「パジェロ!パジェロ!」はもう通用しない? 若者70%が免許取得も、購買意欲が低迷する根本理由
クルマ体験の価値転換
筆者はクルマとともにある暮らしを求め、都市部を離れて地方に移住した。現在は栃木県を拠点に、地域でクルマイベントの開催・運営を行っている。イベントには、18歳の若者からシニア層、さらには免許を持たない子どもまで、多様な参加者が集まっている。こうした光景を見るたびに、若者はクルマに興味がないという決めつけに違和感を覚える。関心の表れ方が変化しているだけで、関心そのものは消えていないのだ。 実際、合宿免許比較サイト「合宿免許マイスター」を運営するサクラス(東京都中央区)がZ世代を対象に行った調査では、Z世代の約7割が普通自動車免許を取得していることが明らかになった。クルマを所有している、あるいは所有したいと考えるZ世代は6割を超え、「若者のクルマ離れ」に対する実感は肯定と否定が半々という結果であった。さらに、普通自動車免許を取得していると便利だと回答したZ世代も約7割に上った。 所有が価値の中心であった時代から、体験や共感が重視される時代へと移行する現代において、クルマも価値提供の仕方を変えつつある。筆者が免許を取得する以前、2010年代のオンラインゲーム(グランツーリスモやForzaシリーズ)は、クルマ好きの若者にとっての避難所であった。実車を持たない者同士がゲーム内で愛車を披露し合い、情報を交換し、交流を深めていた。やがて彼らは免許を取得し、実車を手にして現実で再会するようになった。ゲーム内で並べたクルマを、現実でも並べる。そのような光景が実際に生まれている。 彼らが求めるのはクルマを通じたつながりである。モノとしての購入が目的ではなく、クルマを媒介とした体験や共感、仲間との共有が真の目的となっている。この傾向は他分野にも応用可能であり、クルマがその役割を果たせなければ別のコンテンツに取って代わられる可能性もある。クルマを主軸としたコト消費コンテンツとして、いかに魅力的に演出できるかが今後の重要な課題である。