防衛省は29日会議を開き、来年度予算案の概算要求で8兆8454億円を求めることを決めました。
今年度の当初予算を1450億円上回り、過去最大となります。
重点施策では、ドローンなどの無人機を陸・海・空域に大量に配備して沿岸を守る「SHIELD」と呼ばれる防衛体制の構築に向け1287億円を計上しています。
敵の射程圏外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」の強化に1兆246億円を計上し、このうち探知や迎撃が難しいとされる「極超音速誘導弾」の量産に来年度から着手するとしています。
また、自衛官の処遇や勤務環境などを改善する費用として7658億円を盛り込み、手当の引き上げや緊急で出勤する際の託児サービスの拡充に取り組むとしています。
さらに組織を一部改編し、宇宙領域での安全保障基盤を強化するため新たに「宇宙作戦集団」を編成するほか「航空自衛隊」を「航空宇宙自衛隊」に改編するなどとしています。
政府は防衛力の抜本的強化に向けて再来年度までの5年間にあわせておよそ43兆円を支出するとしていますが、財源の1つとなっている所得税の増税の開始時期は決まっておらず、与党内で議論が続いています。
防衛省 概算要求 過去最大8.8兆円 無人機による防衛費用なども
防衛省は来年度予算案の概算要求で、過去最大となる8兆8400億円余りを求めることを決めました。防衛力を強化するため、無人機による沿岸防衛体制の構築に向けた費用などが盛り込まれています。
来年度 自衛隊で行われる主な組織改編
【空自が航空宇宙自衛隊に】
航空自衛隊では、5年前に宇宙領域の専門部隊が発足していて、来年度、空将を指揮官とするおよそ880人の「宇宙作戦集団」を編成します。
そして、「航空自衛隊」は「航空宇宙自衛隊」に名称を変更し宇宙空間の監視などを強化するとしています。
陸海空の自衛隊の名称変更は1954年の発足以来、初めてです。
【陸自 特殊作戦団を新編】
陸上自衛隊では、特殊部隊の「特殊作戦群」と、さまざまな緊急事態に対応する「中央即応連隊」を一体で運用するため来年度「特殊作戦団」を編成します。
指揮官の階級は陸将補です。
【陸自 第15旅団を師団に】
那覇市に司令部がある陸上自衛隊の第15旅団は地上での戦闘などを行う普通科連隊を現在の1つから2つに増やすほか、戦車と同じくらいの火力を持つ機動戦闘車を配備した偵察戦闘隊を編成し、来年度、「師団」に改編します。
指揮官の階級は陸将補から陸将となり、これまでおよそ2300人だった隊員数は、およそ3900人に増える予定です。
防衛省は「広大な海域に多くの島々が点在するという特性を持つ沖縄の防衛に万全を期すためには第15旅団を強化する必要がある」としています。
このほか沖縄では、石垣駐屯地に電波情報を収集したり、妨害したりする「電子戦部隊」を、与那国駐屯地に相手の航空機のレーダーの機能を妨害する「対空電子戦部隊」をそれぞれ新たに編成するとしています。
中谷防衛相「安全保障環境は戦後最も厳しく複雑に」
中谷防衛大臣は防衛省の幹部を集めた会議で「わが国の安全保障環境は戦後最も厳しく複雑になっていて、いざというときに国民の命を守り抜くことができるよう、防衛力や抑止力のさらなる強化に向けて必要な事業を着実にスピード感を持って実施していく必要がある。防衛力の抜本的強化に必要な予算を確保することができるよう引き続き主体性と主導性を持って頑張ってほしい」と述べました。