県内には「やりたい仕事がない」
また、秋田に根強く残る保守的な風土も少子高齢化を加速させている。出生率に直結する若い女性の流出が止まらないのだ。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏が解説する。
「首都圏に住む東北出身の女性2300人にアンケート調査したところ、東京に出てきた理由の中でダントツで多かったのが『やりたい仕事・やりがいのある仕事がある』でした。
秋田の若い女性にとって、母親世代のイメージが専業主婦かパートしかない。'20〜'23年には、10代後半から20代の女性が同世代の男性の1・6倍も県外に出ていきました。
秋田の会社の採用試験を受けた女性は、『最初から面接官として高齢の管理職が出てきて、威圧的で怖かった。〈女性を採ってないわけじゃないけどね〉と言いながら、結局は男性が欲しいのだと感じた』と言っていた。令和の時代にこれでは、若い女性に選ばれるわけがありません」
そんな秋田では、あらゆる団体・コミュニティで高齢者が多数派を占める。秋田県議会では60歳以上が41人中26人、市議会でも36人中23人という状況だ。県内の若手議員の一人はこう語った。
「何とかしなければいけないことはわかっているものの、法案を出しても通らない。高齢議員には現状を維持する思考が根付いていて、新しいことをやろうとする意欲もないのです」
後編記事『《実を言うと、秋田はもうだめです。》終わりの合図は「少子化対策の法案否決」、シルバー民主主義・秋田県の「手遅れすぎる惨状」』へ続く。
「週刊現代」2025年6月9日号より