いわゆる「自民党総裁選前倒し」の手続きについての私の考え。
(少し長文になります)
昨日の自民党総裁選挙管理委員会で、総裁選挙を前倒しで実施するかどうかの意思確認の方法が決定されたとの報道がある(まだ正式な通知は受け取っていない)。
その要諦は、①総裁選挙の前倒しを求める国会議員は必要書類に署名・捺印し、党本部に提出する、②前倒しを求めた議員の氏名を公表する、というものだ。
このうち①について、「総裁選挙の前倒しは総理大臣の進退に関わる手続きであり厳正さが必要」という理由が示されていることに異論はない。
一方で、②については、「国民の納得感に配慮すれば公表した方がいい」という理由が示されているが、果たしてそうだろうか。
昨年の総裁選挙などの通常の総裁選挙では、自民党の国会議員が記名式で投票するが、その氏名が公表されることはない。
これは、憲法第15条4項に規定されている「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」との規定に密接に関係すると私は理解していた。
いわゆる「投票の秘密」であり、公職選挙法も当然この規定に深く根ざしている。
そして投票の秘密は、自由な意思による投票や選挙の公正性を確保し、民主主義を実現するための根幹となる規定だと私は理解していた。
このため、事前の報道などで「前倒しを求めた議員の氏名を公表するかどうか」が論点になると言われていたものの、よもや最終決定にはならないだろうと私は考えていた。
しかし、選挙管理委員会の決定は「氏名の公表」となったらしい。
改めて、自民党総裁選挙が「総理大臣の進退に関わる手続き」というならば、その前倒しを求める意思確認も、この憲法や公職選挙法の重要な理念である「投票の秘密」に則って行われるべきではないだろうか。
「前倒しを求めた議員の氏名を公表する」ということがなぜ「国民の納得感」を高めることにつながるのだろうか。
私は逆に、「執行部側が、総裁選挙の前倒しを求める議員にプレッシャーをかけることを企図して、こうした憲法や公職選挙法の規定に反する手続きを入れたのではないか」と勘繰られ、「選挙の原則を歪めてまで石破総理の続投を確保したいのか」と批判されることを危惧している。
報道には、首相周辺の話として、「政務三役が署名をする場合は、辞表を出さないと筋が通らない」と語っているとも書かれている。
仮にこの報道が事実だとすれば、憲法第15条4項の後段にある「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」との規定にも反しているように思われる。
私は今、法務大臣政務官を仰せつかっており、もちろん「政務三役」である。
私が総裁選挙の前倒しを求めることが大臣政務官を辞任することに直結するのであれば、法務省にも迷惑をかけ、ひいては国民にも迷惑をかけると批判される可能性があり、総裁選挙の前倒しを求めるかどうか大いに悩むことになる。
このように考えてくると、全体として、昨日決められた(と報道されている)総裁選挙の前倒しの手続きは、「政局」として捉えるべきではないかと感じられる。
私は、参議院選挙の直後のいわゆる「石破おろし」の動きとは一線を画してきた。
私自身の「大臣政務官」という立場もあったし、一国のリーダーである総理・総裁の進退はご自身が決するべき、という考え方でもあった。
自民党の中で、国民不在の「政局」がくり広げられることで、自民党に対する国民の支持も、自民党員の支持でさえも、大きく低下することを危惧していた。
しかし、今回の総裁選挙前倒し手続きの内容は、逆に、石破総理・総裁の続投を支持する側からの「政局」のように感じられる。
そしてそれが石破総理の意向に沿うものであるとすれば、「こうした憲法や公職選挙法に反するような手続きを入れてまで続投を図るということが一国を率いる総理大臣としてふさわしいあり方と言えるのであろうか」との疑問を抱かざるを得ない。
むしろ、正々堂々と総裁選挙を戦って、それを勝ち抜いた上でこそ、自民党を再び一つに結束させ、国民の信頼を取り戻し、重要な政策を前に進めていく力になるのではないだろうか。
私は昨日の決定に関する報道に接して、「総裁選挙の前倒しを求めるべき」との考え方に大きく傾いている。
例えそのために「大臣政務官の職を辞す」ことになろうとも、それこそが、国民にとって重要な政策を前に進めていくために必要なことであるように感じている。
自民総裁選の前倒し、要求議員名を公表へ 倒閣派の機運に影響:日本経済新聞
nikkei.com/article/DGXZQO
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