やはり前職を副業化するデメリットも存在します。特に、この形態を成立させるにはそれなりに前提条件が揃っている必要があり、このハードルを越えるには下準備が不可欠でしょう。
まず、大前提として退職までに会社に必要な人材になっておく必要があります。当たり前ですが、このラインに到達していなければそもそも仕事を外注してもらう必要が無くなってしまいます。
自分のポジションでしっかりと組織に価値を提供し、転職までに組織に必要なピースとして形を作り上げておく事が必要です。
そして、転職先の会社に関しても副業を許容する風土や、本業と並行して副業に取り組む余裕がある場所を選ぶというのも前提になってきます。
私は転職の際、「今の会社のプロダクトに関わり続けたいので、週⚪︎時間まで副業に取り組んでも良いのであればオファーを受ける」といった旨をしっかりと転職先に伝えた上で入社しています。また、転職先の許容するボリュームと業務委託に取り組むのに必要なボリュームに乖離が無いかを双方の会社と確認した上で契約を結んでいます。
当然ですが、「新しい職場で新しい仕事をしながら副業に取り組む」というのは、特に初期フェーズにおいては非常にハードです。これはデメリットとして認識しておく必要があるでしょう。そのため私は前職には「最初の1ヶ月はあまり稼働時間が確保できないかもしれない」という点をあらかじめ共有して調整してもらっています。
また、これも業種によっては難しいかもしれませんが、リモートで実施できる内容に業務委託の内容を絞るというのも副業で取り組む場合は円滑に進められる条件になるでしょう。
このように前提条件を揃える所はそれなりのハードルがあるのですが、しっかりと下準備をしておけば実現性は高いのかと思います。
その下準備は実際どうすれば良いのか、というのは気になる点だと思うので、具体的に私がそれを実現するため行った手順は後述しようと思います。
退職時に業務委託契約を結んだ友人の話
余談ですが、私の交友関係の中にも、何人か会社を辞める際に業務委託契約を結び、キャリアアップやライフステージの進展に繋げられた友人が何人か居ます。
一人目は転職の際、前職の仕事を業務委託として引き続き請ける事でダブルインカムを実現し、幼少期に映画で見て憧れた劇中の車に乗るという夢を実現した友人。彼の場合は私のように規模を抑えた副業というよりかは、本腰を入れたダブルワークといった形でした。
そのお陰で憧れの車を維持するのに十分な水準まで手が届き、誰もがタイムマシンとして一度は目にした事のあるDMC-12を20代のうちに愛車として迎える事に成功しています。
実は転職先の会社を紹介したのは私だったのですが、まさかダブルワークの形で掛け持ちを始める事は想像しておらず、ましてや以前語っていた夢をこのような形で叶えるものとは思っていなかったので、当時この車で現れた時は心底驚きました。同時に、このエピソードは私自身の転職の際のヒントにもなったので感謝しています。
二人目は東京の会社を退職し、業務委託を足掛かりに独立する形で湘南の海の見える街で自由な時間とオープンカーを満喫する生活を実現した友人。彼は会社員時代に都内の生活に息苦しさを感じていた一方で、Webマーケティングの会社で成果を出していたので、思い切って業務委託として仕事を切り出して自営業として時間の自由を手に入れています。
こちらのパターンもリモートで実施できる業務を切り出して業務委託化する事例としてとても参考になったのと同時に、一緒に湘南エリアの飲食店を開拓する仲間が増えたのはライフスタイル的にも嬉しい出来事でした。
時間の融通が効く自営業である事から私が湘南→北海道移住をした後も東京出張ついでに一緒に湘南エリアを散策したり、逆に札幌に遊びに来た時に一緒に飲食店開拓できたりと、友人が自由度の高いライフスタイルを獲得した事で一緒にあれこれ楽しめるようになって面白さを感じています。
これら二つのケースのように、「お金の自由度」や「時間の自由度」の拡張が実現する事でライフスタイルが激変した友人が周りに多く、退職時に業務委託契約を結ぶパターンは一つの成功パターンとして浸透している実感があります。
前提条件が整えられる事ができ、実現したいライフスタイルが定まっているのであれば、このように「退職時に前職を副業化する」というのは一つの有効なアプローチとして検討してみる価値はあるでしょう。
実際の具体的な下準備
最後に、私がインハウスのUI/UXデザイナーのポジションとして、円滑に業務委託契約に移行するために在職時に進めた具体的な下準備を紹介します。
実際にやった事を一言にまとめると、
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最後まで読んでいただきありがとうございます。もし今後書いてほしいトピックなどあれば、チップの際にメッセージにて添えていただければ次回作の参考にさせていただきます。
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